日本鍼灸大学 
はじめに：あなたの不調、「体質」が原因かもしれません
「なんとなく疲れがとれない」
「冷えやすい」「イライラしやすい」「よく眠れない」
こうした原因のはっきりしない不調は、現代人によく見られます。
中医学（中国伝統医学）では、その人の体質を見極め、個別に合った生活や食事、養生法を取り入れることが不調改善の第一歩とされています。
本記事では、7つの代表的な体質：
- 気虚（エネルギー不足）
- 陰虚（潤い不足）
- 陽虚（冷えやすい）
- 気滞（ストレスによる気の滞り）
- 血虚（血の不足）
- 痰湿（余分な水分・老廃物）
- 瘀血（血の巡りの滞り）
について、それぞれの特徴・セルフチェック・改善方法をわかりやすく紹介します。
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1. 中医学における「体質」とは？
中医学では、病気の原因を「外からの影響（風・寒・湿など）」と「体の内側の状態＝体質」に分けて考えます。
体質とは、その人が生まれ持った傾向や、生活習慣・食事・感情などによって形成される“体の傾向”。
現代の不調の多くは、生活の乱れやストレスによって体質バランスが崩れた結果とされます。
2. 体質別セルフチェック表（まとめ）
以下の表で、あなたの体質タイプをチェックしてみましょう。
最も多く当てはまるものが、あなたの主な体質です。
| 体質タイプ | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| 気虚 | 疲れやすい、声が小さい、風邪をひきやすい、胃腸が弱い |
| 陰虚 | ほてり、寝汗、乾燥、喉の渇き、不眠 |
| 陽虚 | 手足の冷え、寒がり、下痢、むくみ、疲労感 |
| 気滞 | イライラ、胸のつかえ、ため息、PMS、ガスがたまりやすい |
| 血虚 | 顔色が白い、めまい、不眠、抜け毛、生理が少ない |
| 痰湿 | 体が重い、むくみ、痰・鼻水が多い、胃もたれ、肥満傾向 |
| 瘀血 | 肩こり、しみ、クマ、生理痛、顔色が暗い、冷え性 |
※ 複数の体質が重なっている方も多くいます。
3. 各体質の特徴と改善ポイント
▶ 気虚タイプ：エネルギー不足の疲れ体質
- 特徴：疲れやすい、風邪をひきやすい、胃腸が弱い、声が小さい
- 対策：温かく消化に良い食事を、早寝・朝食を重視、気を補う漢方（人参湯など）
- 詳しくはこちら：気虚タイプとは？—エネルギー不足体質の改善法
▶ 陰虚タイプ：乾燥・ほてり・不眠に悩むタイプ
- 特徴：肌や口が乾燥、手足がほてる、のぼせ、寝汗、不眠
- 対策：潤いを与える食材（白きくらげ、百合根など）、冷やしすぎない、陰を補う漢方（六味地黄丸など）
- 詳しくはこちら：陰虚タイプとは？—潤い不足体質の特徴と改善法
▶ 陽虚タイプ：冷えやむくみが気になる冷え体質
- 特徴：手足の冷え、むくみ、疲労感、下痢、寒がり
- 対策：体を温める食材（生姜、羊肉、シナモンなど）、冷飲食を避ける、陽気を補う漢方（八味地黄丸など）
- 詳しくはこちら：陽虚タイプとは？—冷え体質の特徴と温活養生法
▶ 気滞タイプ：ストレスが体に現れるタイプ
- 特徴：胸のつかえ、ため息、イライラ、胃痛、月経前の不調
- 対策：香りのある食材（柑橘類、ジャスミン茶）、感情の発散、気を巡らせる漢方（加味逍遙散など）
- 詳しくはこちら：気滞タイプとは？—ストレスによる気の滞り体質の整え方
▶ 血虚タイプ：栄養不足・不安定体質
- 特徴：めまい、不眠、顔色が白い、生理不順、集中力低下
- 対策：補血作用のある食材（レバー、プルーン、黒ごまなど）、睡眠を重視、血を補う漢方（四物湯など）
- 詳しくはこちら：血虚タイプとは？—貧血・不眠体質の改善法
▶ 痰湿タイプ：余分な水と老廃物をためやすい体質
- 特徴：体が重だるい、むくみ、痰や鼻水が多い、肥満体質
- 対策：利湿作用のある食材（はと麦、冬瓜、大根）、運動で代謝UP、痰湿を除く漢方（二陳湯など）
- 詳しくはこちら：痰湿タイプとは？—水毒・湿気体質の改善法
▶ 瘀血タイプ：血行不良がもとで不調が出やすい体質
- 特徴：肩こり、しみ、あざ、顔色のくすみ、生理痛
- 対策：血行促進食材（玉ねぎ、青魚、紅花など）、冷え対策、活血化瘀の漢方（桂枝茯苓丸など）
- 詳しくはこちら：瘀血タイプとは？—血の巡りが悪い体質の改善法
4. よくある質問（Q&A）
Q：体質は一生変わらないの？
A：いいえ。中医学では「体質は変えられるもの」とされています。日々の食事、生活リズム、ストレスケアなどを通じて、体質改善が可能です。
Q：複数の体質が当てはまる場合はどうすれば？
A：主に出ている症状を基準に、まずは一番強い体質から対処しましょう。複数を並行して整えることも可能です。
Q：漢方薬は自己判断で使っていい？
A：基本的にはNG。必ず中医学に詳しい医師・薬剤師・鍼灸師に相談し、自分の「証（しょう）」に合ったものを使うことが大切です。
5. まとめ：まずは「知ること」から始まる中医学的セルフケア
体質に合った生活をすると、心も体も自然に整いはじめます。
中医学の体質診断は、「未病（病気になる前の状態）」を改善するための有効なアプローチ。
- 今の自分の体質を知る
- 合った食事・漢方・運動・睡眠を選ぶ
- 季節や年齢に合わせて微調整していく
自分に合う方法が見つかると、日々の生活の質が大きく変わります。
🔗 関連リンク（体質別記事まとめ）
▶️ 瘀血タイプとは？
▶️ 気虚タイプとは？
▶️ 陰虚タイプとは？
▶️ 陽虚タイプとは？
▶️ 気滞タイプとは？
▶️ 血虚タイプとは？
▶️ 痰湿タイプとは？
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