はじめに:その慢性的なコリや冷え、「瘀血」が原因かも?
✔ 肩こりや腰痛が慢性的にある
✔ 顔色が暗く、くすんで見える
✔ 唇や歯ぐきが紫っぽい
✔ 生理痛が重い、生理に血の塊が混じる(女性)
✔ しみ・あざ・静脈が目立つ
こうした症状が気になる方は、「瘀血(おけつ)体質」かもしれません。
瘀血とは中医学でいう「血の流れが滞っている状態」。
血行不良が続くと、全身の不調や老化を早める原因になります。
この記事では、瘀血の正体と原因、体質チェックリスト、改善のための食事・生活・漢方・鍼灸法を徹底解説します。
1. 瘀血とは?中医学における“血の巡りの滞り”
✅ 血の滞りが生むトラブル
中医学では、「血(けつ)」は全身に栄養を届け、臓器や皮膚を潤す役割を果たしています。
その血がスムーズに流れず停滞してしまうと「瘀血」状態に。
瘀血になると:
- 痛み(刺すような痛み、固定した痛み)
- 冷えやしびれ
- 肌のくすみ・しみ・あざ
- 月経異常(痛み、遅れ、塊)
といった、さまざまな不調が起こります。
2. 瘀血体質チェックリスト(10項目)
5つ以上該当すれば、瘀血体質の可能性が高いです。
チェック項目 |
---|
肩こり・腰痛が慢性化している |
顔色が黒っぽい・青紫がかっている |
唇や爪の色が暗い・紫色 |
生理に血の塊が混じる(女性) |
しみ・そばかす・あざができやすい |
目の下にクマが出やすい |
痛みが固定していて、刺すように痛む |
静脈瘤が目立つ・足が重い |
舌の裏の静脈が紫色・浮き出ている |
ストレスで症状が悪化する |
3. 瘀血の主な原因
原因 | 説明 |
---|---|
長期の冷え・寒さ | 血の流れを滞らせ、瘀血を生む |
運動不足・同じ姿勢の継続 | 血流が悪くなり、滞りやすくなる |
怪我・手術の後遺症 | 血の停滞を生む原因に |
月経・出産による血の損耗 | 女性は特に瘀血になりやすい |
ストレス・怒りの抑圧 | 肝の気が滞り、血流に影響 |
4. 瘀血体質のための生活養生法
✅ 「活血化瘀(かっけつけお)」を意識した食事
おすすめ食材 | 効果 |
---|---|
紅花(こうか)、丹参、当帰 | 活血の代表的な中薬(※漢方薬や薬膳に活用) |
青魚(サバ・イワシなど) | 血液をサラサラにし、瘀血を改善 |
玉ねぎ、にんにく、しょうが | 血行促進と抗酸化作用が期待できる |
なす、セロリ、黒豆 | 血の巡りを良くし、炎症を抑える |
ざくろ、ブルーベリー、ぶどう | ポリフェノールで血管の健康をサポート |
➡️ 避けたい食材:脂っこいもの、冷たいもの、精製糖(白砂糖)、アルコールの過剰摂取
✅ 血流を良くする日常習慣
- ストレッチや軽い有酸素運動を毎日取り入れる
- 冷え対策に重点を:首・お腹・足元を温める
- お風呂はシャワーで済ませず、湯船に15〜20分
- 姿勢に注意:デスクワーク中はこまめに立ち上がる
- 感情の抑圧を手放す:笑う・話す・書くなどで解放を
✅ おすすめの運動
- ウォーキング(1日20分以上)
- 太極拳・ヨガ・スロージョギングなど
- 筋肉を使う運動より、血行を促すリズム運動を優先
5. 瘀血タイプにおすすめの漢方と鍼灸
🌿 漢方薬(活血化瘀剤)
処方 | 対応症状 | 備考 |
---|---|---|
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | 生理痛・冷え・瘀血による婦人病 | 女性に特に適する定番処方 |
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) | 下腹部の張り・便秘・月経異常 | 瘀血が強い場合に用いる |
血府逐瘀湯(けっぷちくおとう) | 胸や肩の痛み・慢性痛・血行不良 | 肩こりや慢性疲労にも有効 |
通導散(つうどうさん) | 便秘・むくみ・腹部の張り | 血と気の滞りを解消する処方 |
🪡 鍼灸
ツボ | 効果 |
---|---|
血海(けっかい) | 瘀血の改善に特化したツボ |
三陰交(さんいんこう) | 婦人科トラブル、血の巡り全般に |
合谷(ごうこく) | 痛みの緩和、気血の巡りに効果的 |
太衝(たいしょう) | 肝の気を整え、瘀血の根本に対応 |
鍼灸では、「血の巡りを促進し、滞りを取り除く」ことを中心に施術します。
✅ まとめ:瘀血体質は“滞りを流す”ことが健康への第一歩
瘀血体質は、血の流れが悪いことで、さまざまな痛みや不調が現れる体質です。
特に女性は、生理・出産などで瘀血になりやすいため、日常のケアが重要になります。
以下の4点を意識して生活を整えましょう:
- 活血作用のある食材や漢方で「血の巡り」を改善
- 毎日の軽い運動・ストレッチで血流を促す
- 冷えを徹底的に避ける
- 気持ちの滞りもためこまず、感情のケアも意識する
中医学の視点で「流れる体」をつくることで、体も心も軽やかに、調和のとれた健康状態へと導いていきましょう。
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