はじめに:体も心もフワフワする…それ、「血」の不足かもしれません
✔ 顔色が青白い・血色が悪い
✔ 立ちくらみ・めまいが多い
✔ 髪がパサつく・抜け毛が多い
✔ 寝つきが悪く、夢をよく見る
✔ 生理の量が少ない、遅れる(女性)
このような症状がある方は、「血虚(けっきょ)体質」の可能性があります。
中医学で言う「血(けつ)」とは、単なる血液ではなく、体を栄養し、心身を安定させるエネルギーの一つ。
不足すると、体調だけでなく情緒面にも影響を及ぼします。
この記事では、血虚体質の特徴・原因・チェックリスト、改善のための食事・生活習慣・漢方・鍼灸を詳しくご紹介します。
1. 血虚とは?中医学における“血の不足”状態
✅ 「血」は全身を滋養するエネルギー
中医学では、血は以下のような働きを担っています:
- 五臓六腑に栄養を届ける
- 筋肉・皮膚・髪・爪などの健やかさを保つ
- 精神・感情を安定させる(血は「心」を養う)
- 月経・妊娠・出産など女性の機能に深く関与
血が不足すれば、肉体的な疲労・冷えだけでなく、精神的な不安定や不眠も起こるのです。
2. 血虚体質チェックリスト(10項目)
5つ以上該当すれば、血虚体質の可能性が高いです。
チェック項目 |
---|
顔色が青白い、または黄色っぽい |
唇や爪の色が薄い |
めまいや立ちくらみがある |
髪がパサつく・細く抜けやすい |
目が疲れやすく、乾燥しがち |
睡眠が浅く、夢を多く見る |
動悸や不安感がある |
生理の量が少ない、周期が遅れる(女性) |
皮膚が乾燥し、ツヤがない |
集中力が続かず、ぼんやりしがち |
3. 血虚の主な原因
原因 | 説明 |
---|---|
栄養不足(偏った食生活) | 血を作るための材料が不足している |
過労・睡眠不足 | 血が十分に生成・再生されない |
長期の病気や出血 | 血の消耗が激しく補えない |
慢性的なストレス | 血の循環・生成が乱れる |
月経・出産による消耗(女性) | 女性は特に血虚になりやすい傾向あり |
4. 血虚体質のための生活養生法
✅ 「補血(ほけつ)」を意識した食事を心がける
おすすめ食材 | 効果 |
---|---|
黒ごま、黒豆、プルーン | 鉄分と植物性補血成分が豊富 |
レバー(鶏・豚)、赤身の肉 | 動物性の「血を補う」定番食材 |
にんじん、ほうれん草、小松菜 | 葉酸や鉄分が豊富、女性におすすめ |
なつめ、クコの実 | 気血を補い、安眠効果も期待できる |
卵、牛乳、木耳(きくらげ) | 滋養強壮・血を潤す作用がある |
➡️ 食事は「赤・黒・緑」の色を意識し、よく噛んで温かい状態で食べるのが血虚改善の基本です。
✅ 睡眠とリラックス時間をしっかり確保
- 夜はなるべく23時までに就寝
- スマホ・PCのブルーライトを避け、眠りを深くする環境づくりを意識
- 入浴・アロマ・温かい飲み物で、神経を鎮めてからベッドへ
✅ 適度な運動で血の巡りを助ける
- ラジオ体操・ヨガ・軽いウォーキングなど、血行を促す運動を毎日15〜20分
- ハードすぎる運動は逆に血を消耗するのでNG
- 呼吸を整えながら動く“気功”もおすすめ
5. 血虚タイプにおすすめの漢方と鍼灸
🌿 漢方薬(補血剤)
処方 | 対応症状 | 備考 |
---|---|---|
四物湯(しもつとう) | 女性の冷え、生理不順、貧血傾向 | 補血の基本処方 |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 冷え・貧血・むくみ | 婦人科系に強く、体質改善にも◎ |
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) | 疲労・倦怠感・回復期 | 気血を同時に補う |
炙甘草湯(しゃかんぞうとう) | 動悸、不安、不眠 | 心を養い、精神を安定させる |
🪡 鍼灸
ツボ | 効果 |
---|---|
三陰交(さんいんこう) | 血の巡りと婦人科系の調整に効果的 |
血海(けっかい) | 補血と瘀血の改善に使われる代表ツボ |
太衝(たいしょう) | 肝血を補い、情緒の安定にも◎ |
膈兪(かくゆ) | 血を全身に届けるツボの一つ |
鍼灸は、「血を補い、巡らせ、心を安定させる」ことを目的に施術されます。
✅ まとめ:血虚体質は“養って巡らす”ことが基本
血虚体質は、目に見えない貧血のような状態。
不調を「なんとなく」で終わらせず、中医学的に見れば、食事・休養・心のケアで改善できる余地がたくさんあります。
- 補血する食材で内側から養う
- 質のよい睡眠で血を作る時間を確保
- 優しい運動で全身に血を巡らせる
- 不安やストレスをためない生活リズムを
中医学の知恵を活かして、エネルギーと心の安定が続く体質改善をめざしましょう。
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