皮内鍼とは?その歴史と創始者・赤羽幸兵衛の功績をわかりやすく解説

1. 皮内鍼の歴史と赤羽幸兵衛 ― 日本鍼灸を進化させた革新的な刺鍼法とは

皮内鍼(ひないしん)は、鍼を皮膚の浅い層にごく短く留置する手法で、近代日本鍼灸の中でも独自の発展を遂げた治療法です。この技法を体系化したのが、鍼灸師 赤羽幸兵衛(1895–1983) です。
ここでは皮内鍼の基礎とともに、赤羽幸兵衛が生涯をかけて築き上げた理論や功績について解説します。


2. 皮内鍼とは?特徴と目的

皮内鍼とは、鍼を皮膚の表層部(皮内)に浅く刺入し、そのまま一定時間留置する技法です。一般的な刺鍼よりも刺激量が少なく、身体が過敏な患者や慢性的な痛みへのアプローチとして広く用いられています。

2-1. 皮内鍼の特徴

  • ごく浅い層への刺入
  • 低刺激で負担が少ない
  • 長時間の微弱刺激が可能
  • 痛みや筋緊張、自律神経系などに応用される

皮膚にとどまる持続的な刺激が全身調整を促す点が特徴です。


3. 皮内鍼の歴史 ― 1950年頃に生まれた新しい刺鍼法

皮内鍼が体系化されたのは 1950年代 です。当時の鍼治療は深部刺鍼が中心でしたが、皮膚の浅層への留置刺激を治療として確立した点は画期的でした。

その発想の起点は、赤羽幸兵衛が 病床で体験した末端の温度感覚の変調 にあります。身体の状態と感覚の変化の関連性に注目したことが、後の理論構築につながりました。


4. 赤羽幸兵衛とは ― 皮内鍼を生んだ日本鍼灸の革新者

赤羽幸兵衛(1895–1983)は、栃木県生まれの鍼灸師です。
1929年に群馬県で鍼灸師免許を取得し、臨床と研究の両方に力を注いでいました。

4-1. 1950年の病床体験が研究の出発点

自身の病気による伏せ込みの中で、手足の温度感覚の差異を感じ、これが 知熱感度測定法(井穴測定法) へと発展しました。

4-2. NHK出演で全国的に知られる存在に

1972年1月、NHK総合テレビ『不思議な世界』に出演したことで患者が殺到。
しかしその翌月の 1972年2月23日 に過労から脳出血で倒れ、左半身不随となります。その後10年以上療養しながら研究を続け、1983年に88歳で逝去しました。

4-3. 家族への影響

娘の赤羽(篠原)惠子は、日本人初のモンテッソーリ教師となり教育界で活躍しました。


5. 赤羽幸兵衛が生んだ代表的な技法と理論

5-1. 知熱感度測定法(井穴測定法)

手足の井穴における温度感覚の差異を基に身体状態を評価する方法で、赤羽自身の体験から着想されました。

5-2. 皮内鍼法

鍼を皮膚の浅層に留置する技法で、長時間刺激による全身調整を意図しています。

5-3. 灸頭鍼

鍼の上にもぐさを置き、温熱刺激を加える複合的な治療法です。

5-4. シーソー現象の提唱

身体の反応が左右や上下で相対的に現れるとする概念で、臨床判断の新しい視点を与えました。


6. 赤羽幸兵衛の著書とその影響

赤羽は「医道の日本」や日本鍼灸治療学会に多数の論文を投稿し、以下の代表的著作を残しています。

  • 『知熱感度測定による鍼灸治療法』(1954年)
  • 『皮内鍼法』(1964年)
  • 『灸頭針法』(1971年)

これらは現在も研究者や臨床家に参照され続ける基礎文献となっています。


7. 現代における皮内鍼の価値

  • 刺激が弱く患者への負担が少ない
  • 慢性症状や自律神経系の調整に応用しやすい
  • 井穴や反応点への施術に適している

皮内鍼は、シンプルながらも臨床効果の高さから現代の鍼灸師にも広く活用されています。


8. まとめ ― 皮内鍼は赤羽幸兵衛の探求心から生まれた革新技術

皮内鍼は、赤羽幸兵衛の病床での気づきから始まり、知熱感度測定法、灸頭鍼、シーソー現象といった理論とともに発展しました。
今日、多くの治療家が皮内鍼を使い続けていることは、赤羽幸兵衛の功績が今なお生きている証といえます。

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