うつ病に効くツボとお灸のやり方|自宅でできる心と体のセルフケア入門

「気分が沈む日が続いてつらい」
「寝ても疲れがとれない」「薬だけでなく他のケアも試したい」——

そんなときに、自宅で手軽にできるケアとして注目されているのが、ツボ刺激やお灸です。

東洋医学では、心と体はつながっており、ツボ(経穴)を刺激することで気の巡りや自律神経のバランスを整えると考えられています。

この記事では、うつ病の不調をやわらげる代表的なツボ、自宅でできるお灸の方法と注意点を、初心者の方でも安心して実践できるように丁寧に解説します。


ツボ刺激やお灸がうつ病に効果的とされる理由

◆ 1. 自律神経を整える働きがある

ツボを刺激することで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、リラックスしやすくなることがわかっています。

◆ 2. 血流がよくなり、体の緊張がほぐれる

うつ病では、筋肉のこり・冷え・だるさが伴うことが多く、温熱刺激により心身がじんわりとゆるむ感覚が得られます。

◆ 3. 「自分で自分をケアする感覚」が自己肯定感につながる

お灸やツボ刺激は、自分で自分に優しくする行為でもあります。
「何もできない」と感じがちな時期に、“できたこと”として自信を支える小さなステップになります。


不調別|うつ病におすすめのツボ5選

ツボ名主な効果場所の目安
神門(しんもん)不安・緊張・不眠手首の小指側のしわの上、くぼみ部分
内関(ないかん)動悸・吐き気・情緒不安手首から指3本分下の中央部
百会(ひゃくえ)頭の重さ・気分の落ち込み頭のてっぺん(両耳を結んだ線の中央)
足三里(あしさんり)倦怠感・胃腸虚弱・気力の低下膝下、脛の外側のくぼみ部分
三陰交(さんいんこう)冷え・ホルモン調整・むくみ内くるぶしから指4本分上の内側の骨際

ツボの押し方・刺激のコツ

  • 親指や人差し指でゆっくり押す(5秒 × 3回程度)
  • 息を吐きながら押すとリラックス効果が高まる
  • 痛気持ちいい程度がベスト。強く押しすぎないこと

☞ お風呂上がりや寝る前にリラックスした状態で行うと、心がほぐれやすくなります。


お灸とは?誰でもできる“やさしい温熱療法”

お灸は、もぐさ(ヨモギの葉)を燃やしてツボを温める、古くからあるセルフケア方法です。

◆ 自宅用お灸(せんねん灸など)の使い方

  1. 肌が清潔で乾いていることを確認
  2. 市販のお灸を台紙ごとツボに貼る
  3. 火をつけて、じんわり温まるのを感じる(熱すぎたらすぐ外す)
  4. 1箇所あたり5〜7分程度で十分

◆ 注意点

  • 同じ場所に連続して使用しない
  • 糖尿病や感覚障害がある方は避ける
  • 妊娠中は使用前に必ず医師・専門家に相談を

➡ 関連記事:うつ病と鍼灸治療の関係|心を整えるツボと効果、注意点を解説


おすすめの使い方:こんなときにツボ&お灸を

状況使えるツボ・お灸ポイント
寝つきが悪い神門・百会にお灸 or 指圧してから就寝
朝の気分が重い足三里・三陰交を温めて目覚めスイッチ
緊張・不安感が強い内関・神門をゆっくり押す or お灸でリラックス
気力がわかない足三里・百会を刺激して巡りを整える

続けるコツと心がラクになる考え方

✅ 毎日じゃなくてOK

「調子が良い日に1箇所だけでもやってみる」くらいで大丈夫です。
無理なく、習慣化ではなく“安心の選択肢”として持っておく感覚で。

✅ 「気持ちいい」があれば成功

完璧にツボを探さなくても、「ここを温めると気持ちいいな」「ほっとするな」
その感覚こそが、心をゆるめるサインです。


まとめ

うつ病の回復や安定において、ツボ刺激やお灸は、心と体をやさしく結びなおすセルフケアの一つです。難しい技術や特別な道具は必要ありません。手のひらで触れる、ツボを軽く押す、お灸で温める——そのどれもが、「自分自身に向き合う時間」となり、心の回復を支える大切なステップになります。

「しっかり効かせなきゃ」「毎日続けなきゃ」と構えなくても大丈夫です。
「気持ちいいな」「ちょっと楽になったかも」——そんな小さな実感こそが、十分な効果のサイン。うつ病のときは、自分を追い込むよりも、自分をゆるめることがなによりも大切です。

薬や通院に加えて、自分の力で少しずつ整えていく感覚を取り戻すことで、回復の土台がよりしっかりしたものになります。ツボを刺激する鍼やお灸は、そのための“選択肢のひとつ”として、無理なく取り入れてみてください。

心と体が「また動き出そう」と思える日が、きっと少しずつ増えていきます。


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