「薬だけで本当に治るのかな…?」
「なるべく自然な方法で、心のバランスを整えたい」
——そんな方に注目されているのが、鍼灸(しんきゅう)治療です。
鍼灸は古くから続く東洋医学の一つで、身体のツボを刺激することで自律神経やホルモンバランスにアプローチする治療法。
近年では、うつ病の補助療法としても注目されており、研究も進んでいます。
この記事では、鍼灸がうつ病にどう作用するのか、効果のある代表的なツボ、受けるときの注意点までやさしく解説します。
鍼灸とは?東洋医学の視点でみる「気と心の流れ」
鍼灸は、細い鍼やお灸を使って「経絡(けいらく)」と呼ばれる気の通り道に刺激を与えることで、身体全体のバランスを整える治療法です。
東洋医学では、うつ病を「気の巡りが悪くなり、心身に“滞り”が生じている状態」と捉えることが多く、
- 気虚(ききょ):エネルギー不足で動けない
- 気滞(きたい):ストレスで気の流れが詰まっている
など、タイプに応じてツボや治療法が選ばれます。
鍼灸がうつ病に与える4つの効果
① 自律神経のバランスを整える
鍼灸は、交感神経と副交感神経の切り替えを助けることが研究で示されています。
これにより、不眠・動悸・過呼吸・イライラといった自律神経由来の症状の緩和が期待されます。
② セロトニンなどの神経伝達物質に影響
一部の研究では、鍼刺激によってセロトニン・ノルアドレナリンなどの分泌が促されることがわかっています。
→ 精神の安定や気分の改善につながる可能性があります。
③ 体のコリや痛みを和らげることで、心が軽くなる
うつ病では、首・肩のこり、頭痛、背中の張りなどの身体的な不調が多く見られます。
鍼灸によってこれらの不快感が軽減すると、“心も軽くなった”と感じる人も多いのです。
④ 心身のリラックスを促進
鍼灸中は深い呼吸になり、副交感神経が優位になりやすい状態。
「何も考えずにリラックスできた」「終わった後、気持ちがスッキリした」という声も多く聞かれます。
うつ病におすすめされる代表的なツボ
ツボ名 | 効果 | 場所(おおよそ) |
---|---|---|
百会(ひゃくえ) | 頭の緊張を緩め、気の巡りを改善 | 頭のてっぺん |
神門(しんもん) | 不安・イライラを和らげる | 手首の小指側のくぼみ |
内関(ないかん) | 不安感や動悸、吐き気の緩和 | 手首から指3本分の位置 |
足三里(あしさんり) | 気力を補い、全身のバランスを整える | ひざ下・外側のすね |
三陰交(さんいんこう) | 冷え・ホルモンバランスの調整 | 内くるぶしの指4本上 |
※ 施術はプロの鍼灸師に任せましょう。自分で触れて気持ちいい場所を「軽く押す・温める」セルフケアとして取り入れるのもおすすめです。
鍼灸治療を受けるときの注意点
◆ 医療との併用を前提に
鍼灸はあくまで補完療法。
うつ病の診断や治療は、心療内科・精神科の医師の指導を受けることが前提です。
→「薬をやめて鍼灸だけにする」のはNG。
※ 主治医に「鍼灸を試したい」と伝え、連携してもらいましょう。
◆ 資格のある鍼灸師に施術してもらう
日本では、国家資格を持つ「はり師・きゅう師」が安全な施術を行えます。
鍼灸院を選ぶ際は、口コミや実績、うつ分野に理解のある先生を選びましょう。
◆ 刺激が合わないときは中止を
ごくまれに「逆にだるくなった」「刺激がつらい」と感じる人もいます。
→ その日の体調に合わせて、無理せず相談するのがベストです。
まとめ
うつ病の治療において、鍼灸は薬やカウンセリングに加える“第3の選択肢”として注目されています。
- 自律神経の調整
- 身体の緊張の緩和
- 心を落ち着かせるツボ刺激
- “ただ休む”という時間の確保
これらが自然な形で心のバランスを整えてくれる可能性があります。
「薬だけではつらい」「体にもアプローチしたい」
そんなあなたにとって、鍼灸はやさしく寄り添ってくれる治療法になるかもしれません。
まずは信頼できる鍼灸師さんに相談してみてくださいね。
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