はじめに|トリガーポイントの診断が重要な理由
トリガーポイントを的確に施術するためには、正確な診断が欠かせない。トリガーポイントは通常、筋肉内に形成される小さなしこり(硬結) であり、押すと痛みを引き起こす。
また、トリガーポイントの最大の特徴は、関連痛(放散痛) の発生。たとえば、僧帽筋のトリガーポイントは頭痛を誘発し、大腰筋のトリガーポイントは腰痛だけでなく鼠径部の痛みにつながる。この関連痛を正しく見極めることで、痛みの根本原因にアプローチすることが可能となる。
本記事では、トリガーポイントの診断における触診の基本、圧痛ポイントの見つけ方、関連痛のパターンの判別方法 を詳しく解説する。
1. 触診の基本|トリガーポイントの見つけ方
トリガーポイントの特徴的な感触
触診では、筋肉内に存在する 小さな硬結(しこり) を探す。指で触れると、筋線維に沿った帯状の硬さを感じることができる。
✅ 触診時のポイント
- 筋肉の方向を確認し、緊張している部位を探る。
- 指を軽く滑らせながら、硬結があるか確認。
- 圧痛(押すと痛みを感じるポイント)をチェック。
- 指で圧迫した際、関連痛が生じるか確認。
適切な触診を行うことで、トリガーポイントの正確な位置を特定し、施術効果を最大化できる。
2. 圧痛ポイントの見極め方
圧痛(Tender Point)とは?
圧痛とは、トリガーポイントを押した際に患者が感じる痛み のこと。通常の筋肉痛とは異なり、トリガーポイントの圧痛は「ズーンと響く痛み」や「遠くに広がる痛み」として感じられることが多い。
✅ 圧痛の特徴
- 通常の筋肉痛よりも鋭い痛みを伴う。
- 押した際に、患者が「そこ!」と明確に反応する。
- 一定の圧を加えると、関連痛が発生する場合がある。
圧痛ポイントの見つけ方
- 患者の痛みを詳しくヒアリングし、症状の出る部位を特定する。
- 筋肉の走行を考慮しながら、軽く押しながら硬結を探す。
- 押す力を調整しながら、圧痛が最も強く感じられるポイントを確認する。
- 関連痛が出るかどうかを確認する。
圧痛ポイントを正確に特定することで、鍼や手技による施術の効果を高めることができる。
3. 関連痛のパターンを見極める
関連痛とは?
関連痛(放散痛)とは、トリガーポイントが存在する部位とは異なる部位に痛みを感じる現象のこと。例えば、肩のトリガーポイントが原因で頭痛が発生するケースがある。
主な筋肉のトリガーポイントと関連痛のパターン
✅ 僧帽筋のトリガーポイント → 頭痛・肩こり
✅ 大腰筋のトリガーポイント → 腰痛・鼠径部痛
✅ 梨状筋のトリガーポイント → 坐骨神経痛のような症状
✅ 広背筋のトリガーポイント → 腕の痛み・肩関節の可動域制限
関連痛のパターンを把握することで、症状の根本原因を特定し、適切な施術ポイントを見つけやすくなる。
4. 鍼灸施術における診断の流れ
鍼灸師が実践する診断手順
- 問診(患者の痛みの特徴を把握)
- いつから痛むのか?どのような動作で痛みが強くなるのか?
- 視診(姿勢や動作をチェック)
- 痛みのある側の筋肉が過緊張していないか?
- 触診(トリガーポイントの有無を確認)
- 圧痛があるか?関連痛が生じるか?
- 可動域テスト(筋肉の制限を評価)
- 痛みのある部位の関節の動きに制限があるか?
この流れで診断を行うことで、トリガーポイントの正確な位置を特定し、的確な施術が可能となる。
まとめ
トリガーポイントの診断には、触診・圧痛ポイントの確認・関連痛の評価 の3つのステップが重要。
✅ 触診では、筋肉の緊張や硬結を見極める。
✅ 圧痛ポイントを的確に特定し、施術の精度を高める。
✅ 関連痛のパターンを把握し、根本的な痛みの原因を探る。
正確な診断を行うことで、鍼灸施術の効果を最大限に引き出すことができる。
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