「眠れない」の裏に“呼吸”がいる
「布団に入っても頭が冴える」「夜中に何度も目が覚める」「寝たはずなのに疲れが残る」。
睡眠の悩みは、ストレス・生活リズム・ホルモンなど多くの要因が絡みますが、見落とされやすいのが呼吸の質です。呼吸は自律神経の状態を反映しやすく、逆にいえば、呼吸を整えることは睡眠のスイッチを入れ直す近道にもなります。
1. 呼吸と睡眠の関係|カギは“自律神経の切り替え”
睡眠の質を支えるのは、活動モードの交感神経から、休息モードの副交感神経への切り替えです。
この切り替えに、呼吸は深く関わります。
- 浅く速い呼吸:交感神経が高まりやすく、寝つきの悪さ・夢が多い感覚・中途覚醒につながりやすい
- ゆっくり長い呼吸(特に吐く息が長い):副交感神経が働きやすく、入眠と“眠りの深さ”を助ける
ポイントは「深く吸う」よりも、細く長く吐くこと。吐く息は、身体に“今は休んでいい”という合図を送りやすいのです。
2. 鼻呼吸が睡眠の土台になる理由
睡眠中、口呼吸が続くと、喉の乾燥や刺激が起こりやすく、いびきの悪化や途中覚醒の一因になることがあります。
一方、鼻は空気を加湿・加温・ろ過し、呼吸の環境を整える入口です。鼻呼吸が保てると、呼吸が安定しやすく、睡眠が途切れにくい土台になりやすいです。
「朝、口がカラカラ」「喉が痛い」「寝ても疲れが抜けない」という人は、睡眠中に口呼吸になっている可能性があります。
3. いびき・無呼吸は“睡眠を壊す呼吸トラブル”
いびきや睡眠時無呼吸は、単に“うるさい”だけの問題ではありません。
気道が狭くなると、身体は呼吸を立て直すために脳を何度も覚醒させます。本人は起きた自覚がなくても、睡眠が細切れになり、結果として次のような不調が出ることがあります。
- 日中の強い眠気、集中力低下
- 起床時の頭重感、だるさ
- 朝の口の渇き
- 夜間の頻尿(眠りが浅いことで起きやすくなる)
「大きないびき+日中の眠気」がセットなら、体質や努力の問題にせず、検査を含めて一度確認する価値があります。
4. こんな夜は要注意|呼吸が乱れやすい“睡眠前の状態”
睡眠の質が落ちやすい人に多いのが、寝る直前まで身体が“戦闘モード”のままになっているケースです。
- 寝る直前までスマホ・仕事で頭が興奮している
- 胸(上の方)だけで呼吸している
- 首・肩がこわばっている
- 夕方以降のカフェインやアルコールが多い
この状態では、呼吸が浅くなりやすく、交感神経が高いまま眠りに入ろうとして苦戦しがちです。
5. 今夜からできる|睡眠のための“2〜5分呼吸”
ここでは、道具なしでできる簡単な方法を紹介します。頑張りすぎると逆に目が冴えるので、「気持ちいい範囲」で十分です。
夜の呼吸ルーティン(2〜5分)
- 鼻から吸う(2〜4秒)
- 口または鼻から吐く(4〜8秒)※吐く方を長く
- 肩は上げず、下腹〜わき腹が“ふわっ”と広がるイメージ
コツ:吸うことより、吐く息を静かに長く。
眠る直前の儀式にすると、脳が「この呼吸=眠る合図」と学習しやすくなります。
夜中に目が覚めたとき
「眠らなきゃ」と焦るほど交感神経が上がります。
そんなときは、吸うことは意識せず、吐く息だけ少し長くを数回。体勢を整え、目は閉じたままでOKです。
6. 東洋医学的な見立て|“気の上衝”と“呼吸の浅さ”
東洋医学では、緊張や考えすぎで“気”が上にのぼる状態(のぼせ・胸のつかえ・寝つきにくさ)をイメージすることがあります。
このとき、呼吸が胸に偏って浅くなりやすく、肩や首のこわばりもセットで起こりがちです。
呼吸を「下腹まで落ち着かせる」意識は、現代的にいえば、身体を休息モードへ戻すためのセルフケアとして理にかなっています。
鍼灸では、体質や緊張のパターンを見立てながら、睡眠を邪魔している“過緊張”をほどくアプローチが選択肢になります。
7. 受診の目安|放置しない方がいいサイン
次が複数当てはまる場合は、睡眠時無呼吸などの確認も含めて相談を検討してください。
- いびきが大きいと言われる/息が止まっていると言われる
- 日中の強い眠気(会議・運転中に眠い)
- 朝の頭痛、強いだるさ
- 高血圧や肥満傾向がある
- 睡眠時間は足りているのに、疲れが抜けない状態が続く
まとめ|眠りを変える第一歩は“呼吸の整え方”から
睡眠は「時間」だけでなく「質」が重要で、その質を支える土台に呼吸があります。
寝る前に2〜5分、吐く息を長くする呼吸を取り入れるだけでも、身体は休息モードに切り替わりやすくなります。
一方で、強いいびきや日中の強い眠気がある場合は、セルフケアだけで抱え込まず、検査も含めて確認することが大切です。
まずは今夜、呼吸を“整える”ことから始めてみてください。
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