日本鍼灸大学 
陽虚体質とは？——体を温める力が足りない「冷えの体質」
中医学における「陽虚体質（ようきょたいしつ）」とは、
体を温め、動かす力である“陽気（ようき）”が不足した状態を指します。
陽気は、生命活動のエネルギー源ともいえる存在で、全身の代謝・血流・消化・排泄機能を支えています。
この陽気が不足すると、体は“冷えやすく、動きが鈍く”なり、寒がり・むくみ・下痢・疲れやすさといった症状があらわれます。
✅ 陽虚体質の主な症状とチェックリスト
以下の症状が複数当てはまる方は、陽虚体質の可能性があります。
| チェック項目 | ✓例 |
|---|---|
| 手足・お腹・腰が冷える | ✓ 冬だけでなく夏も冷房でつらい |
| 疲れやすく、体が重だるい | ✓ 朝からエンジンがかからない |
| トイレが近く、夜間尿もある | ✓ 1日8回以上トイレに行く |
| 下痢しやすい・便がゆるい | ✓ 特に朝・冷たいものを飲んだ後に下痢 |
| 顔色が青白く艶がない | ✓ 「貧血っぽい？」とよく言われる |
| 生理痛が強く、経血が暗い | ✓ 冷えると生理痛が悪化する傾向 |
✔ 3つ以上当てはまれば、陽虚体質の傾向が強いと考えられます。
✅ 陽虚体質の主な原因
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 生まれつきの体質 | 遺伝的に陽気が弱い場合も |
| 長期の冷飲食習慣 | アイス・生野菜・冷たい飲み物の摂りすぎ |
| 過労・睡眠不足 | 陽気を消耗してしまう |
| 加齢 | 特に40代以降は腎陽が自然と衰える |
| 湿気の多い環境 | 梅雨・冬の冷湿な気候に弱い |
陽虚は、「脾腎陽虚（ひじんようきょ）」といわれるように、消化器や腎の働きと深い関係があります。
🍽 陽虚体質におすすめの薬膳食材
陽虚体質には、体を温めて陽気を補う「温補陽（おんぽよう）」の食材が基本です。
| 食材 | 効果 | 備考 |
|---|---|---|
| 羊肉 | 強力な温補作用、特に腎陽を補う | シチューや鍋に |
| しょうが | 体を内側から温め、巡りを良くする | 味噌汁・スープに活用 |
| シナモン（桂皮） | 脾腎の陽気を助け、冷えを改善 | お茶や煮込み料理に |
| にら | 陽気を助け、胃腸もサポート | 卵と炒めて吸収しやすく |
| 黒豆 | 腎陽を補い、むくみ・老化予防にも | ご飯・スープに混ぜて |
| 陳皮（ちんぴ） | 胃腸の働きを助け、湿を除く | お茶や煮物に風味づけとして |
📝 特に冬や梅雨時は積極的に温性食材を摂ることが陽虚改善の近道です。
🍲 陽虚体質向け簡単薬膳レシピ
1. 羊肉としょうがの味噌鍋
- 材料：羊肉、しょうが、白菜、豆腐、味噌
- 効果：腎陽を補い、体を芯から温める
2. 黒豆とにんじんの炊き込みご飯
- 材料：黒豆、にんじん、米、酒・塩
- 効果：脾と腎の陽気を補い、疲労感改善に◎
3. 陳皮入りなつめシナモン茶
- 材料：陳皮、なつめ、シナモンスティック、はちみつ
- 効果：体を温め、気血の巡りを良くする
🧘♀️ 陽虚体質の生活習慣アドバイス
| 習慣 | ポイント |
|---|---|
| 朝食は必ず摂る | 脾陽を養うには朝が勝負！温かい食事を |
| 湯船につかる | シャワーのみはNG。40℃前後で10分以上を目安に |
| 下半身を冷やさない | 靴下・腹巻・湯たんぽなどで温める習慣を |
| 冷飲食を控える | 氷水・アイス・サラダなどは極力避ける |
| 睡眠の質を重視 | 陽気は日中活動し、夜に休むことで再生される |
💡 陽虚体質に効くツボ
| ツボ名 | 位置 | 効果 |
|---|---|---|
| 命門（めいもん） | 腰の背骨中央、へその真裏 | 腎陽を強化し、体の芯を温める |
| 関元（かんげん） | おへそから指3本分下 | 元気を補い、冷え・下痢に◎ |
| 足三里（あしさんり） | 膝下3寸（指4本分）脛の外側 | 脾胃を補い、気血の循環を促進 |
🌿 お灸で温めるのが効果的です。特に冬〜春先は日常的に取り入れるのがおすすめ。
✅ まとめ：陽虚体質は“温める習慣”で体を変える
陽虚体質は、体を温める力＝陽気の不足が原因で、多くの冷え・むくみ・疲れといった不調につながります。
✔ 陽虚改善のポイント
- 羊肉・しょうが・シナモンなど温性食材を活用
- 冷たい飲食を避け、温かい食事を習慣化
- お風呂・お灸・適度な運動で陽気を養う
身体が内側から温まり、巡りが整うことで、活力と健やかさが戻ってきます。
「冷え」は万病の元。陽虚対策は、健康と美容の土台です。
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