はじめに:陰虚とは?
中医学における「陰虚(いんきょ)」とは、
体内の水分や潤い(=陰分)が不足している状態を指します。
陰とは、体を冷やし・潤す側面を持つエネルギー。
これが不足すると、身体の「乾き」「熱」「興奮」状態が目立ってきます。
現代的な視点で見ると、陰虚は「自律神経の乱れ」「慢性疲労」「ストレス過多」などと関連することが多く、特に40代以降や更年期の女性、夜型・多忙な生活を送る人に増えやすい体質です。
🌡 陰虚の主な症状
症状カテゴリ | よく見られる状態 |
---|---|
内熱・ほてり | 顔が火照る、午後〜夜に微熱が出る、寝汗 |
乾燥 | 皮膚・口・目の乾き、乾いた咳、便秘 |
精神面 | イライラ、不安、不眠、集中力の低下 |
舌の状態 | 舌が赤く、苔が少ないor無い |
✅ キーワードは「内側の乾燥」と「ほてり」。熱感があるのに冷たいものが効かない…そんな人は陰虚かもしれません。
🔍 陰虚の主な原因
- 長時間の過労・睡眠不足(陰を消耗)
- 加齢による体内潤いの減少(腎陰虚)
- 発熱や炎症が続いた後
- 辛いもの・揚げ物・アルコールの過剰摂取
- 感情の乱れ(怒り・焦り・緊張)
🧪 陰虚セルフチェックリスト(✔が3つ以上で陰虚傾向)
- □ 夕方になると顔が火照る・体が熱くなる
- □ 口が乾いてよく水を飲む
- □ 寝汗をよくかく
- □ 肌や髪が乾燥しやすい
- □ イライラや不安感が強い
- □ 眠りが浅く、夢をよく見る
- □ 舌が赤く、苔が少ない
🍐 陰虚におすすめの薬膳食材
陰虚には、体を潤し、熱を冷ます食材(滋陰・清熱)が効果的です。
食材 | 効能 | 帰経(作用する臓腑) |
---|---|---|
白きくらげ | 潤いを与え、乾燥・咳に効果的 | 肺・胃 |
梨 | 肺と喉を潤し、咳・口渇を和らげる | 肺・胃 |
豆腐 | 陰を補い、内熱を鎮める | 肺・大腸 |
百合根 | 心と肺を潤し、不眠やイライラに◎ | 心・肺 |
クコの実 | 肝腎の陰を補い、目の疲れにも | 肝・腎 |
山芋 | 胃腸を補いつつ、陰分を養う | 脾・腎 |
✅ 陰虚には、油を控え、スープや蒸し料理でやさしく調理するのがおすすめです。
🍵 陰虚におすすめの薬膳メニュー
- 白きくらげと梨のスープ
→ 肺を潤し、咳・喉の乾きに。デザートにも◎ - 豆腐と百合根の蒸し物
→ 胃腸に優しく、寝る前の一品にも - クコの実とナツメの煮物
→ 滋陰養血で、目の疲れや不眠対策に
🧘♀️ 陰虚を改善する生活習慣
やるべきこと | 内容 |
---|---|
良質な睡眠 | 夜22時〜2時は陰の回復時間、早寝を意識 |
冷えすぎに注意 | エアコンの風・冷たい飲食物で“潤い”が奪われる |
目や頭を使いすぎない | PC・スマホは陰を消耗、こまめな休憩を |
深呼吸・瞑想 | 肺腎を助け、心身をクールダウン |
💡 陰虚を補うおすすめツボ
ツボ | 所在地 | 効果 |
---|---|---|
太渓(たいけい) | 内くるぶしとアキレス腱の間 | 腎陰を補い、全身の潤いを養う |
照海(しょうかい) | 内くるぶしの真下 | 腎陰強化・口渇・不眠に効果的 |
三陰交(さんいんこう) | 内くるぶしから指4本上 | 肝・腎・脾を同時に補う万能ツボ |
🌿 お灸・指圧・温灸などでやさしく刺激してあげましょう。
✅ まとめ|陰虚は“潤いの消耗”に気づくためのサイン
陰虚は、見た目では分かりにくいけれど、
「なんとなく不調」「体が内側から乾く」「眠りが浅い」など、日常に潜む違和感を教えてくれる重要な体質です。
✅ 陰虚対策のポイント:
- 体を潤す食材(白きくらげ・梨・豆腐など)
- 良質な睡眠・スマホ時間の見直し
- 冷え対策と穏やかな暮らし
- ツボ刺激や薬膳スープでの継続ケア
体の“乾き”に気づいて、内側から潤すケアを始めましょう。
結果として、免疫力・美容・精神の安定にもつながっていきます。
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