はじめに:睡眠の質は“ホルモン”で変わる
「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」「朝起きても疲れが取れない」——そんな睡眠トラブルの背景にあるのが、「メラトニン」というホルモンの不足です。
本記事では、メラトニンの基本的な働きから、現代人に起きやすい分泌不足の原因、そして自然に増やす方法までを、鍼灸や東洋医学の観点も交えて解説していきます。
メラトニンとは?脳から分泌される“眠りのスイッチ”
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)という場所から分泌されるホルモンで、「体内時計」を調整する役割があります。
暗くなるとメラトニンの分泌が始まり、体は「眠る準備」に入ります。反対に、光を浴びると分泌が止まり、覚醒へと向かいます。
主な働き:
- 体温を下げて眠気を誘導
- 自律神経を副交感神経優位に
- 成長ホルモンの分泌をサポート
- 免疫力の維持・抗酸化作用も
なぜメラトニン不足になるのか?現代人に多い原因
現代社会ではメラトニンが正常に分泌されにくい生活習慣が蔓延しています。主な原因は以下のとおりです。
✅ 夜間のブルーライト
スマートフォン・パソコン・LED照明は「ブルーライト」を多く含み、メラトニン分泌を大きく妨げます。
✅ 昼夜逆転の生活
夜勤・シフト勤務・深夜までの活動などは、体内時計を狂わせ、日中に眠気・夜間に覚醒という逆転現象を招きます。
✅ ストレス・自律神経の乱れ
ストレスにより交感神経が優位になると、メラトニン分泌が抑制され、眠りの質が下がります。
メラトニンを自然に増やすための方法
メラトニンを薬に頼らず自然に増やすには、以下の生活習慣が効果的です。
1. 朝の光を浴びる(体内時計のリセット)
朝起きてから1時間以内に太陽光を浴びることで、メラトニンの“ストップスイッチ”が入り、14〜16時間後に分泌が再開されます。
2. 夜は光を控える(メラトニンの再分泌促進)
21時以降はスマホ・PCの使用を控え、間接照明や暖色系の照明に切り替えるのが効果的です。
3. トリプトファンを含む食材を摂る
メラトニンはセロトニン→トリプトファンという流れで体内合成されます。
おすすめ食材:
- バナナ・乳製品・卵・大豆製品
- ナッツ類(特にクルミ)・赤身魚(サーモンなど)
4. 腸内環境を整える
腸内でセロトニンの90%以上が作られるため、発酵食品・食物繊維・プレバイオティクスを意識した食生活も有効です。
5. 鍼灸・ツボ刺激で副交感神経を優位に
鍼灸では「百会」「神門」「安眠」などのツボが自律神経を整え、睡眠ホルモンの分泌促進に寄与します。
補足:メラトニンサプリはどうなの?
海外ではサプリでの摂取が一般的ですが、日本では医薬品扱いのため自己判断での使用は控えるべきです。
自然な分泌促進を基本とし、どうしても必要な場合は医師に相談しましょう。
まとめ:眠りを整えるには「光」と「生活リズム」の見直しから
メラトニンの分泌は、私たちの生活リズムと環境の影響を強く受けます。
質の良い睡眠を得るためには、「朝日を浴びて、夜は暗く」「トリプトファンを含む食事を心がける」「自律神経を整える」——このようなシンプルな工夫の積み重ねが重要です。
「寝つきが悪い」「朝まで熟睡できない」と感じる方は、まずは今日から光・食事・腸・ストレスの観点でセルフチェックしてみましょう。
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