血虚体質とは?——“血の不足”が招く不調と心身のサイン
中医学における「血虚(けっきょ)体質」とは、
体を栄養し、潤すための“血”が不足した状態を指します。
「血」は、中医学において精神・肉体・肌・臓器を養うエネルギーの源です。
血虚が進むと、「なんとなく元気が出ない」「顔色が悪い」「眠りが浅い」といった症状があらわれ、放置すると精神的な不調や免疫力の低下にもつながります。
✅ 血虚体質の主な症状とチェックリスト
以下の項目に複数当てはまる場合、血虚体質の可能性があります。
チェック項目 | ✓例 |
---|---|
顔色が青白い、または艶がない | ✓「疲れてる?」とよく言われる |
爪が割れやすい、白っぽい | ✓ ネイルの色に血色がない |
髪が抜けやすい、パサつきやすい | ✓ 髪のツヤが減ったと感じる |
めまいや立ちくらみがある | ✓ 急に立ち上がるとフラッとする |
不眠・夢が多い | ✓ 寝つきが悪く、眠りが浅い |
動悸がしやすい | ✓ 少しの運動でもドキドキする |
月経量が少ない、生理不順 | ✓ 周期が乱れたり、量が極端に少ない |
✔ 3つ以上当てはまる方は、血虚の傾向が強いと考えられます。
✅ 血虚の主な原因
原因 | 内容 |
---|---|
栄養不足 | 偏食、ダイエット、胃腸虚弱などで“血を作れない” |
慢性疲労 | 長時間の労働や育児で血が消耗される |
睡眠不足 | 夜更かしで“血を養う時間”が確保できない |
出血 | 月経過多、出産、手術、怪我による失血 |
ストレス・不安 | 血を消耗しやすく、肝の働きを乱す |
中医学では、「血は脾(ひ)で作られ、肝(かん)で貯蔵され、心(しん)で巡る」とされ、
脾胃の虚弱や肝血の不足、心神の乱れが大きな要因とされます。
🍽 血虚体質におすすめの薬膳食材
血虚の改善には、“補血(ほけつ)”と“健脾(けんぴ)”の両輪が重要です。
食材 | 効果 | 備考 |
---|---|---|
クコの実 | 肝血を補い、目の疲れ・美肌に◎ | ヨーグルト・スープに |
ナツメ(大棗) | 補血・安神・脾の強化 | 甘みがあり食べやすい |
黒ごま | 肝腎を補い、髪・肌にも◎ | おにぎり・和え物に |
ほうれん草 | 血を補い、鉄分豊富 | お浸し・炒め物で |
鶏レバー | 補血効果が高く、肝機能にも◎ | 適量を月数回がベター |
にんじん | 脾胃を助けながら補血 | スープや煮物に最適 |
✅ 脾胃が弱い方は、生食よりも煮物・スープ・温かい料理で消化吸収を高めましょう。
🍲 血虚体質向けおすすめ薬膳メニュー
1. ナツメとクコの実の薬膳粥
- 材料:米、クコの実、ナツメ、水、塩少々
- 効果:補血・安神・胃腸にやさしい朝ごはん
2. 鶏レバーとほうれん草の炒め物
- 材料:鶏レバー、ほうれん草、生姜
- 効果:鉄分・ビタミン補給に◎、冷えにも対応
3. 黒ごま入りにんじんポタージュ
- 材料:にんじん、黒ごま、豆乳、玉ねぎ
- 効果:脾を補いながら、血行・肌にも嬉しい一品
🧘♀️ 血虚体質におすすめの生活習慣
習慣 | 内容 |
---|---|
睡眠の質を重視 | 血は睡眠中に養われる。23時までに就寝を |
過労・夜更かしを控える | 血の消耗を防ぐ |
過度なダイエットを避ける | 栄養不足による血虚を防ぐ |
月経・出産後の回復に注意 | 補血食材や漢方を積極的に |
適度な運動 | 血流を促進し、鬱滞を防ぐ(ヨガ・ウォーキングなど) |
💡 血虚体質に効くツボ
ツボ名 | 位置 | 効果 |
---|---|---|
足三里(あしさんり) | ひざ下、脛の外側 | 脾胃を強め、全身の栄養吸収力をアップ |
三陰交(さんいんこう) | 内くるぶしから指4本上 | 補血・補陰・生理不順にも対応 |
膻中(だんちゅう) | 胸の中央、乳頭の中間 | 心を落ち着け、動悸・不安に◎ |
🌿 お灸・軽い指圧を取り入れて、体と心をほぐしていきましょう。
✅ まとめ:血虚体質は“栄養と休息”で改善できる
血虚体質は、「血の不足=体と心のエネルギー不足」によって、さまざまな不調をもたらします。
特に女性は月経や出産によって血を失いやすいため、日々のケアが大切です。
✔ 血虚体質ケアのポイント
- クコ・ナツメ・レバー・黒ごまなど補血食材を積極的に
- 睡眠と休息で“血を養う”時間をしっかり確保
- ツボや軽い運動で気血の巡りを整える
「なんとなく不調」を見逃さず、内側から栄養を満たしていきましょう。
✅ 関連記事リンク
▶️ 中医学における「邪気」とは?六淫の種類と体への影響、季節ごとの不調と予防法を解説
▶️ 陰虚とは?中医学における“内側の乾き”とほてり・不眠をケアする薬膳と生活養生
▶️ 気虚とは?中医学で考える“エネルギー不足”の原因と対策
▶️ 気虚・血虚・陰虚・陽虚とは?体質別セルフケアと薬膳アドバイス
▶️ 中医学とは?自然治癒力を高める中国伝統医学の基本理論と効果
鍼灸関連記事はコチラ:
関連:鍼灸とは?鍼灸の基礎知識
関連:鍼灸師と助産師の他職種連携は可能か?
関連:ことわざ「お灸をすえる」とは?意味や使い方