変形性腰椎症に対する鍼灸治療|慢性腰痛を和らげるツボと効果的なアプローチ方法

1. 変形性腰椎症とは?

変形性腰椎症は、加齢や長年の負荷により、腰椎(腰の骨)や椎間板、靭帯などが変形してしまう病気です。特に40歳以上の中高年に多く見られ、長年の姿勢や動作のクセが腰椎にかかり、腰椎が徐々に変形していくことで発症します。

変形した腰椎が神経を圧迫すると、慢性的な腰痛、こわばり、しびれなどの症状が現れることがあります。重度の場合には、神経痛や脚の筋力低下、しびれなども見られ、生活に支障をきたすケースも少なくありません。


2. 変形性腰椎症の主な症状と原因

変形性腰椎症の特徴的な症状は、慢性的な鈍い腰の痛みや朝のこわばり感です。変形によって骨や関節に負担がかかり、以下のような症状が発生することが多いです。

  • 腰の鈍い痛みと重だるさ
    特に起床時や長時間同じ姿勢をとった後に腰が重く、鈍い痛みを感じることが多いです。
  • 腰部のこわばり
    長時間動かないでいると、腰や背中が硬くなり、動きにくくなることがあります。
  • 脚のしびれや筋力低下
    腰椎の変形が神経を圧迫すると、下肢にしびれや筋力低下が現れることもあります。
  • 間欠性跛行
    神経が圧迫されると歩行時に痛みが出て、しばらく歩くと痛みで動けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる「間欠性跛行」が見られることがあります。

変形性腰椎症は、加齢、姿勢不良、腰にかかる負荷などが長年にわたって積み重なり発症します。


3. 変形性腰椎症に対する鍼灸治療の目的

鍼灸治療は、変形性腰椎症の慢性的な痛みやこわばりを軽減し、生活の質を向上させるための効果的なアプローチです。鍼灸による主な目的は以下の通りです。

  1. 腰部の血行促進と痛みの緩和
    鍼灸により腰部の血流を改善し、変形に伴う筋肉の緊張や痛みを緩和します。
  2. 筋肉の柔軟性向上とこわばり軽減
    腰部や背中の筋肉をリラックスさせ、こわばりを軽減することで、腰の動きやすさを取り戻します。
  3. 神経痛の緩和
    鍼による刺激で神経周囲の血流を促進し、神経痛を和らげる効果が期待できます。脚のしびれや筋力低下の軽減にも効果的です。

4. 変形性腰椎症に効果的なツボと鍼灸アプローチ

変形性腰椎症に対して鍼灸治療を行う際には、腰部の血行改善や神経痛を緩和するためのツボを中心に施術を行います。以下は、変形性腰椎症の症状緩和に特に効果的な主要なツボです。


(1) 腎兪(じんゆ)

  • 位置:第2腰椎棘突起の左右1.5寸の位置。
  • 効果:腰部の血行を促進し、筋肉のこわばりを和らげる効果があります。
  • 施術法:鍼をゆっくりと刺入し、深層の筋肉を緩和します。また、温灸を併用することで筋肉を温め、血流改善効果が高まります。

(2) 大腸兪(だいちょうゆ)

  • 位置:第4腰椎棘突起の外側1.5寸の位置。
  • 効果:腰部の慢性的な痛みや筋肉の緊張を軽減し、特に変形性腰椎症に有効です。
  • 施術法:鍼を軽く刺入し、硬直した筋肉をほぐすように刺激します。お灸と併用することで筋肉がさらにリラックスし、痛みの緩和が期待できます。

(3) 命門(めいもん)

  • 位置:第2腰椎棘突起の下に位置し、腰部全体の血行を促すツボ。
  • 効果:腰部の血流改善に効果があり、慢性的な腰痛や疲れを和らげます。
  • 施術法:鍼を深く刺入せず、浅めに刺入し、温灸で温めると血行促進とリラックス効果が高まります。

(4) 委中(いちゅう)

  • 位置:膝裏の中央にあるツボ。
  • 効果:腰から下肢にかけての痛みや神経痛を和らげる効果があり、下肢の血流を良くすることで腰部への負担を軽減します。
  • 施術法:膝裏の委中に鍼を刺入し、下肢全体の緊張が解けるように刺激します。坐骨神経への圧迫がある場合にも効果的です。

5. 変形性腰椎症に対する鍼灸治療のポイントと注意点

  1. 温灸の併用で血行促進
    変形性腰椎症は慢性的な症状のため、温灸による温熱効果が特に有効です。お灸で筋肉を温めながら施術を行うと、血行が改善し、こわばりが解消しやすくなります。
  2. 無理な刺激を避ける
    変形性腰椎症は関節や骨が変形しているため、強い刺激は逆効果となる可能性があります。患者の痛みや状態を確認しながら、穏やかな刺激を中心に施術を進めることが大切です。
  3. 筋肉の柔軟性向上を意識した施術
    長期の痛みやこわばりで筋肉が硬直しているため、施術では筋肉の柔軟性を意識したアプローチを行います。施術後には、腰や背中を無理なく動かせるようにサポートしましょう。
  4. セルフケアの指導
    変形性腰椎症は再発しやすいため、日常でできるセルフケアも重要です。腰部を温める方法や、軽いストレッチ、姿勢改善の指導も行い、患者が腰への負担を減らせるようサポートしましょう。

まとめ

変形性腰椎症は、加齢や腰への長年の負担によって腰椎が変形し、慢性的な痛みやこわばりが現れる疾患です。鍼灸は、「腎兪」「大腸兪」「命門」「委中」などのツボを中心に、筋肉のこわばりを和らげ、血行を促進することで、痛みや神経症状の改善が期待されます。

また、患者には温めるケアや日常的な姿勢改善を指導することで、症状の再発予防にもつながります。鍼灸治療とセルフケアを組み合わせ、変形性腰椎症による慢性腰痛を効果的にサポートしましょう。


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