知っておきたい「営気」とは?
中医学では、「気」は生命を支える基本エネルギーとして知られていますが、その中でも「営気(えいき)」は特に体の内部を栄養する役割を持つ重要な気です。
- 読み方:えいき(英語では”Ying Qi”)
- 意味:栄養の「営」、エネルギーの「気」
- 主な働き:血液とともに経絡を巡り、内臓や組織を養う
営気は「気血一体」とも言われるほど、血と密接に関連しています。
つまり、血虚=営気不足の一面でもあるということです。
🩸 営気の主な働き
働き | 詳細 | 関連する不調 |
---|---|---|
組織の栄養 | 五臓六腑・皮膚・筋肉を内側から養う | 乾燥肌、筋力低下 |
精神安定 | 心神を養うエネルギー源になる | 不眠、集中力低下 |
経絡を巡る | 血とともに経絡を流れる | 冷え、しびれ、倦怠感 |
✅ 特徴:衛気(外を守る気)に対して、営気は「内を守る気」。
🧍♀️ 営気が不足するとどうなる?
「営気虚(えいききょ)」の状態になると、以下のような不調が出やすくなります。
- 疲れやすい、無気力
- 顔色が悪く、血色が乏しい
- 肌の乾燥、かさつき
- 寝つきが悪い、夢を多く見る
- 舌が淡く、薄く白い苔がある
👉 これらは「気虚」と「血虚」の中間のような症状です。
🍚 営気を補う食材と薬膳の考え方
◎ 補営薬膳に使われる代表的な食材
食材 | 特徴 | 補う臓腑 |
---|---|---|
米(白米・玄米) | 胃腸を養い、気血の源 | 脾胃 |
山芋(山薬) | 消化吸収力を強化 | 脾・肺 |
なつめ | 血を補い、心を安定させる | 心・脾 |
鶏肉 | 高たんぱくで気を養う | 脾・腎 |
人参(にんじん) | 消化と栄養吸収をサポート | 脾胃 |
✅ 調理ポイント:なるべく温かい料理で摂取し、冷たいもの・生ものは控える。
🧘♀️ 営気を養う生活習慣
- 規則正しい食事と睡眠(22時までに就寝が理想)
- ストレスをためない生活
- 過労・夜更かし・過剰な運動は避ける
- 毎日短時間でもよいので深呼吸・瞑想の時間をつくる
🎯 ツボ刺激による営気の補助
以下のツボは、営気を養うために役立ちます。
ツボ | 所在地 | 効果 |
---|---|---|
足三里(あしさんり) | 膝下3寸 | 胃腸の活性化・気血を補う |
脾兪(ひゆ) | 背中の第11胸椎の横 | 脾を補い、営気を生む |
中脘(ちゅうかん) | おへその上 | 消化吸収の中心、脾胃を助ける |
※ やさしく温灸や指圧などで日常的にケアしましょう。
✅ まとめ|営気を整えることは、体と心を養うこと
営気は、単に“栄養を運ぶエネルギー”ではなく、身体全体の内側からの潤いと力を保つ源です。血との関係が深く、精神面にも作用するため、慢性疲労や冷え、不眠などにも大きく関与します。
「食べる・休む・巡らせる」を意識して、営気を養う生活を意識することで、内側からの美しさと強さを引き出すことができます。
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