気滞・湿熱・痰湿とは?中医学でみる体質の偏りと改善のための薬膳・セルフケア法

中医学における「偏り体質」とは?

中医学では、「虚証(不足)」だけでなく「実証(過剰・滞り)」も体質として重要視します。以下のような症状が出る方は、“偏り体質”の可能性があります。

  • イライラや胸のつかえが多い → 気滞
  • 肌荒れ・体臭・便秘 → 湿熱
  • むくみ・体が重い・痰が多い → 痰湿

今回はこの3つのタイプに絞って、症状の特徴とセルフケア法をご紹介します。


🌬 気滞(きたい)|気の流れが滞っている体質

特徴

  • イライラしやすい、怒りっぽい
  • 胸や脇が張る感じ、ため息が多い
  • 生理前に情緒不安定になりやすい
  • 食欲のムラ、ガスがたまりやすい

よくある不調

  • PMS(月経前症候群)、過敏性腸症候群
  • 自律神経の乱れ、胃の膨満感

おすすめ薬膳食材

  • 陳皮、みかん、ジャスミン、そば
  • セロリ、しそ、ミント、レモン

✅ 調理法:香りを活かしたお茶・スープ・サラダなどが◎

生活のセルフケア

  • ストレスをためない、深呼吸を意識
  • 朝日を浴びる、自然の中でリラックス
  • ツボ:太衝(たいしょう)内関(ないかん)

🔥 湿熱(しつねつ)|熱と湿がこもっている体質

特徴

  • ニキビや吹き出物が出やすい
  • 体がベタつく感じ、尿が濃い・匂う
  • 口が苦い、便がベタベタして残便感あり
  • 顔が赤い、怒りやすい

よくある不調

  • 肌荒れ、ニキビ、膀胱炎、便秘、痔
  • 口臭、体臭、舌苔が黄色い

おすすめ薬膳食材

  • 緑豆、ハトムギ、苦瓜、きゅうり
  • 冬瓜、セロリ、豆腐、トマト

✅ 調理法:油を控え、蒸し物・茹で物・冷製料理で清熱

生活のセルフケア

  • 揚げ物・辛いもの・お酒を控える
  • スマホやSNSの刺激を減らす
  • ツボ:合谷(ごうこく)曲池(きょくち)

💧 痰湿(たんしつ)|体内に“余分な水”がたまっている体質

特徴

  • 体が重だるく、むくみやすい
  • 胃がもたれる、痰がからみやすい
  • 舌に白くてベタついた苔がある
  • 雨の日に体調を崩しやすい

よくある不調

  • めまい、耳鳴り、アレルギー性鼻炎
  • 太りやすい、食後の眠気、頭重感

おすすめ薬膳食材

  • 大豆、はとむぎ、山薬(山芋)
  • しその葉、しょうが、春雨、昆布

✅ 調理法:炒め物よりもスープ・煮物中心に

生活のセルフケア

  • 甘いもの、乳製品を控える
  • 適度な運動で代謝を高める
  • ツボ:陰陵泉(いんりょうせん)豊隆(ほうりゅう)

✅ 偏り体質は「虚」とセットで起こりやすい

例)

  • 気虚 + 気滞 → 疲れやすくストレスに弱い
  • 陰虚 + 湿熱 → ほてり+肌トラブル
  • 脾虚 + 痰湿 → 胃腸虚弱+むくみや肥満

➡️ 複合タイプのケアには、専門家のアドバイスが有効です。


✅ まとめ|中医学で見る“偏り体質”を整えて快適な毎日へ

「気滞」「湿熱」「痰湿」などの体質は、中医学では“実証”にあたるもので、現代的にいえばストレス・代謝の乱れ・生活習慣の偏りが原因です。

自分の偏り体質を知ることで、

  • 適した食材(薬膳)
  • ツボケア
  • 生活習慣の改善

を通して、体と心のバランスを整えるセルフケアが可能になります。

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