「気分が落ち込む」「疲れやすい」「やる気が出ない」
これらの症状は、うつ病の典型ですが、実はビタミンやミネラルの不足が背景にあることも少なくありません。
現代人は食生活の偏りやストレスで、**慢性的な栄養不足(いわゆる“隠れ栄養失調”)**になりやすく、メンタル不調を引き起こしやすい状態にあります。
この記事では、
- うつと関わりが深いビタミン・ミネラル
- 食事・生活での補い方
- 鍼灸ケアとの連動
を、鍼灸師・鍼灸学生向けにわかりやすく解説します。
うつに関係する栄養素|不足しやすい4つのポイント
① ビタミンB群(特にB1・B6・B12・葉酸)
働き | 神経伝達物質の合成、エネルギー代謝 |
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不足による影響 | イライラ・不安感・疲労・集中力低下・うつ状態 |
☞ 精神科領域でも、ビタミンB群補充による気分安定が注目されています。
② ビタミンD
働き | 神経系・免疫調整、脳内炎症抑制 |
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不足による影響 | 季節性うつ、無気力感、慢性疲労、PMS悪化 |
☞ 日照不足(冬場・インドア生活)による**「冬季うつ」**の一因。
③ 鉄(特にフェリチン)
働き | 酸素運搬、ドーパミン・セロトニン合成に関与 |
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不足による影響 | めまい、頭痛、動悸、不安感、情緒不安定 |
☞ 「貯蔵鉄(フェリチン)」の低下でも精神症状が出るため、数値基準に注意。
④ マグネシウム
働き | 神経の興奮抑制、ストレス緩和、筋肉の緊張緩和 |
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不足による影響 | イライラ、不眠、抑うつ、筋肉のこわばり |
☞ ストレスによる排泄亢進で不足しがち。
現代型“スマホ・情報過多”による脳疲労とうつ症状に関与。
食事と生活習慣でできるビタミン・ミネラルケア
✅ 取り入れたい食材
栄養素 | 食材例 |
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ビタミンB群 | レバー、卵、納豆、胚芽米、青魚 |
ビタミンD | 鮭、サバ、干ししいたけ、卵黄、日光浴 |
鉄 | レバー、赤身肉、小松菜、ひじき、あさり |
マグネシウム | 海藻、豆腐、ナッツ、アボカド、バナナ |
💡 東洋医学的にも「脾胃を養い、血を補う」視点と重なるものが多いです。
❌ 控えたい食習慣
- 菓子パン・スイーツ(B群消耗・血糖値乱高下)
- カフェイン・エナジードリンク(ミネラル流出)
- 加工食品・ファストフード(栄養密度の低下)
鍼灸師ができるアドバイスとケア
◆ ① 「脾胃の働きを整える」施術
- 足三里・中脘・脾兪を中心に、消化吸収力の底上げ
- 胃腸虚弱・冷え・倦怠感を整え、栄養が届く体を作る
◆ ② 「肝気・心神」を落ち着けるアプローチ
- 太衝・神門・内関で、ストレス性の消耗を緩和
- 呼吸と合わせたリズムのある手技で、副交感神経を優位に
◆ ③ セルフケアとしての食事アドバイス
- 無理なく続けられる「簡単な置き換え」を提案
(例:「朝はパンよりおにぎり+味噌汁」「コンビニで納豆巻き」など)
☞ 「完璧な食事指導」ではなく、“できるところから”の提案が大切。
まとめ|ビタミン不足を“見逃さない鍼灸師”になろう
うつ症状を訴える方に対して、
- 生活習慣
- 食生活の乱れ
- 栄養の偏り
は、必ずと言っていいほど影響しています。
鍼灸施術に加えて、
- 「胃腸の力を整える」
- 「脳と心の栄養を満たす」
- 「気血を巡らせる」
という視点を持つことで、より深く、より優しく患者さんに寄り添うことができます。
“触れる鍼灸”と“食のケア”は、本来とても相性がいいものです。
明日の臨床から、ぜひ一つでも実践してみてください。
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