日本鍼灸大学 
「人に会うのがつらい」「LINEの返信さえ億劫」——
うつ病のとき、これまで何とも思わなかった人間関係が重く感じられるようになることがあります。
それは決して「わがまま」でも「甘え」でもなく、心が疲れているサインです。
この記事では、うつ病と人間関係のストレスの関係性、無理のない距離の取り方、心を守るためのちょっとした工夫についてご紹介します。
なぜ、うつ病になると人間関係がしんどくなるのか？
うつ病では、以下のような理由から、人付き合いが負担になりやすくなります。
◆ 1. 気力・集中力の低下
人の話を聞いたり、返事を考えたりするのにもエネルギーが必要です。
脳が疲れていると、会話ややり取りが負担に感じるのは自然なことです。
◆ 2. 自己否定感・罪悪感の増加
「迷惑をかけているのでは」「うまく話せない自分が情けない」と思ってしまい、人と関わること自体に罪悪感が生まれることもあります。
◆ 3. 刺激や情報に過敏になる
些細な言葉に傷ついたり、他人の気分に影響を受けたりしやすくなり、人といると疲弊する状態に。
➡ 関連記事：うつ病と自己否定感｜自分を責めてしまう心との向き合い方と回復のヒント
無理せず人と距離を取る3つの方法
◆ 方法①：「今は静かに過ごしたい」と伝えてみる
すべての人に説明する必要はありません。
ただ、信頼できる人には正直に「少し静かに過ごしたい」と伝えることで、誤解を避けられます。
例）
「今ちょっと体調が不安定で、返信が遅れるかもしれないけど気にしないでね」
「会いたい気持ちはあるけど、今は少し静かに休みたいと思ってるの」
◆ 方法②：SNSやグループLINEから一時的に距離を取る
通知オフ・ミュート・一時的なアカウント停止などを活用し、デジタルな人間関係から距離を置くことも心の休息になります。
「既読スルー」や「返信しない自分」を責める必要はありません。
◆ 方法③：会う人・関わる人を“選ぶ”
- 会って疲れる人
- 自分を否定する人
- ポジティブを押しつけてくる人
こうした相手とは“距離を取る権利”があります。
今は、「気を使わなくていい人」とだけ関わることが、心を守る最大のポイントです。
➡ 関連記事：うつ病とSNS・スマホ依存の関係｜心を疲れさせない使い方
心を守るコミュニケーションのコツ
◆ 1. 「ありがとう」とだけ伝える練習
感謝は伝えたいけれど、長文がつらい…。そんなときは、「ありがとう」だけでじゅうぶん。
相手に伝えることよりも、自分のエネルギーを消耗しないことを大切にしましょう。
◆ 2. 相談相手を絞る
「誰にでも相談しようとしない」ことも、回復期にはとても大切です。
話を聞いてくれる人、安心できる人だけに、少しずつ言葉にしていけば大丈夫です。
◆ 3. 「距離を取ること＝拒絶ではない」と知る
距離を置くことは、関係を壊すためではなく、守るための選択です。
あなたが自分を守るために選んだ距離感は、本当に大切な人なら、きっといつか理解してくれます。
➡ 関連記事：うつ病と家事・育児の両立｜無理なく過ごすための工夫と支援
誰にも会いたくない…それでも大丈夫
「誰とも関わりたくない」「誰にもわかってもらえない」——そう感じる日があって当然です。
そんなときは、無理に気を使ったり、前向きなふりをしなくていいんです。
ときには、「関わらない」という選択も回復のための大切な時間になります。
必要なのは、“いつかまた少しだけ関わりたくなったとき”のために、自分の心を守っておくこと。
まとめ
うつ病のとき、人間関係がしんどくなるのは自然な反応です。
だからこそ、「無理をしない」「心地よい距離感を自分で選ぶ」ことがとても大切になります。
- 距離を取ることは逃げではなく、自分を守る力
- 気を使わない関係が、心のリハビリになる
- 「少し疲れてるだけ」と、心に寄り添ってあげる
今は“頑張らない”関係を選んでいい。
あなたの心にとって、やさしい人間関係が少しずつ戻ってくるように。
その一歩として、この記事がお役に立てれば幸いです。
🔗うつ病の関連記事はコチラ
うつ病とは？症状・原因・治療法をやさしく解説【初心者向けガイド】
🔗鍼灸の関連記事はコチラ
[鍼灸の基礎知識：日本鍼灸の進化と現代医療における役割]
[鍼灸と自律神経の関係｜ストレス軽減と健康改善のメカニズム]
[鍼灸でサポートする産後うつ｜ホルモンバランス調整とストレス緩和によるケア]
