乳腺炎を鍼灸で改善|炎症や痛みを和らげるツボ

1. 乳腺炎に対する鍼灸治療の概要

乳腺炎は、乳腺が炎症を起こし、乳房の腫れ、痛み、発熱、赤みなどを引き起こす状態です。主に授乳期の母親に多く見られ、乳管の詰まりや細菌感染が原因で発症します。授乳中に乳房の一部にミルクが滞ることが炎症の引き金となり、放置すると症状が悪化して膿瘍を形成することがあります。

鍼灸治療は、乳腺炎による炎症や痛みを和らげ、乳房の血流を改善する補完療法として利用されます。特定のツボを刺激することで、乳腺の詰まりを解消し、炎症を抑える効果があります。また、鍼灸は痛みを和らげ、自然な治癒力を高める役割を果たします。


2. 鍼灸が乳腺炎に効果的な理由

乳腺炎は、炎症や詰まりによる痛みや腫れを伴うため、鍼灸治療は以下のようなメカニズムを通じて症状を改善します。

  • 血行促進による炎症の軽減
    鍼灸は、体内の血流を改善し、炎症のある乳房への酸素や栄養の供給を促進します。血行が良くなることで、乳腺内の詰まりが解消され、炎症が緩和されます。
  • 痛みの緩和
    鍼灸は体内の鎮痛物質(エンドルフィン)を分泌させ、乳房の痛みを軽減します。乳腺炎による激しい痛みが和らぎ、授乳中の不快感が緩和されることが期待できます。
  • リンパの流れの改善
    鍼灸はリンパの流れを促進し、乳房の腫れや滞った乳汁の排出を助けます。これにより、乳腺の詰まりや炎症の進行を防ぎ、回復を早めます。
  • 免疫機能の強化
    鍼灸は体の免疫力を高め、細菌感染による炎症を抑える効果があります。これにより、乳腺炎の自然な回復をサポートし、再発を防ぐことができます。

3. 乳腺炎に効く主要なツボ

乳腺炎に対する鍼灸治療では、乳房の炎症を抑え、血流を改善するために特定のツボを刺激します。以下に、乳腺炎の症状緩和に効果的な主要なツボを紹介します。

  • 膻中(だんちゅう)
    胸の中央にあるツボで、乳房の詰まりを解消し、血行を促進します。乳腺炎による乳房の腫れや痛みを和らげる効果があります。
  • 天宗(てんそう)
    肩甲骨の内側に位置するツボで、乳房や肩周りの血流を良くし、詰まりを解消する効果があります。乳腺炎の炎症を緩和し、乳腺の健康を促進します。
  • 乳根(にゅうこん)
    乳房の下にあるツボで、乳房の血液循環を改善し、乳腺の詰まりを解消する働きがあります。乳房の痛みや腫れに効果的です。
  • 合谷(ごうこく)
    手の親指と人差し指の間にあるツボで、全身の気の流れを調整し、炎症を抑える効果があります。乳腺炎による痛みや炎症の緩和に役立ちます。

4. 鍼灸と生活習慣の改善で相乗効果を得る

鍼灸治療に加えて、生活習慣の改善を取り入れることで、乳腺炎の症状を効果的に管理できます。以下の改善策を実践して、鍼灸治療との相乗効果を狙いましょう。

  • 授乳の姿勢を見直す
    授乳中に乳腺が詰まるのを防ぐため、赤ちゃんがしっかりと乳首を加えやすい姿勢を取ることが大切です。授乳後は乳房が完全に空になるまで搾乳を行うと、詰まりを防ぐことができます。
  • 水分を十分に摂取する
    水分を十分に摂取することで、体内の循環が良くなり、乳腺の詰まりを防ぎます。水やハーブティーをこまめに摂取し、体を潤すことが重要です。
  • 乳房を温める
    授乳前に温湿布で乳房を温めると、血行が良くなり、詰まりが解消しやすくなります。また、乳房を軽くマッサージすることで、ミルクの流れをスムーズにすることができます。
  • 規則正しい生活リズムを保つ
    疲労やストレスは乳腺炎の発症や悪化につながります。規則正しい生活を送り、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、体を休めることが大切です。

5. 自宅でできるセルフケア

鍼灸治療に加え、自宅で以下のセルフケアを行うことで、乳腺炎の症状をさらに効果的に管理できます。

  • ツボ押し
    「膻中」や「乳根」などのツボを指で軽く押し、5秒ほどキープし、ゆっくり離す動作を繰り返します。これにより、乳腺の詰まりが解消され、痛みが軽減されることが期待できます。
  • 温湿布や温浴
    温湿布を乳房に当てて温めることで、乳腺の詰まりを解消し、痛みや炎症を和らげる効果があります。また、温かいお風呂にゆっくり浸かることで、全身の血行が促進されます。
  • 乳房のマッサージ
    軽い圧をかけて乳房を優しくマッサージすることで、詰まった乳腺を解消しやすくします。ただし、強い圧力をかけるのではなく、軽く円を描くように優しく行うことが重要です。
  • 休息を取る
    乳腺炎は疲労やストレスによって悪化することがあるため、十分な休息を取ることが重要です。家事や育児の負担を軽減し、できるだけ体を休めるようにしましょう。

まとめ

乳腺炎は、乳房の炎症や詰まりによって痛みや腫れを引き起こす症状ですが、鍼灸治療を通じてこれらの症状を自然に緩和することが期待されます。鍼灸は、血流を促進し、炎症を抑えることで乳腺炎の症状を和らげます。また、生活習慣の改善やセルフケアを取り入れることで、鍼灸治療の効果が高まり、乳腺炎の再発予防にもつながります。症状が長引く場合や痛みが強い場合は、医師や鍼灸師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

開業鍼灸師のためのお役立ちメディア「カルテラス」へのリンク
鍼灸柔整キャリアラボへのリンク
鍼灸関連学会・セミナー・イベント
鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師を目指す全国養成校 大学・専門学校一覧のバナーリンク

この記事を書いた人

アバター

日本鍼灸大学

日本鍼灸大学は「世間と鍼灸を学問する」をコンセプトに有志の鍼灸師とセイリン株式会社が立ち上げたWebとYouTubeチャンネルです。普段、世間話と鍼灸学のお話しを井戸端会議的に気軽に楽しめる内容に仕立て日本鍼灸の奥深さを鍼灸学生に向けて提供します。
※当サイトは学校教育法に則った大学施設ではありません。文部科学省の指導の元、名称を使用しています。

2023年より鍼灸柔整キャリアラボを試験的にスタート!鍼灸柔整キャリアラボは『詳細はこちら』ボタンからアクセス。