「うつ病かもしれない」と思っても、自分では判断が難しいものです。
病院ではどのようにうつ病と診断されるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、うつ病の診断には世界共通の基準が用いられています。
それが、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)です。
この記事では、DSM-5に基づくうつ病(大うつ病性障害)の診断基準をわかりやすく解説し、医療現場での判断の流れもご紹介します。
DSM-5とは?
DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は、アメリカ精神医学会が作成した精神疾患の分類と診断基準のガイドラインです。
2025年現在、最新版はDSM-5で、世界中の精神科医・心理士がこの基準を参考に診断を行っています。
DSM-5は、日本の医療現場でも広く使用されており、うつ病の診断もこの基準に沿って行われています。
DSM-5におけるうつ病の正式名称は?
DSM-5では、うつ病は「大うつ病性障害(Major Depressive Disorder:MDD)」と定義されています。
この診断には、一定の症状が一定期間継続していることが条件となります。
DSM-5によるうつ病の診断基準(MDD)
DSM-5では、以下の9つの症状のうち5つ以上が、同じ2週間の間にほとんど毎日見られることが、うつ病の診断条件となっています。
そのうち、①抑うつ気分 または②興味・喜びの喪失のどちらかは必須項目です。
◆ 主な症状(9項目)
- 抑うつ気分(悲しい・空虚・絶望的な気持ち)
- 興味または喜びの著しい減退(ほぼすべての活動に対して)
- 体重減少または増加・食欲の変化
- 不眠または過眠
- 精神運動性の焦燥または制止(落ち着きがない/動作が鈍い)
- 疲労感または気力の低下
- 無価値感・過剰な罪責感
- 集中力の低下・決断困難
- 死にたい気持ち・自殺念慮・自殺行動
これらの症状が、社会生活・仕事・人間関係において著しい支障を引き起こしている場合に、うつ病と診断されます。
➡ 関連記事:うつ病の症状とは?身体・精神に現れるサイン一覧
診断時の注意点と医師の判断基準
診断にあたっては、以下の点も重視されます。
◆ 他の病気との見極め
甲状腺機能低下症・貧血・更年期障害など、身体的な病気によって似た症状が現れることもあります。
そのため、医師は必要に応じて血液検査なども行い、他の原因を除外したうえで診断します。
◆ 適応障害や双極性障害との区別
抑うつ状態を呈する別の精神疾患(適応障害・双極性障害など)との**鑑別診断(見分け)**も重要です。
特に双極性障害(躁うつ病)は治療法が異なるため、慎重な診断が求められます。
➡ 関連記事:軽度うつと重度うつの違い|症状・対応のポイントを解説
診断は「医師との会話」で決まる
実際の診断は、問診(カウンセリング)を通じて行われます。
医師は、患者の話をじっくり聞きながら、症状の程度・期間・生活への影響などを総合的に判断します。
◆ よくある質問内容(例)
- 最近、気分はどのように感じますか?
- 眠れてますか? 食欲はありますか?
- 興味・喜びを感じられますか?
- 疲れやすさ・集中力の低下はありますか?
- 自分を責める気持ちはありますか?
- 死にたい気持ちになることはありますか?
これらの問診を通して、DSM-5の診断基準に照らし合わせながら、医師が診断を行います。
自分で気づくためのセルフチェックも有効
「病院に行く前に、ある程度の目安を知りたい」という方には、簡易的なセルフチェックツールの活用もおすすめです。
医療機関が監修するチェックリストなどを活用し、自分の心の状態を把握しましょう。
➡ 関連記事:うつ病セルフチェック|簡単な質問で心の状態を確認しよう
まとめ
うつ病の診断は、DSM-5という国際基準に基づいて行われる明確な医学的プロセスです。
「気分の落ち込み=うつ病」ではなく、症状の数・強さ・期間・生活への影響などを総合的に判断して診断されます。
不安を感じたときは、「様子を見る」よりも「早めに相談」することが回復への第一歩です。
この記事が、うつ病への理解を深める一助となれば幸いです。
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