「うつ病かも」と感じたとき、どうやって診断されるの?
「最近ずっと気分が落ち込んでいる」
「でも、これって本当に“うつ病”なの?」
「病院ではどんなふうに診断されるんだろう…?」
このような疑問を抱える方は少なくありません。
うつ病は自己判断が難しい精神疾患ですが、医療現場では「DSM-5」という世界共通の診断基準に基づいて、専門的に評価されます。
この記事では、
- DSM-5の基本情報
- うつ病の診断基準(9つの症状)
- 医師が診断するときの流れや注意点
- セルフチェックの活用方法
を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
DSM-5とは?精神疾患の診断の“ものさし”
DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th edition)は、アメリカ精神医学会(APA)が発行する精神疾患の診断基準マニュアルです。
世界中の精神科医・心理士がこのガイドラインを用いて診断を行っており、日本の医療現場でも広く使われています。
DSM-5における「うつ病」の正式名称は?
DSM-5では、うつ病は「大うつ病性障害(Major Depressive Disorder:MDD)」と呼ばれています。
この診断には、特定の症状が2週間以上続いていることが必要です。
【DSM-5によるうつ病の診断基準】9つの症状と必要条件
DSM-5では、以下の9つの症状のうち5つ以上が、同じ2週間の間にほとんど毎日見られた場合に「大うつ病性障害」と診断されます。
※うち必ず ①または②のどちらか1つを含んでいる必要があります。
✅ 9つのうつ病診断項目(DSM-5)
- 抑うつ気分(悲しさ・空虚感・絶望感)
- 興味・喜びの喪失(趣味や日常の活動への関心がなくなる)
- 体重の変化(食欲の増減・数kgの体重変動)
- 睡眠障害(不眠または過眠)
- 精神運動の焦燥または制止(落ち着きがない/動作が鈍くなる)
- 強い疲労感・気力の低下(ちょっとした行動でも疲れる)
- 無価値感または過剰な罪悪感
- 集中力の低下・優柔不断になる
- 死にたい気持ちや自殺念慮、実際の自殺行動
◉ 診断には「生活への影響」も必須条件
これらの症状が、以下のような社会的・職業的機能に著しい支障をきたしている場合、うつ病と診断されます。
- 仕事に集中できない
- 学校へ行けない
- 人間関係を避けてしまう
- 外出できない・引きこもる など
➡ 関連リンク:うつ病とは?症状・原因・治療法をやさしく解説【初心者向けガイド】
医師はどうやってうつ病を診断するの?
◉ 診断の基本は「問診(カウンセリング)」
うつ病の診断は、血液検査や画像診断ではなく、医師との対話(問診)によって行われます。
◉ よくある質問内容
- 最近、気分の落ち込みがありますか?
- 何に対しても興味が湧かない状態が続いていますか?
- 食欲や睡眠に変化はありますか?
- 自分を責める気持ちはありますか?
- 死にたいと思ったことがありますか?
これらの回答をもとに、DSM-5の基準に照らし合わせて総合的に診断されます。
うつ病診断時の注意点|似た症状との鑑別も重要
✅ 他の身体的な病気を除外することが大前提
うつ病と似た症状が出る身体疾患もあります。
- 甲状腺機能低下症
- 貧血
- 更年期障害
- 慢性疲労症候群 など
これらの可能性を除外するため、医師は必要に応じて血液検査・ホルモン検査を行います。
✅ 精神疾患間の見極めも重要
うつ状態は以下のような疾患でも起こり得ます。
- 双極性障害(躁うつ病)
- 適応障害
- パーソナリティ障害 など
とくに双極性障害は治療法がうつ病と異なるため、誤診を避けるための慎重な判断が必要です。
➡ 関連リンク:軽度うつと重度うつの違い|症状・対応のポイント
病院に行く前に|セルフチェックの活用もおすすめ
「まだ病院に行くほどではないかも…」
「ちょっと不安だけど、様子を見たい」
という方には、うつ病セルフチェックの活用がおすすめです。
医療機関や公的機関が提供するチェックリストを用いて、自分の今の心の状態を把握することができます。
◉ セルフチェックで確認できる内容
- 抑うつ気分の有無
- 意欲や集中力の変化
- 睡眠・食欲の変化
- 不安・焦燥感の程度
- 自殺念慮の有無 など
➡ 関連リンク:うつ病セルフチェック|簡単な質問で状態を確認しよう
まとめ|うつ病の診断は「医学的根拠」に基づいて行われる
うつ病の診断は、DSM-5という国際的かつ科学的に裏付けられた基準に基づいて行われるため、医師の判断には一定の信頼性があります。
✅ 要点まとめ
- うつ病の診断にはDSM-5(9つの症状+生活への影響)が使用される
- 症状が2週間以上続いていることが条件
- 他の身体疾患・精神疾患との見極めも重要
- 実際の診断は医師との問診で行われる
- 不安な場合はセルフチェックから始めてみてもOK
「落ち込む=うつ病」とは限りませんが、放っておかずに自分を見つめ直すことが大切です。
▶ ひとりで抱えず、まずは相談から
うつ病は、早めの対応で回復しやすくなる病気です。
不安な症状に気づいたら、ひとりで悩まず、信頼できる医療機関やカウンセラーに相談してみましょう。
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