「なんだか毎日疲れやすい」
「急に涙が出たり、イライラしたり…」
「今までできていたことが、しんどく感じる」
40代〜50代の女性が感じるこうした心の揺らぎは、更年期うつと呼ばれる状態かもしれません。
更年期とは、女性ホルモンの分泌が大きく変化する時期であり、体と心のバランスが同時に崩れやすくなる時期です。
この記事では、東洋医学の視点から見る更年期うつの特徴と、心を整える漢方・食事・セルフケア方法をやさしくご紹介します。
更年期うつとは? ホルモン変化と心の揺らぎ
女性は40代半ば〜50代前半にかけて、**エストロゲン(女性ホルモン)**が急激に減少していきます。
この変化により、以下のような心身の症状が現れやすくなります。
◆ 主な更年期のうつ症状
- 気分が沈む、わけもなく涙が出る
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
- 疲れが取れない、体が重い
- 人と会うのが億劫になる
☞ 症状は日によって変わりやすく、自分でもコントロールが難しいのが特徴です。
東洋医学の視点|更年期うつは「腎虚」「肝鬱」「血虚」などの複合タイプ
東洋医学では、更年期は「腎(じん)」の衰えから始まり、気・血・水のバランスが乱れることで不調が現れると考えます。
◆ よく見られるタイプ
タイプ | 特徴 | 対応方法 |
---|---|---|
腎虚(じんきょ) | 体力低下・不眠・物忘れ・耳鳴り | 補腎作用のある漢方・食養生 |
肝鬱(かんうつ) | イライラ・怒り・情緒不安定 | 気を巡らせる漢方・香り・ツボ |
血虚(けっきょ) | 不安感・動悸・疲労・目の疲れ | 血を補う食材・休息・安眠ケア |
更年期うつに使われる代表的な漢方薬
漢方名 | 主な作用 | 向いている症状 |
---|---|---|
加味逍遙散(かみしょうようさん) | 気の巡りを整える・情緒安定 | イライラ・不眠・PMS様の症状 |
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | 血行促進・冷え改善 | 冷え・肩こり・顔のほてりなど |
六味丸(ろくみがん) | 腎を補う・疲れやすさに | 足腰のだるさ・物忘れ・夜間尿など |
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) | 胃腸を補い元気を出す | 食欲不振・体力低下・やる気の低下 |
抑肝散加陳皮半夏 | 不安・緊張・興奮を抑える | イライラ・不安感・怒りっぽさ |
💡 ポイント:
漢方は体質に合わせて選ぶのが基本。更年期専門の漢方医や婦人科医の診察を受けると安心です。
食養生で“内側から整える”ケア
✅ 積極的に摂りたい食材
- 黒豆・黒ごま・ひじき → 腎を補う
- ナツメ・クコの実 → 血を補い、不安を和らげる
- 根菜・鶏肉・卵 → エネルギー補給、体を温める
❌ 避けたい食習慣
- 冷たい飲み物や生野菜中心の食事
- 甘いもの・コーヒーの過剰摂取(気の乱れを増幅)
気持ちを整えるためのセルフケアヒント
◆ ツボ押し・温灸
- 太衝(たいしょう):情緒の乱れに
- 三陰交(さんいんこう):ホルモン・血流バランス
- 腎兪(じんゆ):腰のあたりを温めると◎
◆ 香りで気分転換
- ベルガモット・ネロリ・ラベンダーなどの精油で、自律神経を整える
- 更年期世代は**東洋ハーブの香り(シナモン・クローブ)**もおすすめ
まとめ|“ゆらぎの時期”を責めずに整える
更年期のうつ症状は、ホルモンと心のゆらぎが重なって現れるもの。
東洋医学では、「無理に治す」のではなく、ゆっくり“整えていく”ことが基本とされています。
- 体の変化を知る
- 自分に合った漢方や食養生を取り入れる
- 気の巡り・血の流れ・腎の力をやさしくサポートする
そうした日々のケアが、更年期の心の不調をやわらげ、前向きに乗り越える力になります。
あなたのペースで、少しずつ心と体を“整える”ことを、ぜひ大切にしてみてくださいね。
🔗うつ病の関連記事はコチラ
うつ病とは?症状・原因・治療法をやさしく解説【初心者向けガイド】
🔗鍼灸の関連記事はコチラ
[鍼灸の基礎知識:日本鍼灸の進化と現代医療における役割]
[鍼灸と自律神経の関係|ストレス軽減と健康改善のメカニズム]
[鍼灸でサポートする産後うつ|ホルモンバランス調整とストレス緩和によるケア]