「生理前になると、イライラしたり落ち込んだりする」
「毎月くる心の不調に振り回されて、自分が嫌になる」
「PMSなのか、うつなのかわからないけどとにかくつらい…」
そんな声に、東洋医学がやさしく寄り添ってくれることがあります。
月経前に心が不安定になる「PMSうつ」は、西洋医学ではホルモンの変動によるものとされていますが、東洋医学では“気の巡り”の乱れ=「気滞(きたい)」として捉えます。
この記事では、PMSうつと気滞の関係、改善に役立つ東洋的セルフケア(漢方・ツボ・食習慣)をわかりやすく紹介します。
PMSうつとは? その特徴と困りごと
PMS(月経前症候群)の中でも、精神的な不調が強く出る状態を「PMSうつ」と呼ぶことがあります。
✔ 気分の落ち込み
✔ イライラ、怒りっぽさ
✔ 不安感、涙もろさ
✔ 集中力の低下
✔ 無気力、疲れやすさ
これらの症状が、排卵後(生理の2週間前)から強くなり、生理開始とともに軽くなるという周期性があります。
東洋医学の視点:PMSうつ=「気滞(きたい)」タイプ?
東洋医学では、感情の不調も「気(き)」の流れが滞ることで起こると考えられています。
特にPMSうつに多いのが、「肝(かん)の気」がうまく巡らない状態=気滞(きたい)タイプです。
◆ 気滞タイプの特徴
- ため息が多い
- お腹が張る
- 生理前に胸がつかえる感じ
- イライラ or 逆に沈黙・無力感
- ストレスに敏感
☞ 気滞が強くなると、「気が上に上がる」「下に降りない」といったバランスの乱れが起こりやすくなります。
東洋医学的セルフケア①|気滞を流す漢方薬
漢方名 | 主な作用 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
加味逍遙散(かみしょうようさん) | 肝の気を巡らせ、情緒の不安定を和らげる | PMS全般・イライラ・抑うつ感 |
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) | 緊張・不眠・動悸に対応 | 情緒の波が激しい人向け |
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) | 喉の詰まり・不安・緊張を和らげる | PMSで喉や胸がつかえる感覚のある人 |
💡 ポイント:
- 漢方は体質に合ってこそ効果を発揮します。
- 市販薬よりも、婦人科や漢方外来での処方が安心です。
東洋医学的セルフケア②|気の巡りを助けるツボ
ツボ名 | 効果 | 場所(目安) |
---|---|---|
太衝(たいしょう) | イライラ・怒り・気の滞りを流す | 足の親指と人差し指の骨の間 |
中脘(ちゅうかん) | 胸のつかえ・胃の不快感に | みぞおちとおへその間 |
神門(しんもん) | 不安・緊張・不眠に | 手首の小指側のくぼみ |
☞ 指で5秒押して3回くらい。吐く息とともにゆっくり押すのがコツです。
東洋医学的セルフケア③|気滞を防ぐ食習慣
❌ 避けたいもの(気を詰まらせやすい)
- 甘いもの(チョコ、菓子パン)
- 冷たい飲み物
- 添加物の多いコンビニ食
✅ 取り入れたい食材
- 柑橘系(レモン、みかん、ゆず)→「気を巡らせる」
- 香味野菜(しょうが、ねぎ、しそ)→「温め+解放」
- 穀物(玄米、おかゆ)→「土台を整える」
💡 ポイント:
ストレスで暴飲暴食したくなる時こそ、「少し香るものを加える」意識で心もゆるみます。
まとめ|PMSうつを“整える”視点でやさしくケアを
PMSうつは、毎月訪れる「心と体の揺らぎ」。
それに対して、「戦う」のではなく、整えて受け止めていく東洋医学的な視点がとても役立ちます。
- 「気を巡らせる」ことを意識する
- 自分の体質・タイプを知る
- 香り・ツボ・食事など、“五感に効くセルフケア”を取り入れる
あなたの心と体はちゃんとつながっています。
がんばることより、「やさしく触れてあげること」が、PMSうつを乗りこえるヒントになるかもしれません。
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