「うつ病は“心の風邪”と言われるけれど、実際はどんな仕組みで起こるの?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
うつ病は、単なる「気の持ちよう」ではなく、脳内の神経伝達物質やホルモンバランスの乱れによって生じる“脳の病気”です。
この記事では、うつ病に関係する脳の働きやホルモン(セロトニン・ノルアドレナリン・コルチゾール)などの仕組みを、わかりやすく解説します。
うつ病は「脳内化学物質のバランス異常」で起こる
私たちの脳は、神経細胞同士が化学物質(神経伝達物質)を使って情報をやり取りしています。
うつ病では、この神経伝達物質のバランスが崩れ、「感情」や「思考」「やる気」などをコントロールしづらくなる状態になります。
セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンの役割
◆ セロトニン(安定・安心を司る物質)
- 心のバランスを整える「幸福ホルモン」
- 不足するとイライラ、不安、落ち込みやすくなる
- 睡眠や食欲、体温調整にも関与
▶うつ病ではこのセロトニンの働きが弱くなっているケースが多く、抗うつ薬(SSRI)はこの働きを補うために使われます。
◆ ノルアドレナリン(意欲・集中を高める物質)
- ストレス時に分泌される「闘争・逃走ホルモン」
- 判断力、集中力、行動力に関与
- 不足すると無気力、集中困難、注意散漫に
▶うつ病では「何もやる気が出ない」と感じるのは、ノルアドレナリンの減少が関係していることがあります。
◆ ドーパミン(快感・報酬に関わる物質)
- 「うれしい」「楽しい」と感じる脳内報酬物質
- やる気・快楽・学習への動機づけに重要
- 不足すると楽しみを感じにくくなり、無関心になる
➡ 関連記事:うつ病の治療法まとめ|薬物療法・カウンセリング・生活改善の選択肢を解説
ストレスとホルモンの関係|コルチゾールの影響
◆ コルチゾールとは?
ストレスを受けたときに分泌される「ストレスホルモン」。
一時的には必要なものですが、慢性的に分泌され続けると、脳の海馬(記憶や感情をつかさどる部位)を委縮させることがわかっています。
◆ ストレス→コルチゾール増加→セロトニン減少の悪循環
- 強いストレスを受ける
- コルチゾールが過剰に分泌される
- セロトニンやドーパミンの働きが低下
- 抑うつ状態・意欲低下へ
つまり、ストレスが続くと、脳の化学バランスが崩れ、うつ病のリスクが高まるというわけです。
➡ 関連記事:うつ病の原因とは?ストレス・脳内物質・性格傾向など複合的な要因を解説
脳科学から見たうつ病の代表的な症状と対応
脳内物質の乱れ | 主な症状 | 主な治療アプローチ |
---|---|---|
セロトニン低下 | 不安感・落ち込み・イライラ | SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)など |
ノルアドレナリン低下 | 無気力・集中力低下 | SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)など |
ドーパミン低下 | 楽しみを感じない・喜びの喪失 | NDRIなどの薬物、快活動(趣味・運動) |
※症状や治療は個人差が大きいため、必ず医師と相談した上で進めましょう。
日常生活でできる「脳のバランス」を整えるヒント
◆ 規則正しい生活リズム
- 起床・就寝時間を固定する
- 朝に太陽光を浴びる(セロトニン活性)
- 毎日軽い運動(ウォーキング・ストレッチなど)
◆ 良質な栄養
- たんぱく質(トリプトファン)を多く含む食材:大豆製品・卵・魚など
- ビタミンB群、鉄、マグネシウムもセロトニン合成に必要
◆ 小さな「達成感」を積み重ねる
- 小さな目標(歯を磨く・洗濯する・散歩する)をこなすだけでも、脳に報酬が与えられ、ドーパミンが活性化されます。
➡ 関連記事:うつ病に効果的なセルフケア5選|心を整える日常習慣
まとめ
うつ病は、**脳内の神経伝達物質やホルモンのバランスが崩れることで生じる“脳の不調”**です。
「気持ちの問題」と片づけるのではなく、科学的な根拠に基づいた理解が、適切な対処や周囲の理解を生み出します。
セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン、そしてコルチゾールといったホルモンの働きを知ることで、心の動きにも納得感が生まれ、対策を前向きに実践しやすくなります。
自分の心と脳を労わりながら、焦らず少しずつ整えていきましょう。
この記事がその第一歩となれば幸いです。
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