うつ症状を悪化させる食習慣とは?鍼灸師が伝えたい“避けたい食べ方”とセルフケアのヒント

「最近どうも元気が出ない」
「イライラしやすく、情緒が安定しない」
「疲れやすく、朝起きるのがつらい」

こうした“なんとなくの不調”が続くとき、
その背景に「食べ方のクセ」が影響していることは、意外と見落とされがちです。

この記事では、

  • うつ症状を悪化させやすい食習慣
  • 鍼灸師としてできるセルフケアの伝え方
    を、東洋医学と現代栄養学の両面から整理します。

うつ症状を悪化させる「避けたい食習慣」5選

① 朝食を抜く/空腹時間が長すぎる

  • 血糖値の乱高下 → 気分のムラ・イライラ
  • 東洋医学的には「脾気虚」「気血不足」の悪化要因
  • 午前中に気力が湧かず、無気力・抑うつ感が強くなる

朝は“温かい汁物+少しの炭水化物”を推奨
(例:お味噌汁+ごはん+卵 or 納豆)


② 菓子パン・甘い飲み物の頻繁な摂取

  • 血糖値スパイク → 眠気・だるさ・気分の落ち込み
  • 脾を傷め、痰湿が生じやすくなる(東洋医学的視点)
  • 食後の強い眠気は、気血の巡りを悪くするサイン

☞ 小腹が空いたら、ナッツ・ゆで卵・甘栗など血糖値が安定しやすいものを勧める。


③ 冷たい飲み物・アイス・サラダ中心の食事

  • 胃腸の冷え → 消化力低下 → 栄養が巡らない
  • 東洋医学的には「脾陽虚」を悪化させ、冷え・倦怠感が増す
  • 特に夏場・疲労時に「元気が出ない」の原因に

常温~温かい飲み物に切り替え(白湯・ほうじ茶・生姜湯など)


④ カフェイン・エナジードリンクの過剰摂取

  • 一時的な覚醒 → 反動で自律神経が乱れる
  • 気虚・血虚をさらに消耗させ、情緒不安定に
  • 夜間の眠りが浅くなり、翌日以降の気分悪化を招く

☞「疲れたらカフェイン」より、“まずは深呼吸・ストレッチ”を勧める


⑤ 過度なダイエット・偏った制限食

  • タンパク質・鉄・ビタミンB群などの不足 → 神経伝達物質の合成低下
  • 東洋医学では「血虚」「気血両虚」となり、情緒不安・抑うつへ
  • 若年女性に多く見られるうつ傾向の一因

☞「体を整えれば、自然にバランスが取れる」という養生的視点で伝える。


鍼灸師ができるセルフケア指導のポイント

◆ 1. 「すぐにできる」「難しくない」提案を

  • 「朝はお味噌汁だけでもOK」
  • 「冷たい飲み物をやめるだけで違う」
  • 「小腹が空いたらゆで卵を常備」

“完璧”を求めず、小さな実践の積み重ねを後押しします。


◆ 2. 鍼灸施術での“実感”を食事にもつなげる

  • 施術後に「体が温かくなる」 → 「温かいものを飲むと続く」
  • 「頭がスッキリした」 → 「次は甘いパンを控えるともっと楽かも」
  • “体感ベース”でのセルフケア提案が効果的

◆ 3. 「脾胃をいたわる=心が軽くなる」ことを伝える

  • 鍼灸で「脾」を整える → 食事の吸収・気血のめぐりが改善
  • その結果、気分が前向きに戻ってくることを、わかりやすく説明

まとめ|“食べ方を整える”のが、心を整える第一歩

うつ症状は、薬やカウンセリングだけでなく、
日々の食べ方・食べるものの積み重ねが心身に大きな影響を与えます。

鍼灸師としてできることは、

  • 身体を整え、巡りを良くする
  • その上で、無理なく続けられる“やさしい食養生”を伝える
  • 「できた!」という自己効力感を一緒に育てる

そんな丁寧な関わりが、心を整える確かな一歩になります。

「脾胃は後天の本」。
だからこそ、食べ方から“心の元気”を作る視点を、臨床の現場でも大切にしていきましょう。


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