ツボ押しやお灸だけで、うつ病を治せるとは確認されていません。気分の落ち込みや興味の低下、眠れないなどの変化が続く、日常生活が難しいときは、かかりつけ医や精神科・心療内科に相談してください。薬や心理療法を受けている場合は自己判断で中断しないでください。「死にたい」「消えたい」と感じるときは、ツボ押しやお灸を試す前に、すぐに身近な人や医療者、相談窓口へ伝えてください。差し迫った危険があれば119番へ連絡してください。
うつ病とツボ押し・お灸の研究でわかること
鍼を使う施術、指で押す「指圧」、熱を使う「お灸」は別の方法です。鍼の研究を、そのまま家庭でのツボ押しやお灸の効果に当てはめることはできません。2018年のコクランレビューでは、鍼は通常ケアや無治療と比べて症状を軽くする可能性が示されましたが、研究の質は低く、薬や心理療法の代わりになるかは判断できません。
指圧のレビューにも抑うつ症状の改善を報告した研究があります。ただし、対象者、押す場所、方法が異なり、家庭で「神門・内関・百会・足三里・三陰交」を押せば症状別に効くとは確認されていません。お灸についても、うつ病の治療効果や適切な回数をこの研究から決めることはできません。「自律神経を整える」「ホルモンを調整する」といった仕組みを個人の治療効果として断定しないことが大切です。
つらいときは、セルフケアより相談を優先
症状が2週間未満でも、眠れない、食べられない、仕事や家事ができない、つらさが強いときは相談できます。症状が続いている期間だけで受診の可否を判断しないでください。具体的な症状と治療の選択肢は、うつ病の基礎と相談先にまとめています。
「死にたい」「消えたい」と感じるときは一人で抱えず、今すぐ家族・友人・医療者などに伝えてください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」電話相談には、#いのちSOS(0120-061-338、2026年9月22日時点で24時間受付)が案内されています。受付条件は公式ページの最新情報を確認してください。今すぐ自分を傷つけそう、すでに傷つけたなど差し迫った危険があれば119番に連絡してください。
ツボ押しをするなら
ツボ押しを試したい場合も、治療や相談の代わりにしないでください。皮膚に傷や痛みがある場所を避け、心地よい範囲で軽く触れる程度にとどめ、痛みや気分の悪さが出たら中止します。「5秒を3回」など、うつ病への効果が確立した押し方はありません。できない日があっても、回復の妨げになるわけではありません。
家庭でお灸を使う前に確認したい安全上の注意
お灸は熱を利用するため、やけど、水疱、かぶれなどが起こり得ます。火を使う製品では火や煙にも注意が必要です。製品ごとに使い方が異なるため、説明書を読んでください。熱さを我慢せず、熱い・痛いと感じたらすぐに外します。熱を感じにくい人や糖尿病などで温感に問題がある人、妊娠中の人は、自己判断で使用せず医師や鍼灸師に相談してください。顔・頭、傷や湿疹のある場所への自己使用は避けてください。煙が苦手な人は無理に使わず、火の始末と換気にも注意します。
気力や集中力が落ちていて安全に火を扱えないときは、家庭での火を使うお灸を見送ってください。製品の種類や体調に関係なく使用時間を決めたり、頭部に自己判断でお灸をしたりしないでください。やけどや水疱、化膿が生じたら使用をやめ、医療機関に相談してください。
よくある質問
うつ病に「効く」ツボは決まっていますか?
特定のツボを押せば、うつ病や不眠・不安が治るという根拠はありません。神門・内関などのツボについても、症状ごとの効果は確認できていません。
ツボ押しやお灸をすれば薬をやめられますか?
やめられるとはいえません。薬や心理療法の変更は主治医と相談してください。
気分がつらい日に、自宅でお灸をしてよいですか?
集中しにくい、火を安全に扱えないときは見送ってください。つらさが強い、または「死にたい」と感じるときは、お灸より先に人や医療機関へ相談してください。






