寒暖差で頭痛が起きるのはなぜ?原因(自律神経・血管・筋緊張)と対策をわかりやすく解説

1. 寒暖差頭痛とは?「温度差」より「切り替え負担」

寒い屋外→暖かい室内、暖房の部屋→冷えた廊下など、短時間の温度差で頭痛が出ることがあります。これは温度そのものが痛いのではなく、体温を一定に保つための調整が急増し、体が“対応しきれない”状態になるためです。体は血管の開閉、発汗、筋緊張、心拍などを連動させて熱の出入りを管理しますが、寒暖差が大きいほど調整回数も増えます。結果として、頭部の血管や首肩の筋、痛みの神経が刺激されやすくなり、片頭痛タイプ/緊張型タイプのどちらも起こり得ます。

2. 主役は自律神経:交感神経↔副交感神経の切り替えが乱れる

寒いと体は熱を逃がさない方向へ働き、暖かいと放熱する方向へ働きます。この切り替えの司令塔が自律神経です。ところが寒暖差が大きい日や、外出と室内移動が多い日ほど、自律神経は短時間に何度も「切り替え」を求められます。ここに睡眠不足・ストレス・空腹・脱水が重なると、調整の精度が落ち、血管反応や筋緊張が“過敏”または“鈍い”方向にぶれやすくなります。体としては守ろうとしているのに、反応の遅れや過反応が起き、そのズレが頭痛として表面化するイメージです。

3. 仕組み①:血管反応のブレで「片頭痛タイプ」が出やすい

片頭痛タイプの頭痛は、ズキズキする拍動性、光や音に敏感、吐き気を伴うなどの特徴が出やすいです。寒暖差では、冷えで血管が収縮→暖かさで拡張、といった反応が急に起きやすく、頭部周辺の痛みの神経が刺激されることで発作が誘発されることがあります。また“環境の急変”自体がトリガーになりやすく、寝不足や脱水などの条件が重なると発作が立ち上がりやすくなります。体質差も大きいので、同じ寒暖差でも平気な人と出やすい人が分かれます。

4. 仕組み②:冷えで首肩が固まり「緊張型頭痛」が増える

寒い環境では無意識に肩をすくめ、首を守る姿勢になりがちです。すると僧帽筋上部や肩甲挙筋、後頸部の緊張が高まり、頭部へつながる筋膜・神経が刺激されて「締めつけられるような痛み」「頭が重い」「後頭部〜こめかみがだるい」といった緊張型の症状が出やすくなります。特徴として、肩こりとセット、姿勢が悪いほど悪化、入浴や温めで軽くなる、長時間のPC作業で増える、などが挙がります。首を強く回すより、肩甲帯を動かして緊張を下げるほうが安全に効くことも多いです。

5. 仕組み③:天候(気圧)と重なると“スイッチ”が入りやすい

寒暖差が大きい日は、低気圧・高湿度・嵐などの天候変化と同時に起こることが少なくありません。天候変化、とくに気圧変化は頭痛の引き金としてよく知られており、脳内の化学的・電気的変化や神経の刺激につながる可能性が示されています。雨の前や台風前後、春秋の変わり目に増える場合、寒暖差だけでなく「気圧×自律神経×生活要因」の複合で症状が出ていることがあります。自分のパターンを知るだけでも対策が立てやすくなります。

6. 仕組み④:乾燥・軽い脱水(+食事抜け)が頭痛を呼ぶ

冬の暖房や移動の多い日は、体感以上に水分が失われやすく、軽い脱水が起こります。脱水は片頭痛のトリガーとしても挙げられ、さらに食事を抜いて血糖が乱れると、頭痛が出やすい条件が重なります。特に「外は寒い→室内は暖房で乾燥→気づかず水分不足」という流れは典型です。水分だけでなく、汗をかきやすい人は少量の塩分も意識すると安定する場合があります。カフェインやアルコールは人によって影響が違うので、体質に合わせて“増悪するかどうか”を観察するのが現実的です。

7. 今日からできるセルフケア:合言葉は「差を作らない」「首を守る」

対策の中心は、寒暖差そのものをゼロにするより「急な差」を減らすことです。まず首(うなじ)を守る:薄手のマフラーやネックウォーマー、就寝前の蒸しタオルは取り入れやすく、緊張型にも自律神経の過緊張にも寄与します。次にレイヤリング:玄関・廊下・トイレなど温度差が出る場所を想定し、羽織りや足首・腹の保温で“段差”を小さくします。加えて水分、睡眠の確保、ストレスケア。生活要因は頭痛の引き金になりやすいので、寒暖差の強い時期は特に意識すると再発が減りやすいです。

8. 鍼灸師向け:問診で「片頭痛寄り」か「緊張型寄り」かを先に分ける

臨床では混在も多いので、まず主症状の方向性を掴むと組み立てが速くなります。ズキズキ・動くと悪化・光音に過敏・吐き気→片頭痛寄り。ギューッ・両側性・肩こりとセット・温めで軽い→緊張型寄り。さらに「出るタイミング」を聞くのが有効です。外出直後、入浴後、暖房の部屋、雨の前など、引き金が見えると生活提案が刺さります。触診では後頸部〜僧帽筋上部、側頭部の圧痛、胸郭の硬さ(呼吸の浅さ)をセットで見て、過緊張の連鎖があるか確認すると説明が通りやすくなります。

9. 受診を勧めるべきサイン:寒暖差でも“例外”は必ずある

寒暖差がきっかけに見えても、危険サインがあるときは医療機関の評価が優先です。突然の激しい頭痛(今までで一番)、しびれ・麻痺・ろれつ障害・視野異常、発熱や強い項部硬直、頭部外傷後の悪化、50歳以降に新しく始まった頭痛、パターンが急変・頻度が急増――これらは“いつもの頭痛”として扱わないことが大切です。鍼灸臨床では「いつもと違う」を丁寧に拾うだけでも、安全性が上がります。日常頭痛であっても、頻回化して生活に支障がある場合は専門外来の併用で改善が早まることもあります。

まとめ

寒暖差頭痛は、温度差に対応する自律神経の切り替え負担が増え、血管反応や首肩の緊張が乱れることで起こりやすくなります。対策は「急な差を減らす」「首を守る」「脱水・寝不足・ストレスを重ねない」。自分のパターンをメモすると、再発予防が一段ラクになります。

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