寒くなると咳が出るのはなぜ?冷気・乾燥で起きる仕組みと、咳喘息・後鼻漏の見分け方/対策/受診目安

寒くなると咳が出やすい“基本の理由”

寒い時期に咳が増える背景には、体調だけでなく「空気の性質」が大きく関わっています。冬の外気は冷たく乾きやすく、吸い込むたびに、のど〜気管支の粘膜から水分が奪われやすくなります。粘膜は本来、湿った状態で異物を絡め取り、線毛運動で外へ運び出す“防御装置”のような役割がありますが、乾燥するとこの働きが落ち、刺激に敏感になります。さらに室内は暖房で湿度が下がりがちで、外→室内→外と環境が揺さぶられるほど、咳が出やすい条件がそろいます。「風邪ではないのに冬だけ咳が出る」という人も、まずは“冷気と乾燥が気道のストレスになっている”と捉えると整理しやすいです。

原因①:冷たい空気で気道が刺激され、咳反射が起きやすくなる

冷たい空気を吸うと、気道の粘膜が急に冷やされ、乾燥のダメージも受けやすくなります。すると体は異物や刺激から守ろうとして、咳という反射を起こします。これは「悪いこと」ではなく、気道を守るための自然な防御反応です。ただ、鼻呼吸ができず口呼吸になると、空気を温めたり湿らせたりする“鼻のフィルター”を通らないため、刺激がダイレクトになりやすいのがポイントです。外に出た瞬間に咳が出る、冷たい風で咳が誘発される、乾いた場所(暖房の効いた部屋、車内など)で咳が増える場合はこの要素が強い可能性があります。まずは「口元を覆って吸気を温める」「鼻呼吸を補助する」など、刺激そのものを減らす対策が効果的です。

原因②:咳喘息・喘息など「気道が狭くなるタイプ」が寒さで悪化する

寒さで咳が目立つとき、もう一段深い層として「気道が過敏で、狭くなりやすい」状態が関わることがあります。咳喘息は、ゼーゼーが目立たず“咳だけ”が続くケースもあり、本人は風邪だと思って長引かせてしまうことがあります。見分けのヒントは、夜間〜早朝に悪化しやすい、会話・笑い・運動・冷気で誘発されやすい、痰が少ない乾いた咳が続く、などの“きっかけ”と“時間帯”です。特に冬の屋外運動や、急に冷たい空気を吸い込む場面で咳が強まるなら、気管支が刺激で収縮しやすい可能性も考えられます。もちろん自己判断は難しいため、続く場合は医療機関での評価が安心です。治療で改善することも多いので「冬はこういうもの」と我慢し続けないのが大切です。

原因③:鼻の症状(後鼻漏)で喉が刺激されて咳が続く

咳は肺や気管支だけの問題に見えて、実は「鼻」が主役のこともあります。寒さや乾燥、アレルギーなどで鼻水や粘液が増えると、その一部がのどへ流れ落ちます(後鼻漏)。すると喉の奥がムズムズして、痰を出したいような咳、頻繁な喉払いが続くことがあります。特徴としては、寝ると咳が増える、朝起きたときに喉に痰が絡む感じがある、口の中が苦い・粘い、声がかすれる、といった“上気道のサイン”が出やすい点です。鼻づまりがあると口呼吸になり、冷気刺激も増えるため、後鼻漏+乾燥刺激が重なって咳が長引くこともあります。対策は「鼻を整える」ことが近道になる場合があるので、喉だけをケアしても改善しにくい人は、鼻の状態も合わせてチェックすると整理が進みます。

原因④:風邪のあと、気道がしばらく敏感なまま(感染後の咳)

風邪が治ったのに咳だけ残るのは珍しくありません。感染後は気道粘膜が一時的に荒れ、刺激に反応しやすい“過敏な状態”が続くことがあり、冷気や乾燥で咳がぶり返しやすくなります。本人は「もう治ったはず」と思うので、喋る機会が増えた日や、外出で冷気を吸った日、睡眠不足の日に咳が再燃して不安になることもあります。大切なのは、咳が残る背景が必ずしも重い病気とは限らない一方で、長引く場合には評価が必要というバランスです。特に、咳が3週間以上続く、強くなる、息苦しさを伴う、発熱や血痰があるなどは、感染後の咳だけで片づけず医療機関で相談するのが安全です。冬は空気が乾き、室内外の温度差も大きいので、回復期の気道にとって負担が重なりやすい季節だと理解しておくと、対策も立てやすくなります。

まず自分でできる対策

対策の基本は「刺激を減らし、粘膜を乾かさない」ことです。外ではマスクやマフラーで口元を覆うだけでも、吸う空気が温まり湿り、咳の引き金が減ることがあります。室内は加湿(体感で喉がイガイガしない程度)と水分補給が土台です。特に寝ている間は口呼吸になりやすく、喉が乾きやすいので、就寝環境の湿度は意外と影響します。鼻づまりがある人は、鼻呼吸を確保することが結果的に咳を減らす近道になる場合があります。後鼻漏が疑わしい人は、寝る姿勢(頭を少し高くする)で夜間の咳が楽になることもあります。加えて、受動喫煙、ホコリ、香りの強い柔軟剤やアロマなど“刺激物”が引き金になる人もいるので、咳が出る環境を振り返って、原因の候補を一つずつ潰していくのが現実的です。

受診の目安(安全に判断するためのライン)

咳は原因が幅広く、自己判断だけで見分けるのは難しい症状です。そこで目安になるのが「期間」と「危険サイン」です。まず、咳が3週間以上続く場合は相談の基準になりやすく、長引くほど背景の評価が大切になります。次に、息苦しさ・ゼーゼー・胸の痛みがある、発熱が続く、血が混じる、体重減少や強いだるさがある、といったサインがあるときは早めの受診が安心です。また「夜間〜早朝に咳で起きる」「運動や会話で咳が誘発される」など生活への支障が強い場合も、咳喘息など治療で改善が見込めるケースがあるため、我慢で乗り切ろうとせず相談が向いています。咳止めだけで様子を見るより、原因に応じた対応を選べたほうが、結果的に早く楽になることが多いです。

よくある勘違い:“寒い=肺が弱い”ではない

寒いと咳が出ると「自分は肺が弱いのでは」と不安になりますが、多くの場合は冷気・乾燥という刺激に対する反射や、粘膜のコンディション低下が関係しています。つまり、体質や根性の問題というより“環境と気道の相性”の側面が大きいということです。一方で、毎年冬に咳が長引く、夜間に悪化する、運動や冷気で誘発されるなど、一定のパターンがある場合は、咳喘息・後鼻漏・胃酸逆流など別の要因が重なっている可能性もあります。だからこそ、対策は「気合い」よりも、刺激を減らす工夫(口元を温める、湿度を保つ、鼻呼吸を整える)を積み上げるのが合理的です。咳が続くと睡眠の質が落ち、さらに気道が敏感になる悪循環にも入りやすいので、早めに環境調整と必要な相談を組み合わせるのがおすすめです。

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