「なんでもないことで泣いてしまう」
「家族や子どもに、ついイライラをぶつけてしまう」
「こんな自分、もう嫌になる…」
うつ病になると、感情の波が激しくなることがあります。
それは、心の弱さではなく、脳と感情の働きのバランスが崩れている状態によるものです。
この記事では、うつ病と感情の波の関係、イライラや涙もろくなる理由、そして心と穏やかに付き合うコツをわかりやすくお伝えします。
うつ病になると感情が不安定になる理由
◆ 1. 脳内物質のバランスが乱れている
うつ病では、セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンなどの神経伝達物質が減少しています。
これにより、感情のコントロールが難しくなり、些細なことで怒ったり泣いたりするように。
◆ 2. 心の“余裕”がなくなっている
うつ病のときは、エネルギーが消耗しきった状態。
ほんの小さな刺激でも、それに耐えられず感情があふれてしまいます。
◆ 3. 自分を責めやすくなる
「またイライラしてしまった…」「涙が止まらない自分はおかしい」と、感情の反応そのものを否定してしまうことで、さらに苦しくなります。
➡ 関連記事:うつ病と自己否定感|自分を責めてしまう心との向き合い方と回復のヒント
よくある感情の波の例
感情 | 具体的な場面 | 背景にある思考や状態 |
---|---|---|
イライラ | 家族の言動・物音・予定変更などに敏感に反応 | 疲労・緊張・予期不安 |
涙もろさ | CM・SNS・家族の言葉に涙が止まらない | 共感性の高まり・情緒の乱れ |
急な不安 | 未来のことを考えると胸がざわざわする | ノルアドレナリン低下・予測困難への脆弱性 |
無感情 | 楽しいはずのことに心が動かない | ドーパミンの低下・快感の喪失 |
感情の波は人によって様々で、日によっても変わることがあるのが特徴です。
感情の波と上手に付き合う5つのコツ
◆ ① 「感情に気づく」ことから始める
まずは、「今、悲しいな」「イライラしてるな」と名前をつけてみるだけでOK。
それだけでも、感情に流されるのではなく、少し“距離を取る”ことができます。
◆ ② 「感情=自分」ではないと知る
イライラしても、「自分は怒りっぽい人間だ」とは限りません。
それは、“一時的な心の反応”にすぎないことを意識すると、責める気持ちが少し和らぎます。
◆ ③ 感情を「外に出す」ことも必要
- ノートに書き出す
- 信頼できる人に話す
- 泣きたいときは泣く
感情を抑え込むことは、むしろ心の負担になります。
出すことで、軽くなる感情もたくさんあります。
◆ ④ 感情が動いた後は「静かに整える時間」を作る
- ハーブティーを飲む
- 静かな音楽を流す
- 外をゆっくり歩く
感情の“波”が来た後は、心の波打ち際をなでるような時間を意識して取ってみてください。
◆ ⑤ 「今日は波がある日なんだ」と認めてしまう
感情の波が大きい日もあります。
そんな日は、無理に気分を上げようとせず、「今日は波がある日」と受け入れることが回復への近道になります。
➡ 関連記事:うつ病に効果的なセルフケア5選|心を整える日常習慣
感情の波がつらすぎるときは
感情の乱れが激しく、生活に支障をきたす場合は、医療機関での相談が必要なケースもあります。
- イライラが止まらず、他人や自分を傷つけそうになる
- 涙が止まらず、仕事や家事ができない
- 感情が麻痺して、何も感じなくなる
このような場合は、うつ病以外の疾患(双極性障害など)の可能性も視野に入れながら、専門家の助けを借りましょう。
➡ 関連記事:うつ病の治療法まとめ|薬物療法・カウンセリング・生活改善の選択肢を解説
まとめ
うつ病と感情の波は、切っても切れない関係にあります。
それは心の不安定さではなく、脳と体が「今、これ以上がんばれないよ」と伝えてくれているサインかもしれません。
感情に振り回される日があっても大丈夫。
泣いても、怒っても、何も感じなくても、それは「感じている心がある」証拠です。
どうか、そんな自分を責めずに、
「今は波があるだけ。私は私のままでいい」と、そっと心に伝えてあげてください。
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