痛風の痛みを鍼灸で緩和|関節の炎症を抑えるツボ

1. 痛風に対する鍼灸治療の概要

痛風は、血中の尿酸濃度が高くなり、尿酸結晶が関節内に沈着して急性の炎症を引き起こす疾患です。激しい関節の痛み、腫れ、発赤などの症状が特徴で、特に足の親指の関節に発作が集中することが多いです。痛風の発作は、突然の痛みで日常生活に大きな支障をきたします。

鍼灸治療は、痛風の痛みや炎症を軽減し、体内の「気」や「血」の流れを整えることで、自然な治癒力を高める補完療法です。鍼やお灸を使って特定のツボを刺激することで、痛風の発作の頻度を減らし、症状を緩和する効果が期待されます。鍼灸は薬物治療と併用することで、より効果的な痛風の管理をサポートします。


2. 鍼灸が痛風に効果的な理由

痛風の発作は、尿酸結晶が関節に蓄積し、激しい炎症を引き起こすことが原因です。鍼灸治療は以下のメカニズムを通じて、痛風の痛みや炎症を緩和します。

  • 炎症の軽減
    鍼灸は、体内の炎症を抑える作用があり、関節に蓄積した尿酸結晶による炎症を緩和します。これにより、関節の腫れや痛みが和らぎます。
  • 血行促進
    痛風による激しい痛みや腫れは、血流が滞ることで悪化することがあります。鍼灸治療は、体内の血行を改善し、関節に酸素と栄養を供給することで、尿酸の排出を助け、痛みの軽減を促進します。
  • 尿酸の代謝のサポート
    鍼灸は肝臓や腎臓の機能をサポートし、尿酸の代謝を助けることで、尿酸の蓄積を減少させます。これにより、痛風の発作の頻度が低下する可能性があります。
  • 痛みの緩和
    鍼を用いてツボを刺激することで、エンドルフィンという体内の自然な鎮痛物質が分泌され、痛みが緩和されます。痛風による急性の激しい痛みにも効果的です。

3. 痛風に効く主要なツボ

痛風に対する鍼灸治療では、痛みの軽減と炎症の抑制を目的として特定のツボを刺激します。以下に、痛風の症状を和らげる主要なツボを紹介します。

  • 太渓(たいけい)
    足首の内側にあるツボで、腎経を整える効果があります。腎臓の機能をサポートし、尿酸の排出を促進する効果があり、痛風の根本的な原因にアプローチします。
  • 三陰交(さんいんこう)
    足首の内側に位置するツボで、肝・脾・腎の機能を高め、尿酸の代謝を助けます。痛風による関節の痛みや腫れを和らげ、全身の血流を改善します。
  • 曲泉(きょくせん)
    膝の内側にあるツボで、関節の炎症や痛みを緩和する効果があります。特に、足の関節に痛みが出る場合、このツボを刺激することで症状の改善が期待されます。
  • 足三里(あしさんり)
    膝の下に位置するツボで、血流を促進し、消化器系の働きを高める効果があります。尿酸の代謝を助け、痛風の痛みを軽減します。

4. 鍼灸と生活習慣の改善で相乗効果を得る

鍼灸治療に加え、日常生活の改善を取り入れることで、痛風の管理がさらに効果的になります。以下の生活習慣の改善を実践し、鍼灸治療との相乗効果を狙いましょう。

  • 食事の見直し
    痛風は、尿酸値の上昇によって引き起こされます。プリン体の多い食品(内臓肉、海産物、ビールなど)は避けるようにしましょう。また、水分を多く摂取し、尿酸の排出を促進することが重要です。
  • アルコールの制限
    アルコール、特にビールは尿酸値を上昇させるため、できる限り控えましょう。アルコールの摂取は、尿酸の代謝を妨げ、痛風発作の引き金になります。
  • 適度な運動
    運動は血流を良くし、尿酸の排出を促進します。ただし、痛風発作中は過度の運動は控え、発作が落ち着いた後にウォーキングや軽いストレッチを取り入れましょう。
  • 体重管理
    過体重は痛風のリスクを高めるため、健康的な体重を維持することが重要です。適度な食事制限と運動を組み合わせて、体重を管理しましょう。

5. 自宅でできるセルフケア

鍼灸治療に加え、自宅で以下のセルフケアを行うことで、痛風の症状を緩和しやすくなります。

  • ツボ押し
    「太渓」や「三陰交」などのツボを指で軽く押し、1回につき5秒ほどキープしてから離す動作を繰り返すことで、尿酸の代謝が促進され、関節の痛みが和らぎます。
  • 温冷療法
    炎症がある場合は冷やすことが重要です。冷やすことで腫れや痛みが軽減されます。発作が収まった後は、温めて血流を促進することが効果的です。温湿布やお風呂で体を温めることで、血流を改善し、痛風の予防に役立てます。
  • 水分摂取
    水を十分に飲むことで、尿酸が排出されやすくなります。水分摂取を心がけることで、体内の尿酸濃度を低下させ、痛風の発作を予防します。

まとめ

痛風は、尿酸結晶による激しい関節の痛みや炎症が特徴ですが、鍼灸治療を通じてこれらの症状を自然に和らげることが期待されます。鍼灸は、尿酸の代謝を助け、血流を改善することで痛風の症状を緩和します。また、生活習慣の改善やセルフケアを組み合わせることで、鍼灸治療の効果がさらに高まり、痛風発作の頻度を減らすことが可能です。発作が繰り返される場合や痛みが強い場合は、医師や鍼灸師に相談し、適切な治療を続けることが大切です。

開業鍼灸師のためのお役立ちメディア「カルテラス」へのリンク
鍼灸柔整キャリアラボへのリンク
鍼灸関連学会・セミナー・イベント
鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師を目指す全国養成校 大学・専門学校一覧のバナーリンク

この記事を書いた人

アバター

日本鍼灸大学

日本鍼灸大学は「世間と鍼灸を学問する」をコンセプトに有志の鍼灸師とセイリン株式会社が立ち上げたWebとYouTubeチャンネルです。普段、世間話と鍼灸学のお話しを井戸端会議的に気軽に楽しめる内容に仕立て日本鍼灸の奥深さを鍼灸学生に向けて提供します。
※当サイトは学校教育法に則った大学施設ではありません。文部科学省の指導の元、名称を使用しています。

2023年より鍼灸柔整キャリアラボを試験的にスタート!鍼灸柔整キャリアラボは『詳細はこちら』ボタンからアクセス。