動悸・息切れを鍼灸で改善|心の安定と呼吸を整えるツボとセルフケア

1. 動悸・息切れに対する鍼灸治療の概要

動悸や息切れは、ストレスや過度の疲労、自律神経の乱れ、心臓の機能の低下など様々な原因で引き起こされます。動悸とは心臓が異常に速く、強く鼓動する感覚で、息切れは身体が十分な酸素を取り入れられず、呼吸が浅くなる状態です。

鍼灸治療は、これらの症状の原因に働きかけ、心臓のリズムや呼吸を正常に保つためのサポートとして利用されます。鍼やお灸を使って特定のツボを刺激することで、体内の「気」の流れを整え、リラックス効果を得ることで、自律神経を調整し、動悸や息切れを緩和します。


2. 鍼灸が動悸・息切れに効果的な理由

動悸や息切れは、自律神経の乱れや精神的な不安、疲労によって引き起こされることが多いです。鍼灸治療は、次のような効果を通じて、これらの症状を改善します。

  • 自律神経のバランスを整える
    鍼灸は、交感神経と副交感神経のバランスを整え、心身をリラックスさせます。動悸や息切れが自律神経の乱れによって引き起こされる場合、鍼灸によって副交感神経を活性化させることで、心拍数や呼吸を落ち着かせることが可能です。
  • 血流を改善する
    鍼灸によって血流が促進されると、心臓や肺に十分な酸素と栄養が供給され、動悸や息切れが改善されやすくなります。特に、胸の圧迫感を伴う症状には、血流改善が重要です。
  • 心の安定とストレスの軽減
    鍼灸は、精神的な緊張や不安感を和らげる作用があり、動悸や息切れがストレスによるものである場合に効果的です。セロトニンなどのリラックス効果をもたらすホルモンの分泌を促進することで、精神的な安定をサポートします。

3. 動悸・息切れに効く主要なツボ

動悸や息切れに対する鍼灸治療では、呼吸と心臓のリズムを整えるために特定のツボを刺激します。以下に、効果的なツボを紹介します。

  • 内関(ないかん)
    手首の内側にあるツボで、動悸や胸の痛み、不安感を和らげる効果があります。心臓の機能をサポートし、リラックスさせる働きがあり、動悸や息切れに対して特に効果的です。
  • 膻中(だんちゅう)
    胸の中央、胸骨のあたりにあるツボで、呼吸を楽にし、胸の圧迫感を軽減します。息切れを伴う不安感やストレスを解消するのに効果的です。
  • 神門(しんもん)
    手首の内側にあるツボで、精神的な不安を和らげ、心拍を安定させる効果があります。動悸が強い場合や、精神的に不安定な場合に役立ちます。
  • 足三里(あしさんり)
    膝の下に位置するツボで、全身の血流を促進し、心臓の負担を軽減するのに効果的です。動悸や息切れによって体が疲れやすい場合に効果を発揮します。

4. 鍼灸と生活習慣の改善で相乗効果を得る

鍼灸治療に加えて、日常生活での習慣改善を取り入れることが、動悸や息切れの回復に効果的です。以下の改善策を取り入れて、鍼灸治療との相乗効果を狙いましょう。

  • 深呼吸を心がける
    動悸や息切れを感じたときは、深呼吸を行いましょう。ゆっくりと息を吸い、時間をかけて息を吐くことで、副交感神経が活性化し、心拍や呼吸が安定します。
  • ストレス管理
    ストレスは動悸や息切れを悪化させる大きな要因です。瞑想やヨガ、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることで、心身を落ち着かせ、動悸や息切れの症状を軽減できます。
  • カフェインやアルコールの摂取を控える
    カフェインやアルコールは交感神経を刺激し、動悸を引き起こす原因になります。できる限りこれらの摂取を控え、体と心をリラックスさせる習慣を持ちましょう。
  • 適度な運動
    軽いウォーキングやヨガは、心肺機能を強化し、自律神経を整えるのに役立ちます。特に運動後に感じるリラックス効果は、動悸や息切れの予防に効果的です。

5. 自宅でできるセルフケア

鍼灸治療に加え、自宅でも以下のセルフケアを行うことで、動悸や息切れを軽減し、症状の管理が可能です。

  • ツボ押し
    「内関」や「膻中」などのツボを指で軽く押し、数秒間押した後にゆっくりと離す動作を繰り返します。これにより、心拍や呼吸が整いやすくなり、リラックス効果が得られます。
  • 温浴や温湿布
    お風呂で全身を温めることは、血行を促進し、リラックスするのに効果的です。また、胸の周りを温めると呼吸が楽になり、動悸が落ち着きます。
  • アロマテラピー
    ラベンダーやカモミールなどのアロマオイルは、リラックス効果が高く、動悸や息切れの際に役立ちます。アロマを使った深呼吸で、副交感神経を活性化し、心を落ち着けましょう。

まとめ

動悸や息切れは、自律神経の乱れやストレス、心臓の機能の問題などが原因で引き起こされることが多いですが、鍼灸治療によってこれらの症状を和らげることが期待されます。鍼灸は、自律神経を整え、心拍や呼吸を安定させる働きがあります。また、生活習慣の改善やセルフケアを取り入れることで、鍼灸治療の効果がさらに高まり、動悸や息切れの症状を効果的にコントロールすることが可能です。症状が長引く場合や、不安を感じる場合は、医師や鍼灸師に相談し、適切なケアを受けることが大切です。

開業鍼灸師のためのお役立ちメディア「カルテラス」へのリンク
鍼灸柔整キャリアラボへのリンク
鍼灸関連学会・セミナー・イベント
鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師を目指す全国養成校 大学・専門学校一覧のバナーリンク

この記事を書いた人

アバター

日本鍼灸大学

日本鍼灸大学は「世間と鍼灸を学問する」をコンセプトに有志の鍼灸師とセイリン株式会社が立ち上げたWebとYouTubeチャンネルです。普段、世間話と鍼灸学のお話しを井戸端会議的に気軽に楽しめる内容に仕立て日本鍼灸の奥深さを鍼灸学生に向けて提供します。
※当サイトは学校教育法に則った大学施設ではありません。文部科学省の指導の元、名称を使用しています。

2023年より鍼灸柔整キャリアラボを試験的にスタート!鍼灸柔整キャリアラボは『詳細はこちら』ボタンからアクセス。