バセドウ病を鍼灸で改善|甲状腺ホルモンのバランスを整えるツボとセルフケア

1. バセドウ病に対する鍼灸治療の概要

バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって代謝が異常に高まり、動悸、手の震え、多汗、体重減少などの症状を引き起こす自己免疫疾患です。甲状腺が過剰に刺激されることでホルモンの生産が増え、全身の代謝が上昇するため、体全体が過剰に活発になります。バセドウ病は甲状腺機能亢進症の一種で「中毒性びまん性甲状腺腫」と呼ばれます。

鍼灸治療は、バセドウ病による自律神経の乱れや、過剰な甲状腺ホルモン分泌を自然に抑えるサポートとして利用されます。特定のツボを刺激することで、心と体のバランスを整え、甲状腺の働きを調整することが期待されます。また、ストレス軽減や免疫系の調整にも効果的です。


2. 鍼灸がバセドウ病に効果的な理由

バセドウ病は、過剰な甲状腺ホルモンが自律神経や心身にさまざまな影響を及ぼします。鍼灸治療は、以下のような効果を通じてバセドウ病の症状を和らげます。

  • 自律神経の調整
    バセドウ病による動悸や不安感は、自律神経の乱れから来ることが多いです。鍼灸は、交感神経と副交感神経のバランスを整え、副交感神経を優位にすることで、心を落ち着かせ、ホルモンの過剰分泌を抑制します。
  • 甲状腺の機能バランスの調整
    鍼灸でツボを刺激することにより、甲状腺ホルモンの分泌を正常に戻す手助けをします。甲状腺の過活動を抑えることで、体の代謝が落ち着き、バセドウ病の症状が緩和されます。
  • ストレスの軽減
    バセドウ病は、ストレスが症状を悪化させる要因の一つです。鍼灸治療はリラクゼーション効果を促し、ストレスホルモンの分泌を抑えることで、病状の進行を抑える効果が期待されます。

3. バセドウ病に効く主要なツボ

バセドウ病に対する鍼灸治療では、甲状腺ホルモンの過剰分泌を調整し、自律神経を安定させるための経穴(ツボ)を刺激します。以下に、バセドウ病の症状に効果的なツボを紹介します。

  • 天突(てんとつ)
    鎖骨の間に位置するツボで、甲状腺の働きを調整するのに効果があります。首周辺の気の流れを整え、甲状腺ホルモンの過剰な分泌を抑制します。
  • 内関(ないかん)
    手首の内側にあるツボで、動悸や不安感の緩和に非常に効果的です。甲状腺の影響で心拍数が増加する場合に、このツボを刺激することで心を落ち着かせます。
  • 合谷(ごうこく)
    手の親指と人差し指の間にあるツボで、全身の気の流れを調整し、免疫機能を高めます。ストレス軽減にも効果的で、バセドウ病の症状が悪化しにくくなります。
  • 太衝(たいしょう)
    足の親指と人差し指の間にあるツボで、肝臓の働きを整え、精神的な緊張を緩和します。イライラや不安感が強い場合、このツボを刺激することでリラクゼーション効果が得られます。

4. 鍼灸と生活習慣の改善で相乗効果を得る

鍼灸治療に加えて、生活習慣の改善を行うことで、バセドウ病の症状が緩和されやすくなります。以下の習慣改善を取り入れて、鍼灸治療との相乗効果を目指しましょう。

  • 適度な休養を取る
    代謝が過剰に高まるバセドウ病では、体が疲れやすくなるため、十分な休息が重要です。過労を避け、体と心を休める時間を持つことが、症状の悪化を防ぎます。
  • ストレス管理
    ストレスは甲状腺ホルモンの分泌を刺激するため、できるだけストレスを減らすことが必要です。瞑想、深呼吸、趣味の時間を増やすなど、リラックスできる方法を見つけることが効果的です。
  • 食事の見直し
    ヨウ素を多く含む食品(昆布や海藻など)は、甲状腺の働きを刺激することがあります。そのため、過剰な摂取を控え、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。また、ビタミンB群やマグネシウムは、自律神経を安定させるのに役立ちます。
  • 適度な運動
    軽いウォーキングやヨガなど、激しすぎない運動を取り入れることが有効です。適度な運動は血流を良くし、ストレス軽減にもつながります。

5. 自宅でできるセルフケア

鍼灸治療に加え、自宅でも以下のセルフケアを行うことで、バセドウ病の症状をさらに和らげることができます。

  • ツボ押し
    「内関」や「太衝」の経穴(ツボ)を指で軽く押し、5秒ほどキープし、ゆっくり離す動作を繰り返します。これにより、心拍数の安定やリラックス効果が期待できます。
  • 深呼吸
    ゆっくりとした深呼吸を行うことで、副交感神経が優位になり、心拍数が安定します。毎日数分間、深呼吸を行うことで、体と心の緊張を緩和させましょう。
  • 温熱療法
    お風呂にゆっくり浸かって全身を温めることで、血流を促進し、リラックスするのに役立ちます。過度な暑さは避け、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることが推奨されます。
  • リラックス音楽を聴く
    心を落ち着けるためにリラックス効果のある音楽を聴くことも効果的です。これにより、副交感神経が刺激され、心拍数やホルモンバランスが安定しやすくなります。

まとめ

バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰分泌による症状で、動悸や手の震え、過度の発汗などを引き起こしますが、鍼灸治療はこれらの症状を緩和するのに効果的です。鍼灸は自律神経を整え、甲状腺の働きを安定させることで、自然に症状を和らげる効果が期待されます。また、生活習慣の改善やセルフケアを取り入れることで、鍼灸治療の効果がさらに高まり、バセドウ病の症状を効果的にコントロールすることが可能です。症状が悪化する場合は、必ず医師や鍼灸師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

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