日本鍼灸大学 
気滞体質とは？——“気の流れの渋滞”が引き起こすストレスと不調
中医学では、「気（エネルギー）」が体内をスムーズに巡ることが健康の基本とされています。
しかし、ストレスや感情の停滞、生活リズムの乱れなどにより気の流れが滞ると「気滞（きたい）」という状態が起こり、心身にさまざまな不調が現れます。
これが「気滞体質」と呼ばれるもので、特に現代社会に多く見られる体質のひとつです。
✅ 気滞体質の主な症状
| 症状カテゴリ | 具体的な不調の例 |
|---|---|
| 精神面 | イライラ、ため息が多い、気分の浮き沈み |
| 消化器系 | 食欲不振、胃の張り、便秘やガス |
| 月経・生殖系 | 月経前症候群（PMS）、生理痛、月経不順 |
| 呼吸・循環系 | のどの詰まり感、動悸、胸のつかえ |
| 筋肉・皮膚 | 肩こり、側頭部の緊張、顔色のくすみ |
「感情がうまく処理できず、体に現れる」ケースが多く、“ストレス体質”の一種とも言えます。
✅ 中医学における「気滞」の原因とは？
| 要因 | 解説 |
|---|---|
| 感情の抑圧（怒り・悲しみ・不安） | 肝の働きが妨げられ、気の流れが停滞 |
| 長時間の座位・運動不足 | 気の動きが弱まり、体内で渋滞を起こす |
| 食生活の乱れ | 胃腸（脾胃）の機能が落ち、気の生産・運搬が低下 |
| 睡眠不足 | 自律神経の乱れから、気の流れに影響 |
| 外部環境ストレス | 梅雨・湿気などでも気の巡りが滞る |
特に「肝の気の停滞（肝気鬱結）」は、気滞体質の大きな根本とされています。
✅ 鍼灸での気滞体質ケア
鍼灸では、気の巡りを促進することで、気滞による不調の根本改善を目指します。
🎯 主なアプローチ
- 経絡の通り道を開き、気の流れを整える
→ 肝・脾・肺の経絡を中心にアプローチ - 情緒を安定させ、自律神経を整える
→ 「肝気の伸びやかさ」を回復させる施術 - 局所の緊張を和らげて、循環を改善
→ 肩こり、胸の圧迫感、のどの詰まりにも有効
🌿 気滞に使われる代表的なツボ
| ツボ名 | 効果 | 位置 |
|---|---|---|
| 太衝（たいしょう） | 肝の経絡を通し、感情の停滞を緩和 | 足の親指と人差し指の間の凹み |
| 内関（ないかん） | 胸のつかえや不安感を改善 | 手首内側、2本の腱の間 |
| 合谷（ごうこく） | 気の巡りと全身調整に有効 | 手の甲、親指と人差し指の骨の間 |
ツボ刺激（鍼やお灸）を継続的に行うことで、“こころとからだ”の巡りがなめらかに整っていきます。
🍵 薬膳による補助的なアプローチ
食事でも気滞改善をサポートできます。ポイントは「理気（りき）＝気を巡らせる食材」の活用です。
| 食材 | 働き |
|---|---|
| 陳皮（ちんぴ） | 気を巡らせ、胃のつかえを改善 |
| 柑橘類（レモン・みかん） | 香りで肝気を整える |
| ジャスミン・ミント | 気分を軽くし、イライラを和らげる |
| 春菊・セロリ | 肝の機能を助け、気滞を緩和 |
| しょうが | 巡りと温めを兼ねる万能素材 |
特に、朝のジャスミン茶やミントティーは気分を整える効果が高く、日常に取り入れやすい方法です。
🧘♀️ 気滞体質の生活養生法
| 方法 | 解説 |
|---|---|
| 香りの良い空間づくり | アロマやお香で「肝の気」を和らげる |
| ストレッチ・軽い運動 | 肩まわり・胸・股関節を中心に動かす |
| 深呼吸・瞑想 | 呼吸で「気の流れ」を整える習慣づけ |
| ゆとりのある時間配分 | 急ぎすぎると、気が渋滞しやすい |
| 感情を押し込めない | 我慢より“整理して流す”意識を持つ |
✅ まとめ：気滞体質は“心身の巡り”を整えることが鍵
気滞体質は、現代人に多い「ストレス型の体質」です。
感情や生活習慣の影響を受けやすいため、鍼灸のように全身の気を調整できる施術が大変有効です。
気の流れが整えば、消化・自律神経・ホルモンバランスも安定し、心身の不調は自然と改善していきます。
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