「音が刺さる」「光がまぶしい」「においがつらい」…それ、うつ病による感覚過敏かもしれません
- 「ちょっとした物音が耳に響いて頭が痛くなる」
- 「蛍光灯の明るさがつらくて目を開けていられない」
- 「においに過敏になって、外出が怖くなる」
うつ病や不安障害の方にとって、こうした“感覚の過敏さ”は珍しいことではありません。これは単なる「気にしすぎ」や「神経質」ではなく、脳の疲労や神経の過敏状態が影響して起こる自然な反応です。
医学的には「感覚処理過敏(sensory processing sensitivity)」や「感覚閾値の低下」といった表現が用いられ、うつ病やパニック障害、HSP(Highly Sensitive Person)との関連性も指摘されています。
本記事では、うつ病と感覚過敏の関係性をわかりやすく解説し、音・光・においへの対処法、そして心と身体を守るための生活の工夫をご紹介します。
感覚過敏とうつ病の関係とは?
◆ 脳の「刺激フィルター」が壊れやすくなる
うつ病のとき、脳は疲労しやすく、外からの刺激に対して処理能力が低下しています。通常なら気にならない音や光、においも、脳が「フィルター」をかけられず、ダイレクトに刺激が入ってくるため、強いストレスとなって感じられるのです。
◆ 過覚醒状態(hyperarousal)が続いている
緊張や不安が続くと、交感神経が過剰に働く「過覚醒状態」に入りやすくなります。これは体が常に“戦闘モード”になっているような状態で、些細な音や光でもびくっと反応してしまうことがあります。
◆ 疲労・不眠・ストレスの蓄積も影響
特に以下の状態にあるとき、感覚過敏が強まる傾向があります。
- 睡眠不足や慢性疲労
- 強いストレスや不安状態
- 自律神経の乱れ
- HSPのような感受性の高い気質
➡️ 関連記事: うつ病とHSPの関係|繊細な心が疲れやすい理由とやさしい対処法
感覚過敏の種類とよくある症状
🔊 音に敏感(聴覚過敏)
- 生活音が頭に響いてつらい(ドアの開閉音・チャイム音など)
- テレビや人の声が「刺さる」ように感じる
- カフェ・電車内などの雑音で頭が混乱しやすい
💡 光に敏感(視覚過敏)
- 蛍光灯やスマホの光がまぶしくて目が疲れる
- 照明の明暗の差や、動画のチカチカが不快
- 外出時、太陽光で気分が悪くなることも
👃 においに敏感(嗅覚過敏)
- 柔軟剤や香水のにおいで頭痛・吐き気
- コンビニ・飲食店のにおいで不快になる
- 人混みでにおいが混ざると具合が悪くなる
音・光・においへの具体的な対処法
🎧 音への対処法
- ノイズキャンセリングイヤホン:周囲の音をカットし、安心できる空間を作る
- 耳栓やイヤーマフ:外出時や騒がしい場所での刺激を軽減
- ホワイトノイズや自然音を流す:静けさに不安を感じる方にもおすすめ
🕶 光への対処法
- 遮光カーテン・アイマスク:室内の光刺激を軽減
- スマホやPCはナイトモードに:ブルーライトをカット
- 外出時はサングラスや帽子を着用:太陽光や反射光を防ぐ
😷 においへの対処法
- マスク内にアロマシールを貼る:自分にとって心地よい香りで外部のにおいをブロック
- 香料の少ない生活用品に切り替える:柔軟剤・化粧品・洗剤など
- 外出後は着替える・シャワーを浴びる:付着したにおいをすぐオフ
快適に過ごすための生活の工夫
🕒 刺激の少ない時間帯を選ぶ
- 朝早く or 夕方など、人混みが少ない時間を狙う
- 買い物はネットスーパーの活用も◎
🏠 「静かで安心できる空間」を確保する
- 自宅の中に、音・光の少ない“避難スペース”を作る
- 外出時は、カフェ・図書館・車内などの“避難先”を事前にリストアップ
📒 自分の状態を記録する
- 「どんなときに感覚が敏感になるか?」をメモしておく
- パターン化することで、予防的な対策が取りやすくなります
➡️ 関連記事: うつ病と感情の波|イライラ・涙もろくなる理由と向き合い方
周囲に理解されにくい悩みだからこそ
感覚過敏は外見ではわかりにくく、周囲から「大げさ」「神経質」と誤解されがちです。
ですが、その敏感さはあなたの心と体が感じている“本物のストレス”です。
「人と同じようにできない自分」を責める必要はありません。
あなたにとっての「快適さ」「安心できる状態」を第一に考えて、日々を整えていきましょう。
まとめ:感覚過敏は心と体の“限界サイン”です
うつ病による感覚過敏は、心と脳が「これ以上はつらいよ」と知らせてくれているSOSです。
- 音・光・においなどの刺激を減らす工夫をする
- 自分が敏感になりやすい時間帯や状況を把握する
- 無理をせず、心地よい環境を整えることを優先する
この小さな積み重ねが、あなたの心を守り、回復へとつながる大切なステップになります。
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