立春なのに、春を感じられない理由
立春。
暦の上では「春の始まり」とされる日です。
けれど実際には、空気はまだ冷たく、朝は布団から出るのもつらい。
気分もどこか重たく、春らしい軽やかさとは程遠い。
「春になった」と言われても、体も心もまだ冬の中にいる。
多くの人が、そんな違和感を抱いているのではないでしょうか。
この違和感は、決して気のせいではありません。
むしろ、体がとても正直に季節を感じ取っている証です。
立春とは、春を楽しむ日というよりも、
体と心を春に向けて整え始める合図のような節目なのです。
立春とは「春が完成した日」ではない
立春という言葉から、多くの人は「春の到来」を想像します。
しかし、立春は春が完成した日ではありません。
立春は二十四節気のひとつで、
太陽の動き(黄経:コウケイ)を基準に「春に入った」ことを示す日です。
気温や体感を基準にしているわけではありません。
つまり立春とは、
「もう春ですよ」と宣言する日ではなく、
「春に向かう流れが、ようやく動き始めました」という知らせ。
自然界でもこの時期、
芽はまだ地上に現れず、土の中で静かに準備を進めています。
立春とは、変化が“見える前”の始まり。
完成ではなく、兆しの段階なのです。
暦の春と、体が感じる現実のズレ
立春を過ぎると、日照時間は確実に伸び始めます。
光の量が増えることで、自然界は次の季節へ向かい始めます。
しかし人の体は、すぐには切り替われません。
寒さから身を守るため、エネルギーを内側に溜め込んだ
「冬のモード」のままです。
このとき起こるのが、
暦は春、体は冬、というズレ。
このズレは自律神経に負担をかけ、
眠りが浅くなる、気分が落ち着かない、
胃腸の調子が不安定になるなど、
さまざまな不調として現れやすくなります。
立春前後に感じる不調や違和感は、
怠けや気合不足ではなく、
季節の切り替わりに体が順応しようとしている途中の反応なのです。
立春の時期の養生
養生とは、特別な健康法ではありません。
季節と体のズレを小さくし、
無理なく暮らすための知恵です。
養生の考え方では、
立春は「外に向かって動く時期」ではなく、
内側を整え、巡りを目覚めさせていく時期とされます。
いきなり活動量を増やすよりも、
・睡眠を整える
・冷えを溜めない
・生活リズムを少しずつ戻す
こうした小さな調整のほうが、
春本番を楽に迎えることにつながります。
立春は、養生のスタート地点。
体に「これから春に向かうよ」と
静かに伝えるための節目なのです。
なぜ昔の人は立春を特別扱いしたのか
昔の人にとって、立春は縁起の良い日であると同時に、
不安定になりやすい時期でもありました。
だからこそ、
節分で邪気を払い、
立春大吉のお札を貼り、
暮らしの区切りを丁寧につけました。
これは迷信ではなく、
季節の変わり目には体調や気分が揺れやすい
という経験から生まれた生活の知恵です。
無理をせず、身の回りを整え、
変化の波に備える。
その姿勢そのものが、当時の人々にとっての養生でした。
立春を「頑張るスタート」にしなくていい
現代では、「立春は新しいことを始めるのに最適」と
語られることも多くあります。
けれど養生の視点で見ると、
立春はむしろ無理をしないことが大切な時期です。
冬の間に溜まった疲れや冷えは、
まだ体に残っています。
この段階で気合を入れすぎると、
春本番にかえって疲れが表に出やすくなります。
立春は、
何かを始める日ではなく、
始められる状態へ近づいていく日。
焦らず、整えることが、
結果的に一番の近道になります。
立春をうまく使う人の共通点
立春を上手に過ごしている人は、
養生を「頑張ること」だとは考えていません。
・夜更かしを少し控える
・冷たい飲み物を減らす
・朝の光を意識して浴びる
どれも小さなことですが、
季節と体を合わせるには十分な調整です。
養生とは、
体を無理に変えることではなく、
季節とのズレに気づき、そっと修正すること。
立春は、そのズレに気づくための
とても良いタイミングなのです。
今年の立春を、どう過ごすか
今年の立春を意識するなら、
「何を始めるか」よりも
「どう整えるか」を考えてみてください。
今の自分は、まだ冬のリズムの中にいる。
そう認めること自体が、養生の第一歩です。
焦らず、無理をせず、
春に向かう余白をつくる。
立春は、体と心に
そう伝えるための日なのかもしれません。
まとめ
立春は、春の完成を告げる日ではありません。
春に向かう流れが、静かに始まったことを知らせる日です。
体も心も、まだ冬のままでいい。
今は、養生しながら春を迎える準備をする時期。
立春とは、
頑張るための日ではなく、整えるための日。
そう捉えることで、この節目は
もっとやさしく、身近なものになります。
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