正気を構成する4つの要素とは?
中医学の「体質」とは?
中医学では、一人ひとりの体の状態や不調の現れ方を 「証(しょう)」 として捉えます。中でも、「気・血・陰・陽」のバランスに着目して分類された体質が以下の4つです:
- 気虚(ききょ):気の不足による虚弱体質
- 血虚(けっきょ):血の不足による貧血傾向
- 陰虚(いんきょ):体を潤す力が不足している体質
- 陽虚(ようきょ):体を温める力が弱い冷え体質
これらのタイプを理解することで、自分に合った食事・過ごし方・ツボケアができるようになります。
🌀 1. 気虚(ききょ)|「気」が足りず疲れやすい体質
特徴
- 疲れやすく、回復に時間がかかる
- 風邪をひきやすい、汗が出やすい
- 胃腸が弱く、下痢・食欲不振があることも
- 声が小さい、朝起きるのがつらい
よくある不調
- 慢性疲労、だるさ、動悸
- 集中力の低下、めまい
おすすめの薬膳食材
- 山芋、かぼちゃ、じゃがいも
- 鶏肉、もち米、長芋
- はちみつ、なつめ、にんじん
✅ 調理法:煮込み・スープ・蒸し料理で温かく仕上げるのが効果的
生活のセルフケア
- 無理をしない。十分な睡眠・休息が大切
- 冷たい飲食を控え、体を冷やさない
- 気を補うツボ:足三里(あしさんり)、関元(かんげん)
🌸 2. 血虚(けっきょ)|「血」が足りず栄養不足のような体質
特徴
- 顔色が白くツヤがない
- 髪や肌が乾燥しやすい、抜け毛が多い
- 目の疲れ、生理不順、不眠傾向
よくある不調
- めまい、立ちくらみ、手足のしびれ
- 夢が多く、熟睡できない
おすすめの薬膳食材
- 黒ごま、ほうれん草、にんじん
- 鶏レバー、赤身肉、なつめ
- クコの実、桑の実、卵黄
✅ 調理法:鉄分吸収を助けるビタミンCも一緒に(例:ほうれん草+レモン)
生活のセルフケア
- 夜更かしを避ける(血は夜間に養われる)
- 過度の運動を控え、血の消耗を防ぐ
- 血を補うツボ:三陰交(さんいんこう)、肝兪(かんゆ)
🔥 3. 陰虚(いんきょ)|「潤い」が不足し、内側が乾いている体質
特徴
- 口や喉が渇きやすい(特に夜間)
- 手のひらや足の裏がほてる
- 不眠、寝汗、便秘気味
- 舌が赤く、苔が少ない
よくある不調
- 慢性ののぼせ、ドライアイ
- イライラしやすく、集中力が続かない
おすすめの薬膳食材
- 白きくらげ、百合根、梨
- 豆腐、豆乳、トマト、すいか
- アロエ、クコの実、はちみつ
✅ 調理法:潤いを保つよう、油分控えめで蒸し料理やスープが◎
生活のセルフケア
- 辛いもの・アルコール・刺激物を避ける
- 夜更かしNG。しっかり休息を
- 潤いを補うツボ:太渓(たいけい)、陰谷(いんこく)
❄ 4. 陽虚(ようきょ)|「温める力」が弱い冷え体質
特徴
- 冷え性(特に腰・足)
- 尿が近い・色が薄い
- 元気が出ない、朝がつらい
- 食欲不振、下痢しやすい
よくある不調
- 冬になると体調を崩しやすい
- 手足が冷たく、疲れが抜けない
おすすめの薬膳食材
- 羊肉、シナモン、生姜、にら
- ネギ、黒豆、くるみ、もち米
- 八角、山椒、味噌
✅ 調理法:温かく、スパイスや薬味を効かせた煮込み料理が効果的
生活のセルフケア
- 腰を冷やさないように意識(腹巻き◎)
- 朝は温かい白湯やスープで始める
- 陽気を補うツボ:命門(めいもん)、腎兪(じんゆ)
✅ 体質は固定ではない。日々変化する「動的バランス」
中医学では、「体質=生まれつきのもの」だけでなく、生活習慣や季節、感情によって変化するものと考えます。
- 春→ストレスで「気滞」に
- 夏→汗のかきすぎで「気陰両虚」に
- 冬→冷えで「陽虚」が悪化
➡️ そのため、季節ごとの薬膳やセルフケアを取り入れることが体調維持に大切です。
✅ まとめ|自分の体質を知って「未病」を防ぐ中医学の知恵
「なんとなく不調」「病院では異常なし」といった悩みは、中医学でいう体質バランスの乱れ=未病のサインかもしれません。
中医学の4つの基本体質(気虚・血虚・陰虚・陽虚)を理解し、それぞれに合った:
- 食事(薬膳)
- 生活習慣
- 養生法(ツボや休養)
を取り入れることで、「自然治癒力」が高まり、病気になりにくい体をつくることができます。
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