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鍼灸小話
鍼灸と腸脳相関の科学|迷走神経と消化・情動の生理学的つながり
はじめに:腸は「第二の脳」であり、免疫・情動の制御センター 腸管は、神経・内分泌・免疫系が高度に集積した“感覚—応答統合臓器”であり、「第二の脳(Second Brain)」と呼ばれるゆえんです。この腸と脳の双方向性ネッ […] -
鍼灸小話
オキシトシンと鍼灸|絆ホルモンがもたらす鎮痛と情動安定
はじめに:オキシトシンは心と体をつなぐホルモン オキシトシン(Oxytocin)は、「愛情ホルモン」「絆ホルモン」などと呼ばれる神経ペプチドです。出産や授乳だけでなく、対人関係の安心感・ストレス緩和・痛みの抑制など、心身 […] -
鍼灸小話
セロトニンと鍼灸|気分・痛み・自律神経をつなぐ鍵
はじめに:セロトニンは“幸福物質”だけではない 「セロトニン=幸せホルモン」として知られますが、その役割は気分調整にとどまりません。痛みの制御、睡眠の質、自律神経バランス、腸機能などにも深く関与する、極めて多機能な神経伝 […] -
鍼灸小話
疼痛記憶と鍼灸|痛みの脳内固定化にどう介入するか
はじめに:痛みは「記憶される」ことがある 「もう治っているはずなのに、なぜ痛みが続くのか?」この疑問に答える鍵は、“疼痛記憶(pain memory)”という神経メカニズムにあります。 疼痛記憶とは、痛みの刺激が何度も繰 […] -
鍼灸小話
グリア細胞と鍼灸|痛みと神経炎症を制御する鍵
はじめに:もうひとつの「神経」の主役 脳や脊髄の機能といえば「ニューロン(神経細胞)」を思い浮かべがちですが、実は中枢神経系の約半分はグリア細胞(神経膠細胞)が占めています。 このグリア細胞は、単なる「神経のサポーター」 […] -
鍼灸小話
神経可塑性と鍼灸|慢性痛における中枢適応への介入
はじめに:なぜ「痛みが消えない」のか? ケガや炎症が治ったのに、痛みがずっと残る。レントゲンやMRIでは異常が見つからない――こうした症状の背景には、中枢神経の過敏化=中枢感作(central sensitization […] -
鍼灸小話
炎症性サイトカインと鍼灸|慢性炎症に対する免疫調整作用
はじめに:痛み・倦怠感の背景に「炎症」がある 慢性のだるさ、関節のこわばり、治らない肌荒れ――こうした不定愁訴の陰にあるのが、低レベルの持続的炎症(サイレントインフラメーション)です。 この慢性炎症は、炎症性サイトカイン […] -
鍼灸小話
HRVと鍼灸|自律神経バランスの可視化と調整
はじめに:目に見えない自律神経を「可視化」する 疲れやすい、眠れない、ストレスが抜けない――こうした不定愁訴の背景には、自律神経の乱れが潜んでいることが多くあります。ただし、自律神経は内臓や血管を調整する無意識の神経系で […] -
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HPA軸と鍼灸|ストレス応答に対する神経内分泌調整
はじめに:なぜストレスで体が壊れるのか? ストレスを受けたとき、私たちの身体はただ「気分が悪くなる」だけでなく、ホルモン系・自律神経系・免疫系すべてが影響を受けます。この中枢となるのが、HPA軸(視床下部–下垂体–副腎系 […] -
鍼灸小話
ゲートコントロール理論と鍼灸の痛み抑制機構|末梢—脊髄—中枢の統合的アプローチ
はじめに 「鍼灸で痛みが和らぐのはなぜ?」――その問いに対して、もっともよく知られている科学的説明が、ゲートコントロール理論(Gate Control Theory)です。1965年にMelzackとWallによって提唱 […]