美容鍼灸は「顔に鍼を刺して小顔にする」だけの技術ではありません。
実は、東洋医学の考え方を土台にして、体の内側から美しくなることを目的とした施術です。
「なぜ顔のむくみのために、手や足に鍼を打つの?」
「肌荒れがあるのに、お腹のツボを使うのはなぜ?」
そんな疑問に答えるために、この記事では、美容鍼灸と東洋医学の関係性を、基本からやさしく解説していきます。
1. 美容鍼灸は東洋医学をベースにした“内側からの美容法”
美容鍼灸は、古くから続く「鍼灸治療」を美容目的に応用した施術です。
その根底にあるのが、東洋医学独自の身体観。
東洋医学では、私たちの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素で構成されていると考えられています。
この3つがバランスよく巡っているとき、私たちは元気で健康的。
肌の調子も良く、明るく、ハリのある状態になります。
逆にどれかが不足したり、滞ったりすると、肌荒れ・くすみ・シワ・むくみなどの美容トラブルが起きやすくなるのです。
2. 気・血・水とは何か?美容とのつながり
東洋医学における「気・血・水」は、目には見えないけれど、私たちの健康と美容に深く関係しています。
● 気(き)=生命エネルギーのようなもの
体を動かす原動力。
気が足りないと、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったりします。
また、肌のハリや血色にも関わっているとされます。
不足すると: 顔色がくすむ、目の下のクマ、活力の低下
● 血(けつ)=体を栄養するエッセンス
血は、肌や髪、爪を潤す栄養素。
血の流れが悪くなると、肌荒れや乾燥、シミができやすくなります。
滞ると: 顔が青白い、シワが増える、肌にツヤがなくなる
● 水(すい)=体を潤し、老廃物を流す要素
水は体液・リンパのようなもので、体に潤いを与え、老廃物を排出する働きがあります。
乱れると: むくみ、脂っぽい肌、ニキビ、重だるさ
美容鍼灸では、これらの「気・血・水」のバランスを整えることで、肌の状態だけでなく、全身のめぐりや体質の改善を目指します。
3. 東洋医学で考える“肌トラブル”の根本原因
西洋医学では、肌トラブルは「皮膚の問題」として対処しますが、
東洋医学では、「肌は内臓の鏡」と考えます。
つまり、内臓の不調が肌に現れるということです。
肌トラブルと内臓の関係(一例)
肌の悩み | 東洋医学の見立て | 説明 |
---|---|---|
ニキビ・赤み | 肝・肺の熱 | ストレス・食生活・便秘が原因になることも |
シワ・乾燥肌 | 血虚(けっきょ)・陰虚(いんきょ) | 栄養不足・睡眠不足・体の潤い不足 |
むくみ・たるみ | 水滞・脾の弱り | 胃腸の働きが弱く、余分な水分が排出できない |
くすみ・クマ | 気滞・瘀血(おけつ) | 血行不良・冷え・ストレスなどで流れが滞る |
美容鍼灸では、肌の表面だけでなく、これらの内側の不調を改善するツボや経絡(けいらく)にもアプローチするのが特徴です。
4. 美容鍼灸でよく使われる“美容ツボ”たち
美容鍼灸で実際によく使われる東洋医学的なツボ(経穴)をいくつか紹介します。
ツボ名 | 部位 | 主な効果 |
---|---|---|
攅竹(さんちく) | 眉頭の内側 | 目の疲れ、クマの解消 |
四白(しはく) | 目の下の骨のくぼみ | むくみ・くすみ対策 |
迎香(げいこう) | 小鼻の横 | ほうれい線・鼻詰まり |
足三里(あしさんり) | 膝下外側 | 消化器の活性化、肌荒れ改善 |
合谷(ごうこく) | 手の甲 | 自律神経の安定、肌トーン改善 |
これらのツボを鍼やお灸で刺激することで、顔と体の内側の両方に働きかけます。
5. 美容鍼灸は“全身の美”を整えるケア
美容鍼灸では、顔だけでなく全身を一つのシステムとして捉えます。
だからこそ、背中やお腹、脚などに鍼を打つこともあるのです。
肌の状態を良くするには、血流やホルモン、自律神経、消化器の働きなど、さまざまな要素が関わっているため、
全体のバランスを整えること=美しさのベースを整えることにつながります。
おわりに|東洋医学の視点を知ると、美容鍼灸がもっと深くわかる
「なぜ鍼を刺すだけで肌がきれいになるの?」
その答えは、東洋医学の「気・血・水」という考え方にあります。
美容鍼灸は、ただの“見た目ケア”ではなく、体の中から巡りを良くし、本来の美しさを引き出す方法です。
はじめての方でも、東洋医学の視点を少し知るだけで、美容鍼灸の考え方や奥深さをもっと楽しめるようになります。
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