日本鍼灸大学 
はじめに｜トリガーポイント鍼治療における痛み軽減の重要性
トリガーポイント鍼治療は、筋肉の硬結（しこり）に対して直接アプローチするため、局所的な痛みや違和感を伴うことがある。特に、トリガーポイントを狙う施術では、局所筋収縮（Twitch Response）を誘発するため、患者が「ズーンと響く痛み」や「ピクッとした感覚」を訴えることがある。
✅ 痛みを最小限に抑えることで、患者のリラックスを促し、施術効果を高めることができる
✅ 痛みに敏感な患者でも安心して施術を受けられるよう、適切な刺鍼テクニックを身につけることが重要
本記事では、痛みを最小限に抑える刺鍼技術、患者が怖がらないための工夫、リラックス効果を高めるポイント を詳しく解説する。
1. 鍼治療の痛みの原因と対策
痛みを感じる主な要因
- 皮膚の痛覚受容器の刺激 → 刺鍼時に表皮が刺激される
- 筋肉内の異常収縮（Twitch Response） → 硬結があると痛みを感じやすい
- 神経に近い部位の刺激 → 特定の部位では響くような痛みが出ることがある
- 患者の緊張や恐怖心 → 緊張していると痛みを強く感じる傾向がある
痛みを軽減するための対策
✅ 表皮への刺激を最小限にするため、素早く刺鍼する
✅ トリガーポイントにゆっくりとアプローチし、響きを和らげる
✅ 神経に過度な刺激を与えないよう、刺鍼角度を調整する
✅ 患者がリラックスできる環境を整える（照明、音楽、呼吸法の指導）
2. 痛みを最小限にする刺鍼テクニック
基本の刺鍼テクニック
- 皮膚を軽く引っ張りながら刺鍼 → 皮膚の抵抗を減らし、痛みを軽減
- 素早く刺入し、ゆっくり進める → 刺入時は速く、進入時はゆっくり
- 斜めの角度で刺鍼する → 皮膚への抵抗を減らし、スムーズに刺入
- Twitch Responseを誘発する際は、軽い振動を加えながら行う
✅ 適切な刺鍼方法を用いることで、痛みを最小限に抑えながらトリガーポイントを緩和できる
部位別の刺鍼ポイントと痛みを軽減するコツ
| 筋肉 | 痛みを軽減するコツ |
|---|---|
| 僧帽筋 | 皮膚を軽く引っ張りながら、斜めに刺鍼 |
| 肩甲挙筋 | 刺鍼前に肩を軽くマッサージし、筋肉をほぐしてから施術 |
| 大腰筋 | 腹部の緊張を緩めるため、深呼吸を促しながら刺鍼 |
| 梨状筋 | 坐骨神経を避けながら、ゆっくりと刺鍼 |
| 広背筋 | 刺鍼前に肩を回して筋肉の緊張をほぐしてから施術 |
3. 患者が怖がらないための工夫
心理的なリラックスを促す方法
✅ 施術前にしっかり説明を行う → 「この鍼は細いので、ほとんど痛みを感じません」などの声かけ
✅ 痛みを感じにくい部位から施術を始める → 最初に安心感を与えることで、全体の緊張を緩和
✅ 深呼吸を促しながら刺鍼する → 呼吸と刺鍼のタイミングを合わせることで、痛みを軽減
施術時の環境を整える
- 落ち着いた照明やリラックスできる音楽を活用
- 患者が安心できる体勢を整える（クッションやタオルを活用）
- 手足の冷えを防ぐため、施術前に軽く温める
4. 施術後のケアとアフターサポート
施術後の痛み対策
✅ 施術後の軽いマッサージやストレッチを指導 → 筋肉をリラックスさせ、余計な緊張を防ぐ
✅ 水分補給を促し、老廃物の排出を助ける → 鍼の効果を最大限に引き出すために重要
✅ 強い痛みが残らないよう、初回は刺激を控えめにする → 慣れるまで優しい刺激からスタート
まとめ
トリガーポイント鍼治療は、適切な刺鍼技術を用いることで、痛みを最小限に抑えながら最大限の効果を引き出すことができる。
✅ 素早い刺入＋ゆっくり進めることで、痛みを軽減する
✅ 部位ごとの特性を考慮し、適切な角度・深さで刺鍼する
✅ 患者のリラックスを促すことで、痛みの感じ方を和らげる
患者が安心して施術を受けられるよう、技術だけでなく、環境やコミュニケーションにも配慮することが大切。
関連リンク
🔗 トリガーポイントとドライニードリングの違い｜鍼灸師が知るべきポイント
🔗 トリガーポイントの発生メカニズム｜筋膜・神経・血流の関係
🔗 トリガーポイント鍼治療の基本｜どこに刺す？施術の流れと注意点
🔗 鍼灸師のためのトリガーポイント完全ガイド｜基礎・施術・応用まで徹底解説
🔗鍼灸の関連記事はコチラ
[鍼灸の基礎知識：日本鍼灸の進化と現代医療における役割]
[鍼灸と自律神経の関係｜ストレス軽減と健康改善のメカニズム]
