ゆっくりとした無理のない呼吸は、緊張を和らげる工夫の一つです。ただし、決まった秒数の呼吸法だけで高血圧が治る、薬が不要になるとは言えません。高血圧が疑われる場合は家庭血圧を適切に記録し、医療機関で相談してください。処方薬を自己判断で減らしたり中止したりしないでください。
呼吸法で血圧は下がる?
2025年の米国心臓協会などのガイドラインは、呼吸調整などのストレス対策を、生活習慣改善や薬物療法への補助策として検討しています。ただし、対象者、方法、期間は研究ごとに異なり、「6秒吸って6秒吐く」「4秒吸って8秒吐く」などの特定手順を誰にでも効く治療として勧める根拠にはなりません。呼吸法は診断、薬物療法、減塩や運動など医師と確認する対策の代わりにはなりません。苦しさ、めまい、胸の不快感が出たら中止してください。
まずは家庭血圧を正しく測る
日本高血圧学会は家庭血圧の測定と記録を勧めています。上腕式血圧計を用い、朝は起床後1時間以内・朝食や服薬の前、夜は就寝前に測ります。トイレを済ませ、椅子に座って1~2分安静にし、測定中は話したり身体を動かしたりしません。1機会に原則2回測り、結果と測定条件を記録して医療者に見せてください。個別の指示がある場合は担当者に従います。
測定の直前に独自の「血圧を下げる呼吸法」を行い、その値だけを記録すると、普段の状態が分かりにくくなります。いつ、どのように測ったかも一緒に記録しましょう。高い値が続く場合や、治療中なのに値が変わった場合は主治医へ相談してください。
呼吸を試すなら無理をしない
楽な姿勢で、息を止めたり力んだりせず、自然にゆっくり呼吸します。秒数や回数を競う必要はありません。息苦しさやめまいを感じたらやめてください。心臓・肺の病気がある方、呼吸に不安がある方は、主治医に相談してから行いましょう。
鍼灸やツボ押しと組み合わせれば効果が高まる?
呼吸法と鍼灸・ツボ押しを組み合わせることで血圧がより安定する、血管の柔軟性が戻ると断定できる根拠は確認できません。高血圧の診察・治療を受けている場合は、鍼灸を検討していることを主治医と鍼灸師へ伝えてください。鍼灸の位置づけは高血圧・低血圧と鍼灸の記事も参照してください。
受診や救急相談を優先したいとき
急な胸の痛みや呼吸困難、片側の手足の力が入らない、言葉が出にくい、急な視力の異常などがあれば、呼吸法で様子を見ず119番してください。症状がなくても普段と比べて非常に高い血圧が出たときは、落ち着いて測り直し、なお高ければ速やかに医療者へ連絡します。妊娠中の血圧は別の判断が必要なので、産科の担当者の指示を優先してください。
よくある質問
呼吸法を続ければ血圧の薬をやめられますか?
呼吸法だけで薬が不要になるとは言えません。服薬の変更は、記録した血圧などを基に主治医と相談してください。
血圧を測る直前に深呼吸をしてもよいですか?
通常の安静は大切ですが、独自の呼吸法で数値を下げてから測ることは避け、いつも同じ条件で測定してください。
ツボ押しと併用すると効果が高まりますか?
相乗効果は確認できていません。高血圧の診察・治療の代わりにしないでください。






