患者さんにトリガーポイントを説明する方法|わかりやすい伝え方

はじめに|患者さんにトリガーポイントを理解してもらう重要性

トリガーポイントは、筋肉内に形成される「しこり(硬結)」で、慢性的な肩こりや腰痛、関連痛を引き起こす。しかし、医学的な説明だけでは、患者さんにとって難しく感じることが多い。

患者が理解しやすい言葉で説明することで、施術の納得感が高まる
トリガーポイントをセルフケアと結びつけることで、治療効果を維持しやすくなる

本記事では、トリガーポイントを患者さんにわかりやすく説明する方法や、理解を深めてもらうための工夫 を詳しく解説する。


1. トリガーポイントを簡単に説明するコツ

① 難しい専門用語を避ける

患者さんに「筋膜の異常収縮」や「求心性入力の増加」などの専門用語を使っても、理解しづらい。代わりに、日常生活での例えを用いる ことで、スムーズに伝わる。

🟢 NG例:「トリガーポイントは筋膜の過緊張が原因で発生する硬結です。」
🟢 OK例:「筋肉に”コリの芯”ができて、それが痛みの原因になっています。」

② トリガーポイントを「筋肉のコリの芯」と説明する

トリガーポイントは、患者さんにとって馴染みのある「コリ」と関連付けると理解しやすい。

🟢 説明例:「筋肉の中に”しこり”ができてしまい、それが痛みを引き起こしています。」
🟢 さらに説明を加える:「このしこりが大きくなると、遠くの場所にも痛みが広がることがあります。」

③ 関連痛を「神経が響いている状態」と説明する

トリガーポイントの特徴である関連痛は、「神経の通り道に沿って痛みが広がる」ということを伝えると理解されやすい。

🟢 説明例:「お尻の筋肉が原因で、脚のほうまで痛みを感じることがあります。これは、神経が響いているためです。」


2. 患者さんが納得しやすい説明の流れ

ステップ①「どこが痛いか?」を聞く

まず、患者さんに「どの場所が痛むのか?」を聞き、トリガーポイントが関与している可能性を探る

🟢 質問例:「肩のどのあたりが特に辛いですか?」

ステップ② 触診して、トリガーポイントを特定する

実際にトリガーポイントを押してみて、患者さんが「そこ!」と感じたら、そのポイントが原因であることを伝える。

🟢 説明例:「ここを押すと、ズーンと痛みが広がる感じがしませんか?」
🟢 追加説明:「この場所が”コリの芯”になっていて、これが肩こりの原因です。」

ステップ③ 施術の目的を伝える

患者さんに「このトリガーポイントを緩めることで、痛みが改善する」ということを伝えると、施術への期待感が高まる。

🟢 説明例:「この”コリの芯”をほぐすことで、肩こりや頭痛が軽くなります。」


3. 患者さんが理解しやすい「たとえ話」

① 筋肉のトリガーポイントを「硬くなったスポンジ」に例える

「スポンジが水を吸えなくなると、カチカチに固まりますよね?筋肉も同じで、血流が悪くなると硬くなってしまいます。」
「鍼やお灸をすると、このスポンジに水が戻るように、筋肉が柔らかくなります。」

② トリガーポイントを「結び目のあるゴム」に例える

「ゴムが結ばれた状態だと、引っ張ると痛みが出ますよね。これがトリガーポイントです。」
「この結び目をほぐすと、筋肉が正常に動くようになります。」


4. 施術後のセルフケア指導の伝え方

トリガーポイントは、施術だけでなく、日常的なセルフケアによって改善を維持しやすくなる

ストレッチを推奨する → 「このストレッチをすると、トリガーポイントができにくくなります。」
温めることを勧める → 「お風呂やホットパックで温めると、より早くほぐれます。」
正しい姿勢を意識してもらう → 「姿勢が悪いと、またトリガーポイントができやすくなります。」

🟢 説明例:「このストレッチを1日3回やると、肩こりが再発しにくくなりますよ。」


5. 患者さんに信頼されるための説明ポイント

質問には丁寧に答える
患者さんの「どうして痛いの?」「なぜここを押すと痛いの?」という疑問には、わかりやすく説明する。

説明は短く、簡潔に
長すぎる説明は逆効果。ポイントを絞って伝える。

患者さんの言葉に合わせる
「ズーンとする」「ピキッと響く」など、患者さんの表現をそのまま使うと、理解が深まりやすい。


まとめ

トリガーポイントを「コリの芯」と説明すると伝わりやすい
たとえ話(スポンジ・ゴム)を使うと、患者さんが理解しやすい
施術の目的とセルフケアの重要性を伝えることで、納得感を高められる

患者さんがトリガーポイントを理解し、セルフケアを継続することで、施術の効果がさらに高まる。


まとめ

お灸は血流促進・鎮痛・筋弛緩の効果があり、トリガーポイント施術と相性が良い
透熱灸・温筒灸・灸頭鍼など、トリガーポイントの種類に応じて使い分ける
鍼施術と組み合わせることで、トリガーポイント治療の持続効果が高まる

トリガーポイント施術×お灸の組み合わせを実践することで、より効果的な治療を提供できる。

関連リンク

🔗 トリガーポイントの発生メカニズム|筋膜・神経・血流の関係
🔗 トリガーポイントと経絡の関係|鍼灸施術での応用テクニック
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