耳ツボを押すことで、うつ病や不安症が治るとはいえません。耳への圧迫を調べた研究はありますが、指で押すセルフケアで気分の落ち込みや不安が改善する方法が確立されたわけではありません。気分の落ち込みが続く、生活に支障がある、自分を傷つけたいと感じる場合は、耳ツボだけで対処せず、医療機関や相談窓口につながってください。
耳ツボとうつ・不安についてわかっていること
耳への圧迫とうつ症状を調べた研究のまとめはあります。ただし、研究に含まれる施術条件や対象者はさまざまで、その結果を自宅で指で押す方法にそのまま当てはめることはできません。鍼治療についての報告も、耳を指で押すセルフケアとは別の方法です。
「耳ツボがセロトニンを増やす」「コルチゾールを抑える」「自律神経やホルモンのバランスを整える」といった説明は、今回確認した資料からは裏付けられません。特定の耳の部位を押せばうつ病が改善する、という効果や標準的な押し方も確認できません。米国NCCIHは、補完的な方法を通常の診療の代わりに使ったり、受診を遅らせたりしないよう勧めています。
気分の落ち込みや不安で相談したいとき
- 気分の落ち込みや楽しめなさが、ほぼ毎日、一日の大半にわたり2週間以上続くときは、医療機関へ相談してください。
- 2週間に満たなくても、眠れない・食べられないなどの症状が強い、仕事や家事・人付き合いに支障がある、症状が悪化しているときは早めに相談してください。
- 自分を傷つけたい、消えたいと感じる場合は一人で抱えず、すぐに身近な人や医療機関へ伝えてください。差し迫った危険がある場合は119に連絡してください。
どこに相談すればよいかわからないときは、厚生労働省「まもろうよ こころ」の電話・SNS相談窓口も利用できます。診断は症状の経過や生活への影響などを含めて医療者が判断します。「ストレスだから」「耳ツボでよくなるはず」と決めつける必要はありません。
耳に触れるセルフケアを行うなら
気分転換として耳に触れる場合も、痛みを我慢して強く押さず、傷や炎症のある場所にはシールなどを貼らないでください。違和感があれば中止します。耳ツボジュエリーや磁気シールをうつ病・不安症の治療として勧める根拠は確認できません。治療中の方は、処方薬を自己判断で中止・変更せず、セルフケアについても担当医に相談してください。
よくある質問
耳ツボを押せばセロトニンが増えますか?
今回確認した資料では、耳を指で押すことでセロトニンの分泌が増えるとは確認できません。気分の変化を測る研究から、ホルモンや神経伝達物質の変化を推定することもできません。
耳ツボを試してから受診してもよいですか?
気分の落ち込みや不安が続く、生活に支障がある場合は、セルフケアの効果を待つために相談を先延ばしにしないでください。自分を傷つけたい気持ちがある場合は、すぐに支援を求めてください。
不安があるとき、どこへ相談できますか?
かかりつけ医や精神科・心療内科などに相談できます。相談先がわからないときは、厚生労働省「まもろうよ こころ」で電話・SNSの窓口を探せます。
参考情報
- 厚生労働省「まもろうよ こころ|困った時の相談方法・窓口」(日本国内の相談先、2026年9月21日確認)
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」(緊急時の救急要請、2026年9月21日確認)
- 英国NHS「Diagnosis – Depression in adults」(受診の目安と診断、2026年9月21日確認)
- 英国NHS「Symptoms – Depression in adults」(症状と生活への影響、2026年9月21日確認)
- 米国NCCIH「8 Things To Know About Depression and Complementary Health Approaches」(補完療法の限界、2026年9月21日確認)
- 「Meta-Analysis of the Clinical Efficacy of Auricular Acupressure on Patients with Depression」(耳介圧迫に関する研究、要旨を2026年9月21日確認)






