旧正月とは何か?東洋医学と養生から読み解く「春節」と体と心の切り替え方

旧正月とは何か

旧正月とは、太陰太陽暦(旧暦)に基づいて祝われる新年のことです。
現在の日本では1月1日を元日とする太陽暦が一般的ですが、旧正月は月の満ち欠けを基準としているため、毎年1月下旬から2月中旬の間で日付が変わります。

中国では「春節」、韓国では「ソルラル」、ベトナムでは「テト」と呼ばれ、今も多くの地域で一年でもっとも重要な行事として大切にされています。旧正月は単なる年越しではなく、自然のリズムと人の暮らしが深く結びついていた時代の「本来の年の始まり」を示す節目です。

東洋医学から見た旧正月の意味

東洋医学では、人の体は自然界と同じリズムで変化すると考えます。
そのため「年の始まり」は、カレンダー上の日付よりも「気の流れが切り替わるタイミング」が重要になります。

冬は、陽気が体の奥深くに潜み、エネルギーを蓄える季節です。腎を中心に、静かに休み、守り、ため込むことが養生の基本となります。
そして冬至を過ぎると、目には見えませんが、少しずつ陽気が芽生え始めます。

旧正月は、この「冬の養生から春の養生へ切り替わる境目」に位置します。
つまり旧正月とは、行事としての新年であると同時に、体と心を春仕様へ移行させるための“調整期間”でもあるのです。

「春節」がなぜ“春”なのか

春節の「春」は、気温としての春ではありません。
東洋思想における春とは、「生命の気が立ち上がる時」を意味します。

旧暦では、冬至をもって陰が極まり、そこから陽が生まれると考えられてきました。
旧正月は、その陽気が一定の力を持ち、自然界全体が「動き出す準備に入る」節目です。

農耕社会において春は、種まきの準備を始める重要な時期でした。
そのため春節は、自然・作物・人間が同時に新しい循環へ入る「本当のスタート」として祝われてきたのです。

日本で旧正月文化が薄れた理由

日本でも、もともとは旧暦による正月が生活の基準でした。
しかし明治時代に太陽暦が採用され、正月が1月1日に固定されます。

これは文化的な変化というよりも、近代国家として制度や行政、国際的な整合性を優先した結果でした。
その影響で、季節の感覚や農耕的な暦の意識は徐々に日常から離れていきます。

ただし、沖縄や一部の地域行事、神事・民俗行事の中には、今も旧暦の思想が色濃く残っています。
完全に消えたのではなく、「見えにくくなった」と言った方が近いでしょう。

旧正月前後にすると良い養生

旧正月前後は、体が内向きの冬モードから、外へ向かう春モードへ移行する時期です。
この時期の養生のポイントは「無理に始めないこと」です。

食事は、冬の間に多くなりがちな脂っこいものや甘いものを少しずつ控え、巡りを助ける食材を取り入れます。菜の花や春菊、三つ葉、柑橘類、軽い酸味や発酵食品などが適しています。

生活面では、夜更かしを控え、朝の光を浴びる時間を少しずつ増やすことが大切です。
春の気は上へ外へ向かうため、体の中に溜め込まず、軽く動かすことを意識します。

心の養生としては、目標や計画を立てすぎないことが重要です。
春は完成を目指す季節ではなく、「芽が出れば十分な季節」だと捉えると、心身の負担が減ります。

春に不調が出やすい人の特徴

春は東洋医学でいう「肝」が主役になる季節です。
そのため、気の巡りが滞りやすい人ほど不調が出やすくなります。

真面目で我慢強い人、感情を内に溜め込みやすい人は、イライラや胸の詰まり、喉の違和感として症状が現れやすくなります。
また、寒暖差や環境変化に弱く、自律神経が乱れやすい人も春に不調を感じやすい傾向があります。

目の疲れ、首や肩のこり、春に増える頭痛なども、春特有のサインの一つです。
これらは「弱さ」ではなく、体質と季節の相性による自然な反応です。

現代の生活に旧暦をどう取り入れるか

旧暦をそのまま生活に取り入れる必要はありません。
大切なのは「考え方」と「リズム感覚」です。

体調や気分が揺らいだとき、「そろそろ切り替えの時期かもしれない」と旧暦を答え合わせとして使うだけで、自己否定が減ります。
また、旧正月・春分・夏至・秋分といった年に数回の節目だけを意識するだけでも、無理のないペース配分が可能になります。

旧暦は、頑張るための道具ではなく、「休んでいい理由」をくれる知恵です。

まとめ

旧正月とは、過去の文化行事ではありません。
それは、自然と体と心のリズムを整えるための“設計図”です。

春に不調が出るのは、怠けているからではなく、切り替えの途中にいるから。
旧正月は、「どう生きるか」ではなく、「どう切り替えるか」を教えてくれる、大切な節目です。

現代の生活の中でも、この視点を持つだけで、季節との付き合い方は大きく変わります。です。

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