瘀血体質とは?——“血の滞り”がもたらす慢性的な不調
中医学では、「血(けつ)」は体を潤し、栄養を届ける重要な構成要素です。
その血が滞ったり、濁ったりして、巡りが悪くなった状態を「瘀血(おけつ)」といいます。
瘀血体質とは、体の中の血流がスムーズでないことによって、不調が慢性化しやすい体質です。
特に、痛み・月経トラブル・シミやくすみ・しこり・肩こり・冷えといった症状が現れやすくなります。
✅ 瘀血体質の主な症状
症状カテゴリ | 具体的な不調の例 |
---|---|
血行不良 | 手足の冷え、顔色が暗い、唇が紫がかる |
月経異常 | 生理痛が強い、月経血に塊がある、経血が黒い |
慢性痛 | 頭痛・肩こり・関節痛が固定的にある |
皮膚症状 | シミ・くすみ・目の下のクマ、肌の乾燥 |
精神・全身症状 | イライラ、胸のつかえ、慢性疲労 |
✅ 瘀血体質の原因と中医学の見方
原因 | 説明 |
---|---|
ストレス | 情緒の停滞により「気滞(きたい)」→血の巡りが悪化 |
運動不足 | 血の流れが鈍くなり瘀血が生じやすい |
冷え | 寒邪が血管を収縮させ、血行を妨げる |
外傷や手術歴 | 局所的な血の停滞や瘢痕が瘀血の原因に |
加齢・慢性病 | 血液の質の低下と代謝の鈍化により滞りやすくなる |
瘀血は、他の体質(気虚・陽虚・気滞など)との複合型になることが多く、慢性化しやすいのが特徴です。
✅ 鍼灸による瘀血体質へのアプローチ
鍼灸は、滞っている血の流れを改善し、瘀血を「散らす」ことに優れた効果を発揮します。
🎯 主な施術方針
- 経絡の流れをスムーズにし、瘀血を排出する
- 気の巡りを整え、気滞と瘀血の悪循環を断ち切る
- 冷えの除去と温通(おんつう)で血行を促進
🌿 瘀血に使われる代表的なツボ
ツボ名 | 効果 | 位置 |
---|---|---|
血海(けっかい) | 血の巡りを促進し、婦人科症状に有効 | 太ももの内側、膝のお皿の内上方 |
三陰交(さんいんこう) | 気血の巡りを改善し、冷えと痛みを緩和 | 内くるぶしから指4本上 |
太衝(たいしょう) | 肝の経絡を整え、気滞・瘀血を解消 | 足の甲、親指と人差し指の間 |
合谷(ごうこく) | 上半身の瘀血改善、頭痛や肩こりにも | 手の甲、親指と人差し指の間のくぼみ |
灸・温熱療法との併用も有効です。冷えを取り除き、血の巡りを滑らかにします。
🥣 瘀血体質におすすめの薬膳と食材
瘀血には「活血化瘀(かっけつかお)」=血を巡らせて瘀血を取り除く食材を使います。
食材 | 主な作用 |
---|---|
玉ねぎ・にんにく | 血液をサラサラにし、巡りを促す |
黒きくらげ | 血行改善と老廃物の排出を助ける |
紅花・丹参(※漢方食材) | 活血作用、婦人科トラブルに効果的 |
酢・陳皮 | 気滞改善と消化促進で血行サポート |
青魚(サバ・イワシ) | EPA・DHAで血液を浄化し巡らせる |
ウコン(ターメリック) | 肝の巡りを改善し、瘀血を緩解する |
⚠️ 活血作用が強いものは、妊娠中・月経過多の方は注意が必要です。体質や状況に合わせて取り入れましょう。
🧘 瘀血体質の生活養生アドバイス
養生法 | 解説 |
---|---|
適度な運動 | 毎日20~30分のウォーキングやストレッチ |
ストレス管理 | 深呼吸・瞑想・入浴で緊張を緩める |
冷え対策 | 首・腰・足元の保温を徹底 |
早寝早起き | 血の生成と巡りは睡眠の質が大切 |
入浴とマッサージ | 血流促進と老廃物排出に有効 |
✅ まとめ:瘀血体質は「巡らせること」がカギ
瘀血体質は、血の流れが悪くなった結果、慢性的な不調を抱える状態です。
放っておくと、月経不順・慢性痛・肌荒れ・不妊・情緒不安定などにもつながります。
鍼灸による経絡調整と、薬膳による食事改善を組み合わせることで、体の内外から“巡りのよい状態”へ導くことが可能です。
「冷えて痛む・詰まって苦しい」そんな症状に心当たりがある方は、早めの体質改善が未来の健康への第一歩です。
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