はじめに|トリガーポイント施術にお灸を取り入れるメリット
トリガーポイント施術は、筋肉の硬結(しこり)を緩め、血流を改善することで痛みを軽減する。しかし、慢性痛や深層筋のトリガーポイントに対しては、鍼だけでなく「お灸」を併用することで、さらなる相乗効果が期待できる。
✅ 鍼×お灸でトリガーポイントの緊張をより深くほぐせる
✅ 血流を促進し、トリガーポイントの再発を防ぐ
✅ 鍼が苦手な患者にも、お灸を使った施術が可能
本記事では、トリガーポイント治療にお灸を組み合わせる方法と、その効果を最大限に引き出すための施術テクニック を詳しく解説する。
1. お灸の作用とトリガーポイント治療への応用
お灸がもたらす主な効果
お灸の温熱刺激には、以下のような作用がある。
- 血流促進 → 筋肉の硬結を緩め、トリガーポイントの回復を促す
- 鎮痛作用 → 熱刺激が神経を活性化し、痛みの閾値を上げる
- 自律神経の調整 → 副交感神経を優位にし、筋肉の緊張を和らげる
- 免疫力の向上 → 白血球の働きを促し、炎症の鎮静を助ける
トリガーポイント施術とお灸の組み合わせ方
✅ トリガーポイントに直接お灸を据える → 局所の血流を改善し、筋緊張を緩和
✅ 経穴(ツボ)にお灸を据えて、全身のバランスを整える
✅ 鍼施術後にお灸を加えることで、より持続的な効果を発揮
2. トリガーポイント施術に活用できるお灸の種類
① 直接灸(透熱灸・知熱灸)
✅ トリガーポイントにダイレクトに熱刺激を加える方法
- 透熱灸 → モグサを小さく捻り、直接皮膚の上で燃やす。強い刺激が必要な深層部のトリガーポイントに適している。
- 知熱灸 → 皮膚が熱さを感じたら取り除く方法。刺激を抑えながら血流を促進したい場合に有効。
適応部位
- 僧帽筋のトリガーポイント(肩こり・頭痛) → 肩井(けんせい)に透熱灸
- 梨状筋のトリガーポイント(坐骨神経痛) → 環跳(かんちょう)に知熱灸
② 間接灸(温筒灸・温熱灸)
✅ 皮膚に直接火をつけず、穏やかな熱刺激を与える方法
- 台座灸(せんねん灸など) → 火傷のリスクが低く、セルフケアにも適している。
- 温筒灸(棒灸) → 広範囲のトリガーポイントに対し、じんわりと温めるのに最適。
適応部位
- 大腰筋のトリガーポイント(腰痛) → 気海(きかい)、関元(かんげん)に温筒灸
- 広背筋のトリガーポイント(肩の可動域制限) → 肩貞(けんてい)に台座灸
③ 灸頭鍼(きゅうとうしん)
✅ 鍼の上にモグサを載せ、刺鍼したまま温熱を加える方法
- 深部のトリガーポイントに対して、鍼の刺激とお灸の熱効果を同時に作用させることができる。
- 筋肉の奥にあるトリガーポイントに最も効果的。
適応部位
- 肩甲挙筋のトリガーポイント(首こり・寝違え) → 天柱(てんちゅう)に灸頭鍼
- 腰方形筋のトリガーポイント(腰の張り) → 腎兪(じんゆ)に灸頭鍼
3. トリガーポイント施術+お灸の実践テクニック
① 肩こり・緊張型頭痛へのアプローチ(僧帽筋×胆経)
- 肩井(けんせい)のトリガーポイントに刺鍼し、局所筋収縮(Twitch Response)を引き出す
- 鍼を抜いた後、肩井に透熱灸を施し、筋肉の緊張を緩める
- さらに、風池(ふうち)・天柱(てんちゅう)に温筒灸を加え、全身のリラックスを促す
② 腰痛・姿勢改善へのアプローチ(大腰筋×腎経・肝経)
- 大腰筋のトリガーポイントに腹部からアプローチし、刺鍼
- 気海(きかい)、関元(かんげん)に台座灸を施し、血流を促進
- 背部の腎兪(じんゆ)にも温筒灸を加えることで、腰全体の緊張を緩和
③ 坐骨神経痛へのアプローチ(梨状筋×膀胱経)
- 梨状筋のトリガーポイントに刺鍼し、Twitch Responseを誘発
- 承扶(しょうふ)、環跳(かんちょう)に灸頭鍼を施し、深部の温熱刺激を加える
- さらに、委中(いちゅう)に台座灸を施し、坐骨神経痛の改善を図る
まとめ
✅ お灸は血流促進・鎮痛・筋弛緩の効果があり、トリガーポイント施術と相性が良い
✅ 透熱灸・温筒灸・灸頭鍼など、トリガーポイントの種類に応じて使い分ける
✅ 鍼施術と組み合わせることで、トリガーポイント治療の持続効果が高まる
トリガーポイント施術×お灸の組み合わせを実践することで、より効果的な治療を提供できる。
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