バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰になる自己免疫性の甲状腺機能亢進症です。動悸、体重減少、手の震え、発汗、不眠、疲れやすさなどが現れることがあります。症状には個人差があり、甲状腺眼症を伴うこともあります。
鍼灸を受けたいと考える場合も、バセドウ病そのものの治療や甲状腺ホルモンの管理は、内科・内分泌内科での診察と検査を基本にしてください。鍼灸が甲状腺ホルモン値を下げる、自己免疫の働きを整えるといった効果は、現時点で確立していません。
バセドウ病とは?
バセドウ病は、TSH受容体に対する自己抗体などの働きにより、甲状腺ホルモンの産生と分泌が亢進する病気です。頻脈、体重減少、手指の震え、発汗増加などが診断の手がかりになります。日本甲状腺学会:甲状腺疾患診断ガイドライン2024
症状が「ストレス」や「自律神経の乱れ」に似て感じられることもありますが、自己判断はできません。血液検査などで状態を確認し、原因に合った治療を受けることが大切です。
治療の基本は主治医と決める
治療には、抗甲状腺薬、放射性ヨウ素治療、手術などがあります。年齢、症状、甲状腺の状態、妊娠・出産の予定、眼の症状などを踏まえて、医師と相談して選びます。Minds:バセドウ病治療ガイドライン2019
薬を飲んでいる場合は、体調がよく感じても自己判断で量を減らしたり、中止したりしないでください。採血結果と症状の両方を確認しながら、治療方針を調整します。
鍼灸を受けたいときに確認したいこと
鍼灸は、治療中の疲れ、不眠、緊張などについて相談したいと感じることがあるかもしれません。ただし、鍼灸をバセドウ病の治療の代わりにしたり、薬の調整の根拠にしたりすることはできません。
受ける前に、次の点を主治医と鍼灸師の両方へ伝えてください。
- バセドウ病の診断を受けていること
- 現在の治療内容と服用中の薬
- 最近の採血結果や、主治医から伝えられている注意点
- 動悸、息切れ、発熱、体重変化、目の症状の有無
- 妊娠中・授乳中、または妊娠を予定しているか
鍼灸師には、病気を治す目的ではなく、何に困っているのかを具体的に伝えましょう。たとえば「寝つきにくい」「治療中の緊張が強い」などです。施術後に動悸、めまい、強いだるさなどが増した場合は、施術を続けるかを自己判断せず、主治医へ相談してください。
すぐに医療機関へ相談したい症状
次のような症状がある場合は、鍼灸やセルフケアで様子を見るのではなく、早めに医療機関へ連絡してください。
- 脈が非常に速い、乱れる、または胸痛・強い息苦しさがある
- 高い発熱、下痢や嘔吐、強いだるさ、意識がぼんやりするなどがある
- 急な視力低下、色の見え方の変化、急な眼球突出がある
- 目の痛み、物が二重に見える、まぶしさが続く
- 抗甲状腺薬の服用中に、発熱、のどの痛み、強いだるさ、黄疸などがある
甲状腺機能亢進症が重症化した甲状腺クリーゼは、速やかな治療が必要な状態です。日本甲状腺学会:甲状腺クリーゼに関する情報
生活の中でできること
生活習慣を一律に変えるよりも、主治医からの指示を優先してください。食事、運動、サプリメント、ヨウ素を含む製品についても、状態や治療内容によって注意点が異なります。
日常では、症状の変化を記録して診察時に伝えると役立ちます。
- 動悸や手の震えが出た時間帯
- 体重、睡眠、疲れやすさの変化
- 目の違和感や見え方の変化
- 服薬状況と副作用と思われる症状
- 鍼灸を受けた場合の体調変化
よくある質問
鍼灸だけでバセドウ病を治療できますか?
できません。バセドウ病の診断、甲状腺ホルモンの管理、治療方針の決定は医療機関で行います。鍼灸を受ける場合も、治療を中断せず、主治医と相談してください。
鍼灸を受けると薬を減らせますか?
薬の量や中止は、症状だけでなく採血結果などをもとに主治医が判断します。鍼灸を受けたことを理由に、自己判断で薬を変更しないでください。
目の症状は内科に伝えるべきですか?
はい。目の乾き、痛み、まぶしさ、物が二重に見える、視力の変化などは、主治医に早めに伝えてください。必要に応じて眼科と連携して診療します。日本甲状腺学会:甲状腺眼症診療施設一覧
まとめ
バセドウ病では、治療を継続しながら症状と検査値を確認することが基本です。鍼灸を希望する場合も、病気を治す目的や薬の代替として扱わず、主治医と鍼灸師に治療状況を共有してください。気になる症状が増えたときは、早めに医療機関へ相談しましょう。






