高齢者の睡眠障害|不眠対策と生活習慣の見直し方法

はじめに

加齢とともに睡眠時間が短くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。特に高齢者では、不眠症や夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒など、睡眠障害が深刻な問題となることがあります。本記事では、高齢者が直面しやすい睡眠の問題とその改善方法について、具体的な対策を紹介します。


1. 高齢者の睡眠障害の主な症状

高齢者が抱える睡眠障害には、以下のような症状があります。

  • 中途覚醒(夜中に目が覚める)
    深い眠りが維持できず、夜中に何度も目が覚めてしまう。
  • 早朝覚醒(朝早く目覚めてしまう)
    朝早くに目が覚めてしまい、再び眠ることができない。
  • 寝付きの悪さ
    ベッドに入ってもなかなか眠れず、入眠までに時間がかかる。
  • 昼間の眠気・倦怠感
    夜間の睡眠不足によって、昼間に強い眠気や倦怠感を感じることが多い。

これらの症状は、心身の健康に悪影響を与え、生活の質を大きく低下させる可能性があります。


2. 高齢者の睡眠障害の原因

1)体内時計(サーカディアンリズム)の乱れ

加齢によって体内時計が乱れ、眠りにくい時間帯が変化することがあります。これにより、夜間に眠れなくなり、昼間に眠気が強くなることがあります。

2)ホルモン分泌の変化

高齢になると、睡眠を促進するメラトニンというホルモンの分泌量が減少します。メラトニンが不足すると、入眠までに時間がかかり、睡眠の質も低下します。

3)生活習慣の問題

昼間の活動量が減少することで、体が睡眠を必要とするほど疲れなくなります。また、昼寝が長時間化することも夜間の不眠の原因になります。

4)疾患や薬の影響

糖尿病や高血圧などの慢性疾患、またそれらの治療に用いる薬が睡眠に影響を与える場合があります。


3. 高齢者が実践すべき不眠対策

1)生活習慣を整える

  • 就寝時間と起床時間を一定に保つ
    毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体内時計を整えましょう。
  • 朝日を浴びる
    朝起きたらすぐに太陽光を浴びることで、メラトニン分泌のリズムが整います。
  • 昼間に適度な運動を取り入れる
    散歩やストレッチなどの軽い運動を行うことで、体が適度に疲れ、夜間の睡眠が深くなります。
  • 昼寝を短時間にする
    長時間の昼寝は夜間の睡眠を妨げるため、昼寝は30分以内に抑えるのが理想です。

2)食事を見直す

  • 夕食は就寝の2〜3時間前に済ませる
    消化に時間がかかる食事は、就寝直前を避けましょう。
  • トリプトファンを含む食材を摂取する
    バナナやナッツ、牛乳などには、睡眠を促すトリプトファンが含まれています。

3)リラクゼーション法を取り入れる

ストレッチや深呼吸、瞑想など、心を落ち着ける習慣を取り入れると、リラックスして眠りに入りやすくなります。


4. 鍼灸による睡眠障害改善のアプローチ

東洋医学では、睡眠障害は「気・血」の滞りや「陰陽バランス」の乱れによって起こると考えられています。鍼灸では、体内のエネルギー(気)の流れを整えることで、眠りを促す効果が期待できます。

主な効果的なツボ

  • 百会(ひゃくえ):頭頂部にあり、精神を安定させる効果があります。
  • 三陰交(さんいんこう):足首にあり、自律神経を整える効果があります。
  • 安眠(あんみん):耳の後ろにあり、入眠を助ける効果があります。

鍼灸によってストレスや不安が軽減されると、副交感神経が優位になり、深い睡眠を得やすくなります。


5. 高齢者が避けるべき習慣

  • 就寝前のスマートフォンやテレビの使用
    ブルーライトがメラトニン分泌を抑制するため、就寝前の電子機器の使用は控えましょう。
  • カフェインやアルコールの摂取
    カフェインは覚醒作用があり、アルコールも眠りの質を低下させるため、夕方以降は控えることが望ましいです。

まとめ

高齢者の睡眠障害は、生活習慣や体内時計の乱れ、ホルモン分泌の減少など、さまざまな要因が絡んで起こります。しかし、適切な対策を講じることで、睡眠の質を向上させることが可能です。

生活習慣を整え、リラクゼーション法や鍼灸を取り入れることで、夜間の中途覚醒や早朝覚醒といった問題を改善しましょう。睡眠は健康維持の基盤となるため、快適な眠りを確保するための対策を積極的に実践してください。


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