日本臨床鍼灸懇話会、64年の歴史に幕――2024年8月31日解散

2024年8月31日、日本臨床鍼灸懇話会(尾﨑朋文会長)は正式に解散しました。同会の役員会での決議に基づき、役員の高齢化と後継者不足が主な理由として解散が決定されました。これにより、1960年の発足から64年間にわたる歴史的な活動に終止符が打たれました。

懇話会の発足と歴史的背景

日本臨床鍼灸懇話会のルーツは、1960年(昭和35年)に設立された「日本体壁反射研究会」にまで遡ります。これは、石川日出麿氏と大刀雄氏の提唱する内臓体壁反射理論と皮電計を用いた鍼灸の科学化を目的としたものでした。その後、1975年(昭和50年)に「日本体表皮電測定会」へと改名し、さらに1983年(昭和58年)には「日本臨床鍼灸懇話会」として再編されました。この懇話会は、鍼灸の科学的な探求と臨床技術の向上を中心に据え、鍼灸業界の発展に寄与してきました。

懇話会の主な功績と活動

懇話会は、特に臨床鍼灸師の技術向上を目指し、学術的な議論の場を提供してきました。例年開催される学術集会は、全国各地で行われ、合計58回もの開催実績を誇ります。また、症例集積委員会を設け、流派に依存せず科学的根拠に基づく診断や治療法を提唱してきました。これにより、現在では多くの教育現場で使用される鍼灸診断の共通言語が形成される一助となりました。

また、「鍼灸臨床断学」といった書籍は、整形外科領域を含むさまざまな疾患に対応した治療法を示した書籍を出版しています。このような実績から、懇話会は鍼灸業界全体に大きな影響を与えてきました。

解散の理由と今後

懇話会が解散に至った背景には、役員の高齢化や運営者不足、そして新たなアイデアの欠如が挙げられます。これにより、今後の活動継続が難しいと判断され、理事会での議論を経て解散が決定されました。これまでの学術集会や研究成果が鍼灸業界に及ぼした影響は計り知れず、懇話会の功績は今後も鍼灸の現場で語り継がれていくことでしょう。

論文と参考資料の扱い

日本臨床鍼灸懇話会がこれまで発行してきた論文や資料については、解散後も引き続き使用可能です。特に「シリーズ針灸院診断学」などは、現場の鍼灸師にとって重要な参考資料として評価されています。解散後の正式な資料閲覧の終了時期は2024年9月31日を予定しており、資料の保存を希望する方は事前にダウンロードやプリントアウトを推奨しています。

最後に

64年にわたる活動を終えるにあたり、日本臨床鍼灸懇話会はこれまでの協力者や関係者に対し、深い感謝の意を表しています。懇話会が築いてきた科学的な鍼灸技術や診断法の研究成果は、今後も多くの鍼灸師や医療関係者に役立つことでしょう。

尾﨑会長をはじめ、役員一同は「今後も鍼灸業界の発展を見守り、鍼灸師としての成長に寄与することを心より願っている」と締めくくっています。

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