助産師と鍼灸師の多職種連携「となりのお醤油プロジェクト」開催

2024年9月6日、京都市中京区の佛現寺にて、「三陰交だけじゃない助産師・看護師向け産科に役立つツボ療法」実地セミナーが開催されました。今回のセミナーは、ウェルビーイングな子育て環境を作る目的で、地域の助産師と鍼灸師の多職種連携を目指す「となりのお醤油プロジェクト」が主催。産後ケアなどの現場で即役立つツボ療法を学び、多職種間の連携を深める貴重な機会となり、多くの参加者から高評価を得ました。

他職種連携を目指すとなりのお醤油プロジェクトにて「三陰交だけじゃない助産師・看護師向け産科に役立つツボ療法」実地セミナーの一幕、矢野先生がタッチケアをレクチャーしている所

産後ケアにおける鍼灸とツボ療法の可能性

今回のセミナーでは、助産師や看護師が日々の現場で活用できるツボ療法が紹介されました。特に、「三陰交(さんいんこう)」だけに限らず、あらゆる母子の悩みに対してのセルフケアやお灸体験など多岐にわたるツボの重要性が強調されました。

講師を務めたのは、明治国際医療大学(明治鍼灸大学)の前学長であり、鍼灸や東洋医学の第一人者である矢野忠先生です。矢野先生は、レディース鍼灸の書籍などで知られ、妊産婦の体調管理産後ケアに効果的なツボ療法を、丁寧に解説しながら実技指導を行いました。


助産師の方々からのご意見により実現

今回のセミナーは、6月26日に京都市中京区Questionで開催されたイブニングセミナー「生理学で考える鍼がうまい人のメカニズム:講師 SR鍼灸 伊佐治景悠先生」に参加された助産師さんからのご提案で実現した。今回のセミナーでは少人数制で講師と直接コミュニケーションを取りながら学ぶことができました。参加者は、矢野先生に自分の悩みや疑問を自由に質問し、実際のツボの場所や刺激の仕方を確認しながら学習を深めました。ある助産師さんからは、「以前よりツボや東洋医学には大変関心があったが、三陰交ぐらいしか知らない、具体的な方法が知れて良かった」との声がありました。

セミナー後のご意見では、以下のようなポジティブなフィードバックが寄せられました。

  • 「早速、出産後のお母さんの母乳マッサージに取り入れます。」
  • 「妊婦さんや産後ケアにツボを活かす方法を実践的に学べ、すぐに現場で試してみたい」
  • 「地域の鍼灸師さんがどんな事をしているのか?がわかりました。」

鍼灸師と助産師の連携を深める「となりのお醤油プロジェクト」

今回のセミナーは、「となりのお醤油プロジェクト」の一環として開催されました。このプロジェクトは、助産師と鍼灸師が多職種連携を地域で協力し合い、地域全体で母子や女性の健康を支え産後クライシスの予防を目指す取り組みです。「お隣さんに醤油を借りに行く」ような気軽な相談ができる環境作りを象徴するこのプロジェクトは、地域住民が安心して健康相談やケアを受けられる場を提供することを目標としています。

このプロジェクトを通じて、鍼灸師と助産師の多職種連携が進み、それぞれの専門知識や技術が融合することで、より包括的な母子ケアが提供されることが期待されています。次回のセミナーでは、助産師の視点から鍼灸師が学ぶ内容が予定されており、多職種間のさらなる協力とスキル向上が期待されています。


参加者の声:実践的な学びで現場力が向上

セミナーに参加した助産師や看護師の方々からは、ツボ療法の実践的な学びに対して非常に好意的なフィードバックがありました。「実際に手を使ってツボを押すことで、患者さんにストレスなくリラックスしてもらう技術が身についた」「鍼灸などの東洋医学の理論を現場でどう活かせるか、より深く理解できた」との感想が寄せられています。

特に、助産師の方々は日々のケアに対し、より母子との信頼関係を築くための新たな手法を学ぶことができました。セミナーを通じて、すぐに現場で応用できる知識とスキルを身につけることができたというご意見で大変ご好評をいただきました。


参加者の助産師に、矢野忠先生が三陰交の取り方を教えている画像

まとめ:地域と連携し、母子ケアを強化しよう

となりのお醤油プロジェクト」は、地域全体が一体となり、助産師や鍼灸師が連携して母子の健康をサポートすることを目的としています。今回のセミナーは、東洋医学や鍼灸の知識を助産師や看護師に伝える絶好の機会となり、産後ケアや妊産婦ケアの現場で活用できる実践的な学びを提供しました。

今後も、このプロジェクトを通じて、医療従事者同士の連携を深め、地域に根ざした子育てケアを実現していくための取り組みが続けられます。多職種の協力によって、患者さんにより安心と信頼を届けるため、引き続き次回のセミナーもぜひご期待ください。

参加していただいた皆様、本当にありがとうございました!次回のセミナーでは、更年期などへの東洋医学的アプローチを検討中とのことです。

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