湿熱体質とは?——“体内にこもる湿気と熱”が不調の原因に
中医学における湿熱(しつねつ)体質は、体の中に余分な湿(湿邪)とこもった熱(内熱)が溜まり、巡りが悪くなった状態を指します。
湿と熱が絡み合うと、次のような不快な症状が現れます:
- 顔のテカリ・ニキビ・口臭・体臭
- お腹の張り・便のベタつき・下痢と便秘の繰り返し
- 舌苔が黄色っぽい・口が苦い・イライラしやすい
こうした症状は、ただの“生活習慣病”や“体質のせい”ではなく、中医学では「湿熱証(しつねつしょう)」という明確な捉え方があります。
✅ なぜ「湿熱」がたまるのか?
原因 | 中医学の見方 |
---|---|
油っこい食事・アルコールの過剰 | 脾胃に負担がかかり「湿」が溜まりやすくなる |
外の湿気や暑さ | 梅雨・高温多湿の環境は「湿邪」の外因 |
ストレス・怒り | 肝火が生じ「熱」が体内にこもる要因に |
発汗不足・運動不足 | 湿を排出できず、体に熱がこもりやすくなる |
✅ 鍼灸でできる「湿熱体質」ケア
鍼灸は、気血の巡りを整え、体にこもった湿と熱を外へ導くことに長けた治療法です。薬膳や漢方と並び、中医学における代表的なアプローチのひとつです。
🌿 鍼灸で整える3つのアプローチ
- 経絡の巡りを活性化
➡️ 湿の停滞による「重だるさ」「むくみ」を解消 - 内臓機能(脾・肝・胆など)を調整
➡️ 消化器の働きを助け、湿を処理する力を高める - ストレスやイライラを和らげる
➡️ 肝の熱を冷まし、精神的な熱のこもりを調整
✅ 湿熱体質に用いられる主な経穴(ツボ)
ツボ名 | 効果 | 位置 |
---|---|---|
陰陵泉(いんりょうせん) | 湿の排出・むくみ対策 | 膝内側、脛骨の内側のくぼみ |
太衝(たいしょう) | 肝火を鎮め、情緒の安定に | 足の親指と人差し指の間 |
中脘(ちゅうかん) | 胃腸の働きを助ける | みぞおちとへその中間点 |
これらのツボを刺激することで、湿と熱の両方にアプローチが可能です。
✅ 湿熱体質と薬膳の関係(補助的に紹介)
鍼灸と並行して、食事によるアプローチも重要です。**清熱利湿(せいねつりしつ)**作用を持つ食材を活用することで、体質改善をサポートできます。
✔ 薬膳でおすすめの食材
- 緑豆・はと麦・冬瓜・セロリ・みかんの皮(陳皮)など
- 控えたいもの:揚げ物、甘味、乳製品、アルコール
薬膳の考え方も学ぶことで、鍼灸と食養生を統合的に使える治療者へと近づくことができます。
✅ 中医学を学びたい人へ——湿熱体質は東洋医学の入り口になる
「なんとなく不調」「病名がつかない」
そうした症状に向き合うのが、中医学・鍼灸の強みです。
湿熱体質のような複雑な体質の概念を学ぶことは、将来、患者のQOL向上に貢献する治療家を目指す上で重要な一歩になります。
🌱 こんな方におすすめ
- 東洋医学に興味がある
- 体質の見極め方を学びたい
- 食事・生活・感情すべてを考慮する医療に関心がある
- 将来、鍼灸師や中医学の専門家を目指したい
✅ まとめ:鍼灸と食で、こもった「湿熱」を外へ出す
湿熱体質は、現代人に増えている「隠れ不調」の代表です。
単にダイエットや美容の問題ではなく、中医学では“内側の乱れ”のサインと捉えます。
だからこそ、鍼灸で「巡り」を作り、食養生で「整える」——
この東洋医学的アプローチが、今改めて注目されています。
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