日本鍼灸大学 
はじめに：花粉症を根本から改善する治療法を知っていますか？
毎年花粉症に悩まされ、薬やマスクで対処している方も多いでしょう。しかし、花粉症を根本から改善することを目指す「舌下免疫療法」という治療法があるのをご存知ですか？この治療法は、長期的に花粉症の症状を抑えることが期待されています。
本記事では、舌下免疫療法の仕組みや効果、治療期間、デメリットを詳しく解説します。
1. 舌下免疫療法とは？
舌下免疫療法（ぜっかめんえきりょうほう）は、アレルゲン（アレルギーの原因物質）を少量ずつ体に投与して、アレルギー反応を弱める治療法です。主に、スギ花粉やダニアレルギーの治療に用いられています。
1-1. 治療の仕組み
- アレルゲンエキスを毎日舌の下に含み、数分間そのまま保持します。
- 徐々に体がアレルゲンに慣れていき、免疫システムが過剰反応しにくくなることを目指します。
- 数年間にわたり継続することで、長期的に症状が軽減する可能性があります。
2. 舌下免疫療法の効果とメリット
2-1. 花粉症の症状を長期的に軽減する
舌下免疫療法を続けると、花粉症の症状が軽減することが期待されます。治療を完了した患者の中には、毎年の花粉シーズンでもほとんど症状が出なくなる人もいます。
効果が期待できる症状
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目のかゆみ、充血
2-2. 薬の使用量が減少する
治療が進むにつれて、花粉症シーズンでも抗ヒスタミン薬や点鼻薬の使用量を減らせることがあります。これは、アレルギー反応そのものが抑えられていくためです。
2-3. 子どもにも適用可能
舌下免疫療法は、子ども（おおむね5歳以上）にも安全に実施できる治療法です。早期から治療を始めることで、将来的なアレルギー症状の重症化を防ぐ効果が期待されます。
3. 治療期間と進め方
3-1. 治療期間の目安
舌下免疫療法は、3〜5年程度の長期治療が推奨されています。
- 初期の数週間〜1ヶ月間は、少量のアレルゲンエキスを体に慣れさせる「初期増量期」となります。
- その後、一定量を継続して投与する「維持期」に移行します。
3-2. 治療の進め方
- 通院頻度：初期には数回通院が必要ですが、その後は年に1〜2回程度の診察で済みます。
- 自宅での管理：アレルゲンエキスを毎日自宅で服用します。服用後は、体調の変化に注意を払いましょう。
4. 舌下免疫療法のデメリットと注意点
舌下免疫療法には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
4-1. 即効性がない
舌下免疫療法は、治療を始めてすぐに効果が現れるわけではありません。少なくとも1年目は大きな改善が感じられない場合が多いです。
4-2. 継続が必要
治療を途中でやめてしまうと、効果が不十分になる可能性があります。3年以上の継続が推奨されるため、長期的な計画が必要です。
4-3. 副作用のリスク
舌下免疫療法は比較的安全ですが、軽い副作用が起こることがあります。
- 舌の下のかゆみや違和感
- 喉のかゆみ
- まれに強いアレルギー反応（アナフィラキシー）が起こる可能性があるため、初期段階では医師の指導を受けることが重要です。
5. 舌下免疫療法を始めるための手順
5-1. 医療機関を受診する
舌下免疫療法は、アレルギー専門医または耳鼻咽喉科で実施されています。
- まずはアレルギー検査を受け、自分のアレルゲンを特定します。
- 医師が治療の適応を判断し、アレルゲンエキスを処方します。
5-2. 治療のスケジュールを立てる
花粉症のシーズンが始まる前（秋〜冬）に治療を開始するのが一般的です。
- 花粉が飛散している時期に開始すると、症状が悪化するリスクがあるため、早めに計画を立てましょう。
6. 舌下免疫療法を受けるべき人は？
以下のような方に、舌下免疫療法は特におすすめです。
- 毎年花粉症の症状がひどい方
- 薬による治療だけでは効果が不十分な方
- 長期的に花粉症を改善したいと考えている方
- 子どもにも安全な治療法を探している方
7. まとめ：舌下免疫療法で長期的な花粉症改善を目指そう！
舌下免疫療法は、花粉症を根本から改善することを目指す治療法です。長期的に症状を軽減し、薬に頼らない生活を目指す方には有効な選択肢となります。ただし、即効性がなく、治療には数年の継続が必要です。自分の症状やライフスタイルに合った治療法を選び、医師と相談して治療を開始しましょう。
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